『強盗に襲われる!』 かくれんぼを無事(?)に終えた未夢たちは、ルゥとワンニャーの帰りを待っていた。 「今日は昼は三十七℃もあったけど、さすがに日が沈むと涼しいな。」 「そうだね〜っ。ルゥくんお昼大丈夫だったのかな・・・。」 「ワンニャーが居るから大丈夫だっただろう。あいつ意外にしっかりしてるからな。」 「間抜けなようでしっかりしてるから、頼りになるのかならないのかわかんないよね〜 ワンニャーって。 はぁ〜ぁ・・・先にお風呂入ろうかなぁ・・・。」 「まあもうすぐルゥたちが帰ってくるから、その後にな。」 「そっか。彷徨絶対覗かないでよ!」 「うるさい知らねぇよそんなもんは!」 「そう言えば、かくれんぼやってた時よくルゥくんたちのUFO見つからなかったよね。」 「そう言えばそうだな。竹村って戸開けっ放しだったし・・・ まあかくれんぼなんかやってたから見晴らしよくするには当然だけどな。」 「よくルゥくんの所の襖だけは開けられなかったよね。」 「おれたち悪運強いかもしれないぞ。」 「あはは。そうかもね。今日なんかクリスちゃん怒ってたけど何も怒らなかったし。」 「・・・。」 「?急にどうしたの?」 「いや、実は烈度にルゥが飛んでるところ見られちゃったんだ・・・。」 「えええ〜!?」 「側に零も居たけどよそ見してたらしいから、バレたのは烈度だけだけど・・・。」 「ちょっと!学校で話されたらどうするのよ!」 「それは多分大丈夫だと思う・・・学校で話すつもりなら、本堂に居た時しゃべっていた はずだから。それに・・・」 「それに?」 「あいつが学校に持ってきていたぬいぐるみのようなスライム。あれって何だか生きてる ような気がした・・・。」 「それって、あのスライムが宇宙人だって言う事?」 「それはわからないけど、何となくそう思っただけだ。まあ烈度たちにはあまり油断は禁物 だが、悪いやつでもないみたいだから多分大丈夫だとは思うけど。」 「そう言えばルゥくんとワンニャー居た時ペポは見なかったけど・・・?」 「ああ、それならルゥの手の中で寝てたよ。ワンニャーと一緒に連れられて行ったから。」 「あ、今思い出したけど、望くん、恵ちゃんに変なバラ渡してたよ。」 「変なバラ?」 「バルカロールとか何とかって言う、黒っぽいバラ〜。可笑しいよね〜。」 「なんだそれ。」 久しぶりの未夢と彷徨だけの二人きりの一時。二人は苦労を共にしてきたために、 話が尽きなかった。 苦労と言っても、ほとんど妙な苦労ばっかりだっかが。 「・・・それにしてもワンニャーのやつ遅すぎるな・・・もう7時半だぞ? モモンランドも閉まってるんじゃないのか。」 「じゃあ、デパートに買い物に行ってるとか?」 「そうとも考えられるけど、その前に買い物済ませてたからそれはないと思った けど・・・。」 「今日はいっぱいお友達来たから、ワンニャーったら遠慮しちゃってるんじゃない?」 「そうだと良いんだけどな・・・って良くはないか。何か嫌な予感するんだ・・・。」 「それはちょっと考えすぎじゃない?彷徨珍しいね。」 「お前こそ珍しいな。やけに落ち着いてるじゃん。いつもならルゥくん誘拐されたのかも〜、 とか言って騒いでるくせに。」 「だってそうやって心配していつも取り越し苦労だから、今回もきっとそうだよ〜。」 「でも、7時半は初めてだぞ。遅くなるなら連絡ぐらいあってもいいんじゃないか・・・?」 「う〜ん・・・そう言われるとそうかも・・・。」 彷徨に言われて未夢はちょっと心配になってきた。そこでインターホンが鳴った。 ピンポーン・・・ 「あっ、ワンニャーたちだよ!もう叱ってやらなきゃ!」 でも彷徨はちょっと考えた。何でベルを押す必要があるんだ?そんなに荷物が多いのか。 もしかして・・・ 「おい!未夢!ちょっと待て!」 だがもう遅かった。 彷徨が玄関を見ると、そこには知らない中年の男が一人。未夢を捕まえてナイフを突き出して いる! さらに後ろには、何とペポとルゥとワンニャー・・・! モモンランドで遊ぶため、ルゥと一緒に遊ぶため子供に変身してももかとルゥを連れて行った のだ。 ももかはワンニャーから連絡があったため、西園寺に来ずワンニャーたちと行動を共にして いた。