『少年の恋』 ある少年が小学六年生の時だった。 20XX年XX月XX日XX時XX分XX秒の時に同窓会をやる。 その時までに担任の先生(女性)が、結婚していなかったら、クラスの皆に一万円あげる! それで卒業式までにみんなと交換日記をする事にしよう! 思い出のために・・・。 放課の時間、グラウンドでみんなとドッジボールをやっていた。 少年にボールが飛んできた、その時ある女子が横から出てきてボールを取る。 「何で横から入んだよ!せっかくのチャンスだったのに!」 「アンタ、カッコウつけててどうせ当たるでしょ!」 何の変哲もない、普通の光景だった。 漢字の小テストの答えあわせの時に、その子と答えあわせをした時 「アンタバカだね〜っ。『離陸』ぐらい書けなさいよ。」 「離陸って何ぃ?」 「あはははは・・・。」 別に何もない普通の話だった。 しかしただそれだけでも楽しかった。 ただの雑談がこんなに楽しいなんて・・・。 だが、少年はこの時初めて"恋"という経験をしたのかもしれない。 中学に入って、中学3年生にもなると、ある女子から告白された。 「私っ、あんたが好きなの!」 すると彼女はキャーッ!言っちゃった!と言いながら顔を隠して走って行ってしまった。 彼女は少年よりも体は大きかった。 別の子に聞くと、ちっこいけど面白いから好きなんだってさ、と言う。 少年は何も言えないままに苦笑していた。なんだそりゃ、と。 また別のとある日、図書館で漫画を読んでいたら 「あなたがずっと好きでした―――――」 と少年に話し掛けるある女の子が。 そして少年にペンを渡した。 好きでした、と言う事は嫌われたらしい。 なんかいきなり告白されたかと思えば実は嫌われた事を身に知らされてかなり複雑な 気持ちになった事を今でも鮮明に覚えている。 何故少年を好きになったのか、何故過去形で伝えてきたのか、その時の少年には全然理解 できなかった。 自分が面白いから?自分が嫌いになったから? すると、自分がこういう気持ちを持たないのかと言うことを少年は考え出した。 少年には気になる想う人がいる――――――――― 小学校の時に想った相手。 そう言えば中学生になってクラスも別れてからそれ以来、彼女とは全然話していない。 なんだろうこの気持ちは?胸が? もうすぐ中学校の卒業式。 受験前のこと。 成績もそれほどよくなかったので、大した高校ではないがココを受けることにしよう。 担任、母親、自分の三者面談で決めた事だった。 そして学校の廊下を歩いている時、少年にペンを渡した子が。 「ねえねえ、高校、この高校受けるんでしょ!?」 「ああそうだけど・・・。」 「キャー!」 何故少年があの高校受ける事を彼女が知っているのだろうか? 彼女も少年と同じ高校を受験するのだそうだ。 ところであの喜びようは?少年が嫌いになったのではなかったのか・・・・・・? それとも喜んでいたのではなくて嫌がっていたのだろうか? しかし少年の目にはそのようには見えなかった・・・。 何故か嬉しい。 高校の受験が受かったと担任から聞いて廊下を歩いている時も同じような事があった。 「ねえ、受かった!?あの高校。」 「ああ、受かったよ。」 「キャー!」 この時凄く複雑な気持ちになった・・・。 この気持ちはいったい何を表すものだったのだろうか・・・? そしていつしか卒業式。 公園で友人と卒業写真を撮ってその後、 「あ、もう終わり?あ、また後でね。じゃ〜ね〜。」 友人と別れた後こう思った。 告白しよう。 あの想い続けた子に。 あの子とは、かつて小学校のクラスで交換日記をしあった時に仲良くなった子である。 自らの口から。 言わなければ伝わらない―――― 公園内に居るはずの彼女を探したが、彼女の姿はもうどこにも居なかった。 目に映る人は知らない人が卒業写真をとっている映像。 しかし少年の目に見えたのはそんなものではなかったはず。 ただの白い世界―――――――― 記憶が途切れるような瞬間だった―――――――― それから高校に入って、かつてペンを渡してくれた子がたまに話し掛けに来るが 別に何もない、ただの雑談。 それから1年経って高校2年生。 彼女に彼氏ができたのだそうだ。 少年は別に何も思わなかったはず―――――――――― 3年。また「想う」と言う気持ちを思い出した時が。 「ねえ○○くん、あの本取ってっ。」 「?何で自分の名前知ってるの?」 「ふっふ〜ん。」 図書館で読書していたらいきなり知らない子がこう言ってきたのだ。 毎日授業後に図書館に来ていたので覚えられたらしい。 大学受験のため、一緒に勉強したり、教えあったりしていた。 「お前あいつの事好きなんじゃないのか?」 突然、少年の友人が尋ねてきてそう言った。 あいつとは、いつも図書館で勉強したりしている子の事だそうだ。 あまりに突然だったし、意味がわからないので少年はこう言った。 「何でいきなり?」 「だってお前、あいつと仲が良いじゃん。」 「逆に、いつも仲が悪いと考えたらどうよ〜?そんな訳ないでしょ? 仲が良く見えるらしいけど別に普通だって。」 少年は普通にこう答えた。 しかしひるまないと言った感じで友人はこう続けてきた。 「でも、あいつはお前に脈ありかもよ?」 この時、少年は思い込んだ。 別に彼女が自分の事を思っていたとしても自分は・・・? いつしか受験も終わり、彼女も少年も無事に大学に受かった。 「ありがとう、一緒に勉強したおかげだよ・・・。」 彼女は少年にこう言ってきた。少年はこう言い返した。 「それはこっちの台詞だって。」 少年の受験が受かったのは彼女のおかげのようなもの。 彼女と勉強しあったから。 それぞれ目指した大学は違ったが、目的を遂げようという気持ちは二人とも変わらなかった はず。 彼女のおかげ。 話していると楽しい、いつも笑顔で話し合って居たい。 そして少年は初めて自分で「好き」と言う気持ちを自覚した。 卒業式の日がやってきて、学年全員で写真をとって、その後解散。 その後、彼女に会いにいくつもりだったが、会いに行けなかった。 何故会いに行けなかったのだろうか――――――――――   ・   ・   ・ ================================ そしていつしか少年は青年へと成長し、大人へ。 いずれ起こる同窓会を楽しみに待ち、今を生きている。 あの時の約束を忘れずに。 ===================================================================== written in 2003.11.21