『歓迎会の誘い』 彷徨が烈度に声をかけてきた。 「烈度、零、校内案内するぞ。」 「ほんとっ?よろしく〜っ。」 「・・・。」 烈度は喜んで礼を言い、零は沈黙を持って答える。 「あれ、竹村と内田はどこ行った?」 彷徨がそう言っていると、未夢が恵と佳奈子を引っ張ってきた。 「めぐちゃん、かなちゃん、こっちこっち。」 「未夢?なんだ、もうその2人と友達になったのか。」 「それってなんかまるで私にはこの2人とは友達になれないみたいな言い方ね〜!」 「未夢ちゃん、彷徨くんのお友達?」 佳奈子は二人が仲が良いと思ったらしくそう聞いてきた。 「いとこっ!彷徨と私はいとこなの!」 未夢はあせりながら言った。 「ほらっ、零、行くぞっ。」 「・・・。」 烈度は零に言うが零は相変わらずの無言だ。 「あいつ、どうしたんだ?」 彷徨は気にしながら言うと烈度が答えた。 「気にしないで、あいつはいつもああなんだよ〜。」 「じゃあ、未夢たちも来たしそろったから行くとするぞ。」 「そういえば烈度くん、あのかわいいスライムはどこにいっちゃったの?」 「ああ、こいつのこと?」 烈度はかばんの中からプニプニしたおもちゃの青色スライムを取り出した。 さっき体の説明をした後に話題になっていたのだ。 「やっぱりかわいい〜!」 「そうだね。」 烈度はそう答えた。 (・・・何だかペポみたいに本当に生きてるような感じがするな・・・。) 彷徨は気のせいかと思いつつ、未夢に注意した。 「未夢、ギャーギャー騒いで引っ張って壊すなよ。」 「わかってるわよ!子供じゃあるまいし!」 「へ〜。おまえ、大人だったんだ。」 「彷徨くん結構毒舌・・・。」 烈度は二人の見幕に驚いて苦笑いしている。 「で〜、こっちが体育館の方向、巳の方向だ。」 彷徨が説明している意味がわからない未夢は尋ねる。 「巳?巳って何?」 「十二支の第6で、午前10時、南南東を示す方向のことだ。常識だぞ、 お馬鹿さ〜ん。」 彷徨はいつものように舌を出しながら意地悪そうに言った。 「何でわかんないような言い方するのよ!むっか〜!」 これはいけないと思った烈度は二人を慰めようとする。 「まぁまぁ、2人共、落ちついて。」 「な〜に〜が〜?」 「恐っ!」 火に油を注いでしまったようだ。烈度は怖気づいた。 「・・・。」 零は冷静に沈黙を続けていた。 「未夢ちゃん、彷徨くんととっても仲いいんだね〜っ!」 恵がそう感心していると、その話を聞いていたクリスが妙な妄想を始めた。 「未夢ちゃんと彷徨くん、いつもケンカばかりしてるけど、家ではいつも、 (彷徨『未夢、さっきはごめんな。』) (未夢『ううん、私の方こそごめんなさい、彷徨にあんなこと言って。』) (彷徨『未夢・・・。』) (未夢『彷徨・・・。』) とか言っちゃってたりして、そして、そして、2人はぁ〜〜!! sぽdjfvbぽりゅうぃううぃきぐお〜ホワッチャァ〜♪!!!」 どごおおん!!! クリスはそこの音楽室をめちゃくちゃにしてしまった! 驚いた一同の中、烈度が彷徨にすがる。 「彷徨くん、あの〜、大丈夫なんでしょうか・・・。」 「ま、まあ、見てろって。」 「・・・あら!私ったらまた手が滑って・・・。いけませんわ。しっかり石鹸で手を 洗っておかないといけませんでしたわ。 その前にここを直さないと・・・。」 クリスは約1分で壊れた音楽室を修復した。 「唖然。」 「な?」 烈度と彷徨は気が合うかのように顔を合わせて言った。 「ご迷惑をおかけしてすみませんでした。私はちょっと用事がありますので、 皆さん、またよろしくお願いしますね。ごきげんよう。」 クリスが急いだ様子で家に帰っていく様子を一同は唖然としながら見ていた。 「・・・と、というわけで、ここが音楽室。向いが生物室だ。」 彷徨は続いて説明した。 「彷徨くん、物知り〜。」 恵が流石だと言って感心していると、烈度が物言う。 