ももかは5時頃に家に帰っていったが、ワンニャーたちはそれからもうちょっと モモンランドで遊んで行き、そして6時頃帰ろうかとした所に、この中年の男に捕まえられて しまったらしい。 子供に変身していたため力では敵わず、かと言って人間に変身能力を見られる訳には いかない。 ワンニャーは最後の最後まで変身はしなかったのだ。 「彷徨さん、すみません・・・私が馬鹿だったばっかりにっ・・・。」 ワンニャーは泣きながら彷徨に訴えた。 「彷徨!来ちゃダメ!ルゥくんたちは私が助ける!」 未夢は中年の男に手を捕まれ、解こうとするがやはり中学二年生の女の力では敵わない。 「お前、この状況わかってんのかぁ〜!?」 そう言いながら未夢にナイフを突き出し、大人しくさせる。」 「・・・未夢から離れろ。」 「あ゛?」 「未夢から離れろ!!!」 そう言うと彷徨はなりふりかまわず中年の男に殴りかかった。 中年の男はその勢いによろめいたため、未夢を手から離してしまった。 「この野郎!ぶっ殺すぞ!」 「次はルゥたちを返してもらおうか。」 「おお!返せるもんならなぁ!」 そう言うと男はルゥにナイフをあてがった。 「ルゥ!」 「ルゥくん!」 「ルゥちゃま!」 「こいつが死んでもいいんなら、このワンニャーとか言うガキは返してやるぜぇ。 さあ金をだしな!」 「くっ・・・卑怯な・・・。」 彷徨は動けなくなってしまった。 「さあ小娘、こっちに戻って来い。この赤ん坊を殺されたくなかったらなぁ〜。」 男は再び未夢を手に戻そうとした。 「行かない!」 「あぁ゛?」 「この家には、あなたにあげるようなお金も何もない!」 「てめぇ・・・身の程がわかってねえようだな、まずてめえから血祭りか〜!?」 男はナイフをかざしながら未夢に襲い掛かろうとした。 「未夢、危ない!!」 「彷徨っ、きゃっ!」 ナイフは未夢の左腕をかすった。未夢の白い肌から赤い血が流れ出る。 「・・・!!!」 彷徨の中で何かが起こった。 「この野郎がぁーーーーー!!!!!」 彷徨は男に思いっきり殴りかかった。 彷徨より体重もあるはずの中年の男はその勢いで3mくらい吹っ飛んだ。 その時、ルゥたちは男の手から離れた。 「はぁっ・・はぁっ・・・!」 「ルゥくん!」 「未夢さんっ、大丈夫ですかっ!?」 「うん、こんなの平気っ、ルゥくん!大丈夫!?」 「う・・・マンマァ・・・パンパァ〜〜〜!」 「ルゥくん・・・!」 ルゥは恐怖からの解放と安全の安心感から泣き出してしまった。 「おいてめえ・・・覚悟しろ・・・!」 「くっ・・・ガキの分際で調子に乗りやがってえ〜!」 男はナイフを手放してしまったが、再びナイフを手に取った。 そして本堂の方へ行き、金品を奪って出てきた。 「返せるものなら返してみろ!今度はそうはいかねえぜ!」 だが、彷徨は追う気にはならなかった。 男は負け惜しみを言ってその場を去ろうとする・・・。 「ざまあみろ!あばよ!」 だがその時、山のように巨大な紅蓮の炎が、一瞬階段を覆った。 「げっ!何だこりゃあ!逃げれねえ・・・!」 その様子を見た彷徨たちは、階段の方へ駆け寄った。 すると、炎の中から烈度が現れた。 肩には、あの青いスライムが乗っている。 「なっ、何だてめえ!肩におもちゃなんか乗っけてカッコつけて登場なんかしやがって! 邪魔すると殺すぞ!」 「・・・スラ、行け!」 烈度がそう言うと、その青いおもちゃのはずのスライムが突然炎を吐き出した。 「ぎゃあああ〜〜〜!」 そう言うと男は逃げていった。 「逃がすな零!」 「わかってるよ。お前ってこう言う時はコレだからな・・・スラ、行くぞ!」 青いスライムがぴょんと零の肩に乗った。 その様子を、彷徨たちは唖然と見ていた。 「こんな事になるなら、もっと早く警察に連絡していれば・・・。」 彷徨たちは言葉をかけれなかった。 だが、未夢は尋ねた。 「あなたたち、一体何者なの・・・?」 「私も零も普通の人間だよ。でも、あのスライムのスラは宇宙人なんだ。」 「ええ〜!?」 ワンニャーたちは驚いた。 「私も宇宙人かどうかはよくわからないんだけど、多分宇宙人以外に考えられないよ。」 「あ〜っ!わたし聞いた事がありますっ。スライムの住む星の事をっ・・・確かペポの星に 近かったような・・・。」 ワンニャーが思い出したように言った。 「とりあえず、今は光月さんの傷の手当てとルゥくんを安全な家へ・・・後は私たちに任せて おいて。