『未夢の誕生日』 翌日、起きると時刻はAM11:00を回りもうそろそろ正午だという時間・・・。 「きゃー!?もうお昼!?彷徨っ!どうして起こしてくれなかっ・・・ あれっ?」 未夢が叫びながら起きてくると居間には誰も居なかった。代わりに書置きが。 =================================== 昼もう食ったから 三太んちに遊びに行った後 どっかに出かけてくる 帰りは夜遅くなるから by彷徨 未夢さんへ ルゥちゃまとペポを連れて散歩がてらデパートへ買い物へ行ってきますね お昼はお弁当作っておきましたので召し上がって下さい  ワンニャーより 追伸 お前の寝顔気持ち良さそうだったから起こさなかった 恨むな(彷徨) =================================== 「・・・って、えー私の寝顔彷徨見たの!?勝手に私の部屋に入ってきてー!!」 ぐぅ〜・・・。 ・・・。 叫んだらお腹減ったな。そう言えば朝寝てて食べなかったし、それにさすがにもうお昼だし。 とは言ってもお昼というにはちょっと早いかな。寝起きはそんなに食欲ないや。 それにしても、彷徨に告白したのに何かあんまり前と雰囲気変わってないなあ〜・・・。 そんな事を思いながらパジャマから私服に着替えて歯磨きしたり朝の準備を色々 こなしていく。 でも、これから学校があるわけでもないし、宿題なんかないし、やる事がない。閑すぎ。 こんなに暇になったことなんて一度もなかったような・・・。 ぼ〜っと休日のテレビを見ていたらもう12時。 とりあえず一人でご飯を食べることに。でもこれから何をするか考え込んでしまう。 別に今欲しいものある訳でもないしな〜・・・。 ご飯を食べ終えて皿も洗い終えた頃、玄関の方からインターホンと掛け声が。 「未〜夢〜ちゃ〜んっ!!」 あの声は・・・綾ちゃんだっ!! 「は〜い!」 ガララっ。 ・・・今時横開けのドアなんか中々ないなと思ったりする作者であった。 「あ、ななみちゃんもいるんだ〜。」 「未夢、今日暇?これからどっかデパートに買い物に行かない?」 「いいよ〜ちょうど何すればいいか考えてたところだったし! あ、でも買いたいものはないなぁ〜・・・。」 「それじゃとりあえず行こうよ!なくてもできるかもしれないし!」 綾が行こう行こうと誘ってくれる。未夢も支度して家に鍵かけて出かけることにした。 階段を降りた頃、未夢が言う。 「あっ!彷徨鍵持って行ったかな・・・。」 「西園寺くん家に居なかったんだ?」 「何かどっか遊びに行くって・・・。」 「そっかぁ〜っ!」 話を流すかのように綾がそう言った。 「え?なになに?」 未夢が疑問を持って綾に聞く。 「ううん何でもないよ!!」 妙にハイテンションな綾。 「ねっ、ななみちゃん!」 「あぁそうだねぇ〜何でもないかもね〜。」 「あ〜!二人で内緒話して〜!教えてよ〜っ。」 「また後でね〜。」 未夢はどうしても知りたがっていたが綾たちは教えなかった。 そうこう住宅地の道を歩きながら場所はいつしか街中に。 デパートもそろそろな時に綾は聞いた。 「・・・ねぇねぇ未夢ちゃん、西園寺くんに告白はした?」 「えっ!!!何で急に??!??!」 未夢は太陽よりも顔を赤くして驚いた。 「なぁ〜んでそんなに赤くなる必要があるのさっ。もうちょっと程々に照れなよ未夢〜。 何かあった?」 ななみがそう聞くと、ななみたちは思っていなかった意外な答えが未夢の口から出る。 「告白・・・した・・・。」 ぇ・・・えええ〜〜〜!?!?!!?? 冗談半分で聞いたのにまさか本当に告白してるなんて夢にも思わなかった二人。 「それでっ!それでっ!西園寺くん何て言ったっ!?」 何か面白そうに聞く二人。未夢もから笑いしながら答える。 「か・・・彷徨もそうだったって・・・。」 や、やっぱりぃ〜ゴォルゴォルゴォ〜〜〜〜ル〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪ とうとう二人は念願の両想いにまで辿り着いたのね☆ 「でそれで、何か展開あった!?」 綾、興奮しすぎである。 「う〜ん、別に特に何もないかも。いつもと一緒だよ。私もそれで十分幸せだし・・・。」 何か、いつも可愛らしい未夢ちゃんがすごく大人っぽく見えたな・・・。 ちょっと羨ましい。 演劇命の綾も恋に憧れる乙女なのかも。 「ま〜これからも仲良く今の関係を保つんだよ新婚さんやい♪」 聞いてるななみも恥ずかしくなるほどだった。未夢の肩に手をかけ、 からかうようにして言うななみ。 「ちょ、ちょっと、まだ新婚さんだなんて早いよ〜っ。」 