「当たり前でしょうが。彷徨くんは委員長なんだから。」 「えええっ!彷徨くん、委員長だったの!?」 聞いていなかった佳奈子は驚いていたが烈度は知っていたようだ。 「あの教室入る前に水野先生が言ってたー。って言うか、委員長じゃなくても2年も ここに通ってるなら大体わかるって!」 「話ながらだったけど、これで大体わかったか?」 彷徨が校内案内し終わると皆に質問がないか尋ねた。 「うんっ、ありがとぉ〜ぅ〜っっ!彷徨くんっ!」 「ありがとうございます・・・。」 「彷徨くん、ありがとうー。」 「彷徨くんっ、ありがとー。」 烈度、零、恵、佳奈子共にわかったようだ。 「どういたしまして。」 彷徨は返事した。すると烈度が何か尋ねてくる。 「ねえねえ、彷徨くん、この後何か用事ある?」 「今日は委員会ないから別に何も無いけど。」 「じゃあさ、これから彷徨くんのお家に言って見たいな!どんなお家か。」 「そうだよっ!彷徨!歓迎の意味も含めてめぐちゃんやかなちゃんを西園寺に 誘おうよ!ななみちゃんや綾ちゃんや クリスちゃんや三太くんとか、望くんとか、栗太くんとか誘ってさ。」 未夢は自分が初めてこの学校に来た時の事を思い出し、烈度たちを歓迎したいと思い 西園寺に誘った。 (未夢、お前、うちに誰が居るかわかってるか〜?) (あっ!ルゥくん!ワンニャー!) (忘れてんなよ・・・。しょうがない、ワンニャ―にはまた親父に変身してもらって ルゥの事はなんとかしてもらうしかないだろ。) (じ、じゃあ、私先に帰ってるね!) (ぬかるなよ。) 「未夢ちゃん、どうしたの?」 「どーしたの?」 佳奈子と恵が未夢の少し動揺したところを見てそう言った。 「ちょ、ちょっと用事を思い出したのっっ!大丈夫っ!彷徨、OKだって! 西園寺で歓迎会ね!またねっ!」 「なんか光月さん、あせってなかった?」 烈度が彷徨に尋ねると、 「気のせいだろ。」 と彷徨は自然に言った・・・。 「じゃあ、私、家に帰って着替えてくるね!」 「じゃあ私も!またね〜!」 「ああ〜っ。」 佳奈子と恵は家に帰ると言うと烈度は承知した。 ・・・西園寺。 「ワンニャ―!ルゥくん!」 「だぁーっ!マンマー!おかーっ!」 「ルゥくん、ただいま!ワンニャー、どこーっ!?」 「はい、どーしたんですか、未夢さん?そんなにあわてて?」 「お友達がいっぱい来るの!お部屋とか、片付けてルゥくんのこととか、 しっかり頼むわよ!」 「は、はいーっっ・・・。」 「ただいまー。」 彷徨は不安そうな顔をしながら帰ってきた。すると宝晶に変身したワンニャーが 出迎えた。 「彷徨おかえりーっ!おや、お友達も一緒かね?」 「ああ、後でいっぱい来るから。」 「そうか。じゃあ、わしは仕事があるから・・・。」 「わかった。」 「彷徨くんのお父さんって、何してるの?」 烈度は質問する。 「寺の住職。」 「へえ〜そうなんだ〜。なんか珍しいね。」 「そうか?」 「零も何かしゃべれよ。」 「・・・。」 「相変わらず無言だなぁ・・・。」 「・・・。」 烈度は零に何となく参ってしまう様子だった・・・。烈度は相変わらずまた彷徨に 尋ねる。 「ねえ、私ってうるさい?」 「まぁまぁな。」 「迷惑?」 「別に。」 一方、そのころ未夢は綾に電話をかけていた・・・。 「綾ちゃん?私だけど、今日、西園寺に来ない?烈度くんたちのために歓迎会開くん だけど。」 「ほんと〜!?行く行くっ!!ななみちゃんも連れてくね〜っ!!」 (ガチャッ!ツーッツーッツー・・・) (は、早い・・・しかもななみちゃんも呼んでくれるのね・・・。まあ、呼ぶ手間が はぶけたからいいかな〜・・・ こっちから一応言っておいた方がいいかな〜・・・まあいいや!綾ちゃんに 任せよう!) 「あっ!そうだ!クリスちゃんも呼ばないと。ちょっと怖いけど・・・。」 未夢はちょっと顔をヒクヒクと引きつった。 (トゥルルル・・・トゥルルル・・・ガチャッ!) (かかった!) 「はい、花小町でございます。」 「ク、クリスちゃん?未夢だけど。」 「未夢ちゃん?どーいたしましたの?」 「烈度くんたちのために歓迎会開こうと思って電話かけたんだけど来る?」 「あの〜・・・、場所はどちらで・・・?」 「西園寺だよ。」 「ぜひ!行きますわ〜!」 (ガチャッ!ツーツーツー) (び、びっくりした・・・でも何も起こらなくてよかったよ〜!) 未夢はびっくりしながらも安心していた・・・。 (烈度くんや、かなちゃんたちを歓迎したいけど、ちょっと自殺行為みたいになって きたかも〜・・・!) と、不安になっていた・・・。 「かなちゃんとめぐちゃんにはもう伝えてあるから大丈夫だよね。これから忙しく なるよ〜!」 一方、烈度たち・・・。 「ここ広いね〜!」 「・・・。」 「お前、さっきからずっと無言じゃないかよ。何か言えよ。」 「・・・びんぼーくさい。」 「おいおい・・・。ごめんね彷徨くん。悪いやつじゃないから。いつもこんなん なんだよ。」 「でも、おれはこういう地味な方が気に入ってるんだ・・・。」 「何でまた・・・?」 「まあ、色々な・・・。」 「ふ〜ん・・・。」 一瞬し〜んとなり、辺りの木が風にゆれる音がすごく大きい音に聞こえるような 気がした・・・。 「何かいろんな部屋があるけど、中に入ってみてもいい?」 と言うや否や、返事も聞かずに烈度は部屋に入った。 「おい・・・・・・烈度。」 零が烈度の唐突な行動に驚いて言う。 「?」 そこには色んな子供の?というより赤ちゃんの遊び道具が散らかっていた。 烈度は不思議に思った。 「あっ!あっと、ここれれは〜そ〜〜〜〜〜〜これはだな〜・・の、え〜〜〜〜 と?・・・・・・あの〜・・・こ〜・・・。」 彷徨は珍しく非常に混乱した様子で言葉を探しながら言った。 と、そこへ赤ちゃんが空を飛びながら彷徨のところへやって来た! 「あっ!パンパーっ!」 「わっ!ばかっ!」 ばふっ! 彷徨はがばっと赤ちゃんを抱いた。彷徨は思う。 (ワンニャーは何やってんだよっ・・・!) 「今の何!?・・・今の・・・空をと〜・・・!!」 「今のは手品なんだ〜。気にしないでくれ〜。」 「・・・今のが手品かい・・・?私の目は誤魔化せないよ・・・!」 彷徨は冷静に、烈度の口をふさぎながら言った。 「このことは誰にも言わないでくれ。理由は後でちゃんと話す。」 「・・・何か理由があるんだ。それなら誰にも言わないよ。それに理由も教えて くれなくてもいいよ。だれにも秘密ぐらいあるからね・・・。」 烈度はまるで自分の秘密が見つかった時のいい訳みたいな言い方をしながら承知 した。 (おれとしたことが・・・。これじゃ未夢みたいじゃねえか。) 彷徨は頭に手を当てながら今度は抱えて思った。 「なあ零、誰にも言わないよな?」 「何がだ?」 「何が、って・・・見てないのか?」 「だから何がだ。何かあったのか?」 「あ、いやなんでもない。」 「教えろよ。」 「何でもないって!」 「そうか・・・。」 (・・・あんまり気にしてないみたいだから多分大丈夫だと思う彷徨くん・・・。) 「・・・。」 「大丈夫だって。誰にも言わないから。」 「ああ・・・。」 「・・・。」 零はまた沈黙している。烈度は長年付き合ってきた相棒の心を見て思った。 (こいつはまあ多分大丈夫、いいだろう。) 「あ、そういえば三太たち、呼ぶの忘れてた。この部屋で待っててくれ。」 「行ってらっしゃーい。」 烈度が手を振って彷徨を見送ると、彷徨はスッっと戸を閉めた・・・。 下が空洞のため、どすどすと響く木の廊下を彷徨が歩く・・・。 彷徨は三太に電話をかけている・・・。 「あ、三太。おれ。今日家に来るか?未夢が烈度の歓迎会やるって。」 「かなちゃんとか、めぐちゃんも行くの〜?」 「そのようだな。」 「わかった!行く〜!10分くらいでな〜っ!」 (ガチャッ。) 