警察も呼んでおいたし、もうすぐあの中年の男も捕まると思う。」 「・・・おれに力がないばかりに・・・。」 「・・・彷徨くん、誰だって力はないよ。力って言うのは皆で生まれてくるんだと思うよ。 例えば光月さんと彷徨くんのように・・・。さあ、家の中へ。またね。」 そう言うと、烈度も階段を下り零の後を追いかけ始めた。 「未夢、大丈夫か?」 「うん、私は全然問題ない!それよりルゥくん・・・。」 「すー・・・すー・・・。」 「わんにゃぁーっ♪」 ポムっ♪ワンニャーは変身を解いていつものラブリーな姿に戻った。 「ルゥちゃまは、疲れて眠ってしまったみたいですね・・・。」 「ルゥのやつ、眠っちゃったか・・・。でも本当に無事でよかった・・・。」 「うん・・・良かった・・・本当に・・・。」 未夢も安心して泣いてしまった。 「未夢、ごめんな。」 「ううん、私が強盗なんかに捕まるからいけなかったんだよ・・・。」 「それなら、わたしが一番問題ですっ・・・ルゥちゃまをお守りするはずのシッターが・・・ ベビーシッター失格です・・・。」 すると、ルゥが起きて閉じかかった純粋な眼でこう言った・・・。 「・・・わんにゃっ・・・パンパっ・・・マンマっ・・・。」 ルゥの無事な姿を見た三人は、心の底から安心した。 「良かった・・・皆無事で・・・。」 「うん・・・良かった・・・。」 「もうわたしは二度と強盗なんかに捕まらないって断言しますっ!」 「さあ、もうこんな嫌な事はいいから、飯にしようぜ!あ〜体動かしたから体ガタガタ。」 「そうだね・・・ワンニャーっ、早速で悪いけどご飯作ってーっ!」 「でも結局、最後はこういうオチですか〜っ・・・。」 平和な『家族』は完全に戻った。 もう二度とこういう事は起こらないと未夢、彷徨、ワンニャーは誓った。 「それにしても彷徨さん、未夢さんを救うときはすごかったですよ〜っ。」 「そうか?」 「そうそう!見た事ない彷徨だったぁ・・・私もちょっと怖かったよ。一緒にぶん殴られるん じゃないかってっ。」 「もしかして彷徨さん〜、未夢のコト・・・。」 「おっ、おれは別に未夢じゃなくてルゥを救いたいがためにだな!未夢をたてにしたあの野郎 が許せなかっただけだよ!」 「じゃあ!私なんかどうでも良かったって言うの〜っ!?彷徨なんかあのまま倒されてれば 良かったのよ〜!」 「キツイ事言ってくれるぜ!」 「やっぱり最後は、こうなってしまうんですかね〜・・・。」 ワンニャーはこの未夢と彷徨の喧嘩こそが、平和の証なんだなと思いながら苦笑いしてその 様子を見ていた。 「マンマ!パンパ!」 ルゥは未夢と彷徨が喧嘩している事を不満に思っているようだ。 「あ、ルゥ悪い悪い。」 「ルゥくんごめん〜っ!彷徨のやつがあんまりうるさいものだから〜。」 「お前、やる気か〜!?」 「受けて立つわよ〜!」 「お二人ともいい加減にして下さい〜っ!」 「パンパっ☆マンマっ☆」 その夜、未夢と彷徨は口喧嘩が尽きなかった。 あの事件は忘れるはずだったのに、喧嘩のネタにまでしてしまうなんてすごい『家族』 だった。 しかし、それはとても幸せそうであった。 翌日、昨日の事件が新聞に載っていたため、学校で話題になった。 「彷徨っ!昨日強盗があったんだって!?」 「未夢ちゃんっ!その包帯どうしたの!?」 未夢と彷徨が教室に入ると、クラスの皆が一斉に駆け寄った。 だが、烈度と零と恵と佳奈子は四人でおしゃべりをしていた。 未夢と彷徨は何とか皆から抜け出し、烈度の元へ行った。 「昨日はありがとう。」 未夢と彷徨は烈度たちにお礼を言った。 「はてさて、何の事かな?歓迎会を開いてくれた光月さんや彷徨くんに礼を言われるなんて、 礼を言うのはこっちだよ☆昨日の男は警察に捕まったし、一件落着っ!」 烈度は暗黙の了解と言わんばかりにウィンクして見せた。 零や恵や佳奈子は、三人で烈度を殴った。 「「「調子乗りすぎ!」」」 「痛い!三人とも敵〜っ!?」 六人とも笑っていた。 授業のベルが鳴り、水野先生が入ってくる。 やはり先生からも色々聞かれたが、大丈夫と言うことで先生も落ち着いた。 色々あったが、なにはともあれ皆無事でよかった。 しかし、栗太がその日学校に来なかったのは言うまでもない事だった。