『ワンニャーの異変』 「はいはーい!皆さんご注目ー!」 教室に居ると教室中に聞こえるほど大きな声が聞こえた。 その声に皆吃驚している。 「はい!はい!はい!」 声を出したのは綾だった。威勢良く台本を皆に手渡していく。 「白雪姫・・・?」 未夢が言う。 「そう!もう演劇会の時期がやって来ましたー!そこで今回は白雪姫を 演じてもらおうと思います!」 「白雪姫か〜・・・何だかロマンチック♪」 「おれはもう恋愛ものはこりごりだぞ。」 「それで〜、お姫様役は未夢ちゃん!王子様役は西園寺くん! お妃様役がクリスちゃんで、王様役が光ヶ丘くん! ななみちゃんや黒須くんは小人役をやってね〜。 後の人は脇役や照明その他諸々よろしくぅ!」 「はいはい〜。わかりました〜。って、ぅえええええ〜〜〜〜!?!?」 綾がいつも通りの口調で言うが主役たちは吃驚。何せもう配役が決まっていたのだから。 しかも勝手に。 「ちょっと!何で私がお姫様なの綾ちゃん!」 「おれももうさすがに王子様は嫌だぞ!絶対出ねえ!」 「わたくしも、お妃様役なんてとてもできませんわ!」 「王子様が西園寺くんだなんて、王子様は僕が相応しいじゃないか!」 何か色々と苦情を綾に言う主役たち。 「だって〜、未夢ちゃんは正にお姫様って言うくらい可愛いし〜、 王子様は彷徨くんが何となく似合ってるし〜って言うか他が居ないし〜、 クリスちゃんはお妃様役ピッタリだよ絶対!光ヶ丘くんも王様役にピッタリ♪」 ダメだ。綾ひるむ事なし。 「王子様なら僕が居るじゃないか小西さん!」 「光ヶ丘くんは王子様より王様のほうが似合ってると思ったのよ〜。 ほらだって何かゴージャスだし!」 「おれも何となくで王子様にされちゃ困るんだけど・・・。 それにおれにも選ぶ権利がある。」 「何かそれムカツク発言ね〜!って言うか、確か白雪姫の最後ってまさか・・・。」 「ピンポンピンポーン☆♪★未夢ちゃん大正解!!!ラストシーンは王子様のキス〜♪」 「えええええ〜☆♪★!?」 一同が驚いたような嬉しがったような声をあげた。 (ととと、と言う事は、か、彷徨と、キス〜〜〜〜!?!?!?) 「おい小西、何とか配役変えられねーのかっ?」 彷徨が綾に抗議。 「だめっ。もう配役はこれで申請しちゃったもん〜っ!」 「ああ・・・何でおれは委員長なのに演劇が近い事を悟らなかったんだ〜、 委員会が忙しくて思いつかなかったか・・・。」 「ああ・・・とうとうこの日がやってきたのね・・・やって来てしまったんですのね・・・ 彷徨『ああ、何て美しい姫なんだ!』 未夢(彷徨!私にキスして私を目覚めさせて!) 彷徨『おお!姫が私の心に語りかけて来る!私はこの姫を助けようではないかー!』 もう勝手にやっちゃ嫌んですぅゎどわあああああああああ〜〜〜〜〜!?!?!?!?」 「でも、確か白雪姫って、最後は王様の手下が白雪姫の背中を叩いたら 毒りんごの芯が出てきて白雪姫が助かるってお話だったよね?」 三太が話に入ってきてそう言った。 「あら、そうなんですの?嫌ですわわたくしったら・・・またしても逸って しまって・・・。」 「三太、それって本当にそうなのか?」 彷徨が三太に聞いた。 「うん。本当にそうだよ。初版はそうなってるんだ。これって常識だよね☆」 う〜ん・・・常識なのだろうか? 問題は綾ちゃん・・・皆が綾を見つめる・・・。 「・・・だいじょーぶ!さっきのは冗談で、今回はその初版のでやるから、 お姫様のキスは無し!」 「よ、よかったぁ〜っ!」 未夢が本当に安心そうな顔をして言った。 「おれもほっとしたぜ。誰がこんな幼児体系とキスなんか・・・。」 「彷徨のバカ!あんただってね!王子様〜とか言って全然似合ってないし、 お子ちゃまみたいな役になれて嬉しがってるくせに!!」 「別に似合ってたくねーもん。だーれが喜んでるって!?」 「喧嘩するほど仲が良いって言いますもんね・・・そうよねェ〜! その内お二人は仲直りなんかしちゃったりなんかするかもって言うか しちゃうかもっていうよりするに決まっててそしてそして犬と猿はぶっちゅしちゃうの ねぇぇぇぇっぇぇぇぇぇっぇぇ!?!?!?」 「うわ〜誰かクリスちゃんを止めて〜!」 「はいはい。この前の文化祭の彷徨くんの写真が載ってるわよー。」 