恥ずかしいっ、恥ずかしすぎるっ。未夢はのろけさせられているような気がした。 そして色々話は弾み、今までの事などを休憩コーナーで語り合ったり、 色々食べたり売り物を見たり、さっきまで暇だったはずの時が急に 楽しい時となった。 で、時々未夢をからかったりする綾とななみ。あんまりいじめちゃいけないよ。 突っ込みも程々にする彼女たちは、未夢たちの事を充分に理解してくれている、 そしてその恋を応援してくれる、最高の友達である。 閑は遅く、楽しい時は早く流れる時と言うのは不思議なもので、時刻はもう午後5時を回り、 太陽も沈み始め夕焼けとなる頃。 「今日は楽しかったよ!ありがとうね!」 「ううん!久しぶりに色々語り合えて良かった〜っ!」 綾が笑顔で言ってくれる。綾ちゃんも充分可愛いのにね。 未夢は綾に対してそう思った。 「ま〜とうとうゴールした訳だけど、これから大変だよねぇ〜・・・ お父さんお母さん帰ってくるんでしょ?」 ななみが同情するように言う。 「うん。でもそれはそれでパパとママが帰ってくるのは、家族が戻ってくるのは嬉しいよ。」 でも、今の家族はペポ、ルゥ、ワンニャー、そして彷徨。 どちらが大切かなんて甲乙つけがたいほどの大切な家族。 分かれる家族と戻ってくる家族。 どちらが幸せなんだろうとか考えたくないんだけどね。 「綾ちゃんななみちゃん、それじゃ〜また今度ね。バイバイ☆」 「あっ!ちょっと待って未夢ちゃん!」 「おお〜っとそうそう大事なもの忘れるところだったねぇ〜間一髪!」 「え?」 綾とななみがバッグの中をごそごそと探して取り出したもの。 綾は銀色のクローバーキーホルダー、ななみは小さな犬のマスコットを取り出した。 「未夢ちゃん、誕生日おめでとう!」 「こんなものしかなくて悪いね〜。受け取ってくれる?」 綾とななみがそっと差し出してくれたプレゼント。 今までほとんど誕生日プレゼントなんかもらった事なかったのに。 「え・・・あ、ありがとう!綾ちゃんななみちゃん!!」 極上の笑顔がお礼のように、未夢は言った。 そう言われて綾もななみも嬉しくなった。 「あまり気にすんな未夢〜。旦那さんを大切にしなよぉ!」 最後の最後までのろけですかななみちゃん! 「わ、わかってるよ!でも旦那さんって・・・。」 「それじゃあまた今度ね未夢ちゃん。バイバイ〜っ。」 綾が手を振って帰ろうとする時、三太が通りかかった。 「あれ〜光月さんじゃない〜。」 「三太くん!」 「な〜んか微妙なタイミングで現れるねぇあんたは・・・。」 ななみが呆れるように言う。 「何やってたのこんなところでさぁ〜。」 三太が聞いた。 「今日は未夢ちゃんの誕生日なんだよ!」 綾がそう言った。 「そうなんだ〜。あ、じゃあこれプレゼントするよ! はい!新しいトリのレコード買った時におまけでついてきたんだぁ〜。 ぬいぐるみだよ、白い鳥。略して白鳥!」 まんまじゃん! 「あ、ありがとう三太くん・・・。」 苦笑いで受け取る未夢。 でも、その白鳥のぬいぐるみはかなり綺麗。 「お、黒須くんらしくないって言うか珍しくちゃんとしたものだね〜見直したよ。」 ななみが感動するように言った。 「そりゃないよ天地さん〜。」 「そうそう三太くん、彷徨見なかった?」 未夢が思い出したように聞いた。 「え?なんで?」 「だって今朝からお出かけしてて三太くんと遊んでくるって言ってたから・・・。」 未夢がそう言うと三太からは意外な答えが。 「え?彷徨のやつ今日おれと一回も会ってないよ?」 「え?」 未夢が混乱する。じゃあ他にどこに行くところがあるんだろう??? 「あぁ〜なるほどね・・・。」 ななみは勘が鋭く、彷徨の行ったところを予想した。 「もしかしたら街かデパートですれ違ったりしてたかもね〜。」 「え?どういう事?ななみちゃん。」 未夢がまったくわからないという様子でしがみつくようにななみに聞いた。 「・・・あんたねぇ〜せっかく両想いになったんだから少しはわかるでしょ この天然ボケ鈍感〜。」 「ふぇ〜っ。」 ななみが未夢の頭をごりごりとこする。 「帰って少し待てばわかるよ未夢ちゃんっ。」 どうやら綾もわかっているらしい。そりゃそうだ、恋の演劇作ってたらわからない方が おかしいかもっ。 「何で〜っ。」 「ああ、彷徨なら親戚のお兄さんと一緒だったよ〜確か。街に行く時見たけど走ってった からさぁ〜。」 三太が思い出したように言う。 「ほ〜らねぇやっぱり。」 ななみは自分が考えていたとおりに話が展開していって楽しそう。 綾ちゃんもまるで自分のことのように照れ笑いして未夢を見る。 何がなんだか分けがわかりませんと言う顔の未夢はどうしたらよいのやら。 