「さて次は・・・こいつ、あんまり呼びたくないけど・・・。」 (トゥルルル・・・トゥルルル・・・ガチャッ!) 「(くるくるくるくる、すたっ!)はい〜、こちら、光ヶ丘です・・・。」 「西園寺彷徨。」 「な〜んだ、彷徨くんか。美しいるぇでぃーが、ぼくに悩みを聞きに電話をかけて きてくれたと思っていたのに。」 「(誰もそんなことしないぞ)ところで光ヶ丘、今日家で烈度たちの歓迎会やるん だけど、お前も来るか?」 「他の美しいレディーたちも行くのかいっ?」 「多分。(美しい、は余分だけど)」 「では、ぼくも行こうっ!楽しみにしていたまえ〜っ!」 (ガチャッ!) (三太と光が丘、妙なところで何か似てるよな・・・。さて、最後はこいつ か・・・。) (トゥルルル・・・トゥルルル・・・ガチャッ。) 「はい、花小町です。」 「あ、栗太か?」 「あっ、西園寺くん、どうしたの?」 「今度転校して来た烈度たちの歓迎会、西園寺でやるって未夢が・・・」 「わかったっ!すぐ行くっ!!(ガチャッ!!)」 (ツーッツーッツー・・・) 「・・・。」 「ねぇ、おにーたん、未夢おねーたんのところにいくの?」 ももかが兄の栗田に聞いた。 「う、うん・・・。」 「ももかも行くっ!ルゥに会いに行くんだもんっ。マイダーリンルゥ、 待っててね〜。」 話はまた西園寺・・・。 「ただいまです〜っ・・・。」 ワンニャーが疲れたような声で帰ってきた。 「ワンニャーっ。お前今までどこに行ってたんだよっ。・・・って、買い物か!?」 彷徨がワンニャーに尋問した。 「はい。そうですが何か?」 何でルゥを置いて行ったんだよっ。買い物に行ったんなら連れて行けよ。」 「それは、ルゥちゃまは気持ち良く寝ていましたので、起こすのも悪いと 思いまして。それに未夢さんや彷徨さんもいらっしゃったので 大丈夫かと思いまして・・・。ところで何でそんなに慌てていたのですが? もしかしてルゥちゃまが居なくなったとかっ!?」 「あ、いや・・・居る。でもこれからは出かける時はルゥを連れて行くかおれたちに 何か一言言っておくようにしてくれ。」 「はい、すみませんでした・・・。」 彷徨はルゥが空を飛べる事を烈度に気付かれた事を伏せておいて、とりあえず 落ち着いた。 「あっ、彷徨。ワンニャー。」 「あっ、未夢さん。」 「お、未夢。こっちはもうやつら呼び終わった。」 「誰?」 「三太、光ヶ丘、栗太。」 「みんな呼んでくれたんだ。」 「そっちは?」 「綾ちゃんがななみちゃんを呼んでくれて、あと、クリスちゃん・・・。」 「なんか一波乱、ありそうだな・・・。」 「参りますな〜・・・。そういえばワンニャーはどこに行ってたの?」 「あ、はい。買い物に行ってきました。」 「そう・・・。でもごめん!ルゥくんを連れてちょっとどこかに行っていて ほしいの!」 「えっ・・・そ〜ですか〜・・・。」 ワンニャーはげっそりした気分で言った。 「わかりました。ルゥちゃまを連れてモモンランドにでも行ってきます。」 「悪いなワンニャー。」 「いえいえ。私が居るせいで未夢さんや彷徨さんに迷惑はかけられません。 お友達の皆さんと楽しんで下さい。それでは行ってきます〜っ。」 「ワンニャーのやつ、さっきルゥを置いて買い物に行ったんだよ。 おれたちが居るから大丈夫だろうって。まあでもおれたちもルゥの事気付かなかった のがいけないんだけどな・・・。」 「うん・・・でもワンニャーったらシッターペットなのに、まぬけなところが多い よね・・・。」 彷徨は少し間を置いたがまた話し出す。 「まあな。でもあいつのおかげで今のおれたちがあるんだから感謝しなくちゃな、 ワンニャーには。」 「そうだね・・・。」 「さて、忙しくなるぞ。ワンニャーとルゥがいないうちに残りの部屋を片付けるぞ、 未夢。」 「忙しいですなぁー〜・・・。」 未夢と彷徨は心の休まる暇がないようだ・・・。