「キエーーーーーーーーーー♪♪♪♪」 水野先生が制裁にやってきたがクリスは止まらなかった。 「落ち着け、落ち着くんだ花小町!」 そう言うと彷徨はクリスの肩を掴み体をがくがくと揺らした。 「彷徨くんが目の前、彷徨くんが間近、彷徨くんの顔がもうすぐ、彷徨くんの口が動いてる、 今なら彷徨くんにキス・・・ナーンテわたくしったら大胆なんざましょー♪ぼふっ!」 「あら、花小町さん気絶しちゃった。西園寺くんも罪な人だねぇ。」 ななみが驚いていると、水野先生が言った。 「FBIに何年か勤めた私でも西園寺くんに敵わないとは私も修行がまだまだね! とりあえず花小町さんを保健室へー。」 「クリスちゃーん!」 彷徨ファンクラブがクリスを連れて行った。 「とりあえず、と言うことでよろしくぅ未夢ちゃん&西園寺くん!」 「ちょ、と言う事で、じゃなくて・・・綾ちゃん!」 そして綾はこれから忙しくなるわと言って教室を飛び出して行ってしまった。 「ちょ・・・また勝手に・・・もー!!」 だが、最後がキスシーンじゃないと流したのは綾の一時の受け流しであった。 授業後。 「はぁー。彷徨、また私たち主役だよ・・・。」 「もう何も考えるな。」 「・・・。」 「・・・何だよ?」 (だって・・・いつか・・・) =================================== 『未夢っ!』 『えっ?』 『あんまり、心配かけさせるなよ。お前は大事な家族の一員である以外にも、 おれにとって大切な人なんだから―――』 ================================== (あれって、どういう意味なの?彷徨・・・。) 「何だよ、じ〜っと見て。誘惑してんのか?幼児なやつにはひっかからねーよ。」 「ばっ!んな訳ないでしょ!彷徨ったら意外と美人女たらしね!」 「知らねー。」 「あ〜逃げた〜!って言う事はやっぱりそうなんでしょ〜!」 彷徨無視っ。 「馬鹿な事言ってると置いていくぞ、未夢。」 「へーん、置いてかれたってお昼は迷子になんかなったりしませんよーだ。」 とか言いながらも体は自然と彷徨の側へ。 (私を想ってくれるのは、ママから預かった私を、おじさんの代わりに預かる ただの責任感なの・・・?) (前に、何となく心の内を遠まわしに暴露しちゃったけど、こいつはどこまで 鈍感なんだ。危なっかしいったらありゃしない。) 二人の考えは交差していた。 やはり、思いきり告白しないとだめだったのか。 「ただいまー。今日もワンニャーはモモンランドか・・・。」 「・・・。」 「ってうわあっ!ワンニャーそんなところでなにやってるのっ!」 ワンニャー、玄関に寄りかかってぐったり。 「未夢さん、彷徨さん、あの・・・。」 「何だ?またモモンランド行きたいのか?家事はやっておいてくれたんだろーなっ。」 「ちっ、違うんです!もっと別のことで・・・。」 「別のこと?なあに?相談なら乗ってあげるよ〜。」 未夢がワンニャーにやさしく微笑むが・・・ 「えっと・・・あの・・・き、昨日はお弁当作り忘れてすみませんでした!」 「えっ・・・な〜んだそんなことかあ。昨日の事はもういいって〜。」 「そうそう。未夢はいつもポテトばりばり食ってるから常時満腹なんだよ。」 「あのねちょっと彷徨さん・・・あ〜言えばこう言う〜・・・!」 「あ、あのっ、おいしいお菓子作ってあげますよ〜っ!?」 「ホント?ワンニャー!作って作って〜!私も手伝うから!」 「ほらな・・・。」 「じゃあ彷徨にはあげないわよ。」 「要らねぇよ、お前の毒食べたらしんじまうさっ。」 「むー!」 「・・・。」 ワンニャーは、どこか落ち着きなかった。 「わーワンニャーが燃えてる〜!」 「熱いです〜!」 油がワンニャーにかかってうっかり火の粉がそれについてワンニャーの一部が燃えてる〜っ! 未夢がばふっばふっと布で炎を消した。 「な〜にやってんだ今日はっ・・・。」 「あ〜わたしの自慢の体毛がちりちりになってしまいましたっ・・・!」 ワンニャー泣いてしまった。 「なんかワンニャーに焼きそばが栽培されたみたい〜っ。」 「お前本当食いしん坊だな・・・とにかくワンニャーは風呂に入って来いよ。」 「す、すみませんっ!」 「食いしん坊で悪かったわね・・・それにしても今日は何か変だったねワンニャー。 どうしちゃったんだろ。」 