「それじゃ〜おれ家に帰るから。またね〜。」 「未夢〜幸せにね〜っ!ニクイゾ〜っ!!」 「未夢ちゃんまた今度演劇のネタにさせてね〜っ!」 ・・・。 何だかかなり勝手な妄想をされて去られて取り残された未夢。 何か拍子抜け。 とりあえず貰ったプレゼントを見て幸せに浸ってから帰路につくことにした。 デパートの疲れを後押しするような西園寺の長い階段。 いくら慣れてても疲れたときにこれはキツイよ。 ひいこら言いながら階段を上る未夢。 すると後ろから突然聞き覚えのある声が。 「未夢ちゃんっ!」 その人は未夢の肩を持っていった。 「はい・・・?って、彷徨っ!?・・・ん?あれ?未夢ちゃん?」 度アップの彷徨の顔が未夢の目の前に。でもこの声は・・・ 「あ!星矢くんね〜!!」 そう言ってビンタをかますと彷徨の顔が回転した。 「ひゃぁ〜!」 未夢は妙な光景にびっくり。 「あはは〜ごめんごめん未夢ちゃん。はいっ!」 ぽんっと変身をいつもの少年の姿にする星矢。 「貧乏宇宙旅行者の夜星星矢で〜っすっ!」 毎回このパターンで出てくるのにいつもびっくりさせるんだから星矢くんは。 って言うか母星ではどんな姿してるのやら。 「また現れて。今度は何しにきたの〜?」 「ごめんね〜またちょっと心を読ませてね〜。」 そう言って気軽に手に触れてくる星矢。 何で星矢には気軽に手を触れさせることができるのやら。 心を読むためとはわかっていても何故か恥ずかしく照れてしまう。 と言うか心を読まれることに異議はないのだろうか未夢は。 「はは〜んやっぱりそうなったか〜おめでとう未夢ちゃん!」 「まったくどいつもこいつもからかいにきて〜っ!」 顔を赤くしながらプンプン怒る未夢。 「あははっ。相変わらず未夢ちゃんは可愛いなあ〜♪ そんな可愛い未夢ちゃんにはいっ!これっ!」 また可愛い可愛いって・・・って、ナニコレ? 「未夢ちゃん誕生日おめでとう〜☆」 星矢くんもプレゼントくれるの? 今までほとんどそう言うのなかったのに、しかも宇宙人からまでプレゼント。 素直に喜んでおこうかな。 ・・・でも、ひよこのマスコットって。 「ごめんね〜貧乏でお金ないからこんなのしか買えなかったよ〜。 シャラク星産のおもちゃだよ!地球のものとあんまり変わらないんだけどね!」 ・・・あんまりって言うか見た目全然変わらないのでどう見ればいいのかわからないん ですが。 もしかして中に隠しカメラあったり? そのおもちゃをかなり疑いながら未夢は探ってみた。 「別に今回はホントに何もないってば〜っ!」 本当かなあ? 「まあいいや。ありがとうね星矢くん。」 「彷徨くんは居るの?」 「ううん。どっか出かけてそのまんま。 それよりまた地球に来たって事は何かあるんじゃないの?」 「ルゥくんの救助隊が、明日の夜に到着するみたいだからね・・・。」 「とうとう・・・か・・・。明日の夜なんだね・・・。」 自分の誕生日と、ルゥとの分かれ。 喜びと悲しさの板ばさみになった未夢はどう言う感情をしたらいいのかわからない。 「心配だから伝えに来たんだけど、彷徨くん居ないなら未夢ちゃん伝えておいてね。」 「うん。わざわざありがとう。」 「それでどうやってルゥくんたち帰るの?」 「どうやってって・・・その救助船で帰るんじゃないのかな?」 「そうじゃなくて、どうやってその救助隊に乗るの? それに、救助隊が地球の近くでまたブラックホールに吸い込まれちゃうかもしれないし。」 「ワンニャーが前に、オット星の科学はシャラク星よりも優れてるって。 地球の近くから西園寺の真上にワープして、その時ルゥくんたちを救助船にワープさせるん だって。ワープばっかりですごいよね。 多分、ルゥくんたち乗せた後またワープするから多分大丈夫なんじゃないのかな。」 未夢はルゥたちの帰路方法を色々星矢に教えた。 すると星矢は納得したようで安心した。 「そうなんだ。安心したよ。ちゃんと問題なく帰れるんだね。」 「うん。」 「未夢ちゃんは、大丈夫?」 「何が?」 「ルゥくんたち帰る時、笑顔で見送れる?」 確かに、寂しさのあまり泣き出してしまうかもしれない。 それでも何とか笑顔で見送るしかない。 「うん。大丈夫だよ。」 「そっか。彷徨くんが隣に居るもんね。」 「なっ!」 「それじゃあね未夢ちゃん。また今度来るからね。」 そう言うと星矢はどこかへ行った。 何かため息を付きながら再び未夢は階段を上り始めた。 ===================================================================== written in 2003.09.26