「変なのはいつもの事じゃないか。」 「あははっ。それ言っちゃワンニャーに悪いよ。」 「口だけじゃなく手も動かせよ。」 「って手伝ってくれるの?」 「いいから。ここはこうで・・・。」 「彷徨ったら急に優しくするんだもんね〜・・・。」 その頃クリス邸では。 「ハッ!何やら微妙な妖気を感じますわ。何だか未夢ちゃんと彷徨くんが 台所で抱き合っているような・・・う〜ん、この頭にビンビンくる感じは 何なのかしら・・・キョエエエーーーー!」 一人暴走ってこう言うことでしょうか。 一方、西園寺では彷徨が未夢の菓子作りをお手伝い。抱き合ってなんかいない。 そして出来上がり。 「な、なんか真っ黒に焦げてる・・・。」 「お、おれ宿題やってくる・・・。」 「何言ってんのよ、今日は宿題なんか出されてないでしょ。彷徨も手伝ったんだから 食べなさい!」 「うぇーい・・・いただき・・・たくねー。ι」 「あれ、でもこれ結構おいしいー♪」 「はぁー?・・・お、中々美味いじゃん、見かけ没だけど。」 「味がよけりゃーいいのよー!私にしては上出来!」 「あはは、未夢の味って感じだな。」 「毒で逝きたいですか彷徨さん?」 二人は白雪姫の劇の事など忘れて二人でお菓子作ってしかも美味しそうに食べている。 二人きりの時間はあっという間に過ぎ去り、時はもう夜・・・。 「ピー・・・リ・・・ピードー・・・エ・・・ピピピピー・・・ザザザ・・・。」 未夢が夜トイレに行きたくなって起きてトイレから出て来たとき、ルゥたち の部屋から何やら意味不明の音が・・・。 「ワンニャー・・・?」 未夢が目をこすりながら覗く。 「こんな遅い時間に何やってるの・・・?ルゥくん起きちゃうじゃない。」 「あっ!未夢さんっ!」 「しー!そんな大きい声出したら・・・。」 「う・・・ウェーン!」 「あ〜ルゥくん夜泣き出しちゃった・・・。」 「あっ、今育児日記作ってたところなんです〜!昨日作り忘れてて・・・。」 「それは良いけど、ルゥくん泣かせたらだめじゃない!」 「す、すみません・・・ルゥちゃま〜ほら〜うさぎさんですよ〜っ。」 「ウェーンウェーン!!」 ワンニャー、変身して顔をうさぎにして一生懸命あやすがルゥは中々泣き止んでくれない。 「はぁ・・・ルゥくん貸して。ルゥくんは私が落ち着かせるよ。一緒に寝るから ワンニャーもそれは起きてからにしておやすみ?」 「あ、ありがとうございます・・・すみません。」 「ウェーンウェーン・・・。」 そう言うと未夢はルゥを抱いてワンニャーの部屋から出、自分の部屋に戻った。 「何か昨日も今もワンニャー変だったなあ・・・あ〜ルゥくん起こしちゃってごめんね〜♪ ママと一緒に寝ようね〜。」 「・・・マンマっ・・・。」 ルゥは落ち着いた。未夢もルゥをしっかり抱いて寝る事にした。 ワンニャーは・・・ 「・・・っ!」 宇宙船のコンピューターをずっといじっていた。 「今日もワンニャー寝坊かよ・・・弁当は昨日の残りで我慢しろよ、未夢。」 「ふぇーい・・・。」 さらさらの未夢のストレートヘアーも起きた時にはちょっとだけ乱れている。 未夢は髪を梳かしに行った。 その時、またワンニャーの居る部屋を通り過ぎる。 「あ、未夢さん・・・。」 「ちょっとどうしたのワンニャー。今日も寝坊して。あれから寝なかったの?」 「いえ、ちょっと眠れなくて・・・。」 「とか何とか言ってー、実は育児日記書きまくってたんじゃないの?」 「いえちょっと・・・。」 「はー。まーいーけど、体悪くしちゃいけないから、家事休んででも具合良くしてね。 私たちが学校行ってる間はルゥくんをお世話するのはワンニャーしか居ないんだから。」 「はい・・・ありがどうございまず・・・。」 未夢さんも彷徨さんも、本来あかの他人のはずであるわたしたちをまるで 本当の家族のように見て下さっている。でも、そんな繋がれて慣れてしまった わたしたちが急に離れてしまったら、未夢さんたちは・・・。 「未夢ー!早く仕度しろー!全く何で女ってやつはこうも準備が遅いんだ。」 「悪かったわね!髪梳かしてたのよ!」 「しょうがねえなあ・・・。」 そう言いながら彼らは慌しく西園寺を出発していく。 残されたワンニャーは、ルゥを抱きながら未夢と彷徨を見送ったあと、 何故か悲しそうに玄関に戻っていった。