『関係の接近 −4−』 次の日・・・。 「未夢ちゃーん☆」 「えっ、どうしたの?」 綾とななみがニコニコしながらやってきた。 「昨日未夢ちゃん帰り遅かったんでしょー?」 「えっ、何で知ってるのっ?」 「昨日ね、西園寺くんが私たちの家に来たんだよーっ♪」 綾がほっぺに手をやって喜びながら言った。喜んでいる理由は、ネタになりそうだから。 「未夢、あんたもこんだけ想われて幸せもんだねぇー。」 「・・・ななみちゃんの所にも彷徨行ったの?」 「あ〜、未夢がどーのこーのって、夜7時くらいだったかなぁ〜?結構焦って来てさあ。」 彷徨・・・? 私の、ために・・・? 未夢は彷徨の方を振り返ると、彷徨は席で三太の話をしながらぼーっとしている。 と言うか、三太の話に対してわかったわかったと言うような感じで。 「あたしたちん所にも来たんだから、きっと黒須くんの所にも行ったんじゃないかな〜 西園寺くん。」 ななみが未夢にニヤっとしながら言った。 「後で黒須くんにも聞いてごらんよ。いい事が聞けると思うよ。」 ななみが未夢の肩をポンと叩いて言った。 昼休み・・・ 「あの、三太くん。」 「え?どうしたの光月さん。」 未夢は思い切って三太に聞いてみることにした。 「昨日、彷徨が三太くんの家に夜遅くに行ったって、本当?」 「うん。本当だよ。彷徨が・・・ ========================================== 夜7時頃。トリのレコードをヘッドホンで聞いていた三太。 ピンポーン。 『三太ー!ちょっと出てちょうだいー!』 母が呼んでいる。しかし三太気付かず。 『もうー。はーい。』 『もう、何やってんの!彷徨くんが来てるわよ!』 母が三太の部屋に入ってきた。 『え?彷徨が?今行くよ。』 玄関を開けると、そこには息を切らした彷徨が居た。 『おい三太、未夢見なかったか?』 『何で?光月さんならとっくの昔に帰ってるだろ?』 『それが帰ってこないんだよ・・・どこに居るのやら・・・何か知らないか?』 『そう言えば今日平尾デパートで新しいトリのレコードが売っててさ〜・・・ っておーい彷徨〜聞いてくれよ〜!』 彷徨は聞くか聞かないかの内に飛び出して行ってしまったのである。 ========================================== 「せっかく新しいレコードの話をしようと思ったのに彷徨のやつ聞いて くれなかったんだよ〜。そー言えば光月さん昨日はどっかに・・・ って光月さんもかよ〜。」 泣きながら手を伸ばしている三太。未夢はもうそこに居なかった。 「ねえっ、彷徨見なかったっ?」 「ああ、屋上で飯食ってくるって、一人で行ったよ。」 通りすがりの男子に聞いた。未夢は迷うことなく屋上へ。 タンタンタンっ・・・階段を登る音・・・ バンッ! 屋上のドアを開けると、彷徨が座って柵に寄りかかって弁当を食べていた。 「えっ、未夢っ、何でここに?」 「はぁっ、はぁっ。・・・彷徨、昨日私を探してくれてたって、何で言ってくれなかった のよ!」 「・・・別に言う事もないと思っただけだけど・・・。」 「・・・何でこんな所でお弁当食べてるの?」 「ただの気分転換だ。文句あるか?」 「・・・。」 未夢はしばらく沈黙した。 「・・・お前弁当は?」 「・・・ワンニャーが作り忘れたから今日はない・・・。」 「お前の分もなかったのかよ・・・。」 今日はワンニャーが寝坊して弁当を作ってくれなかった。彷徨は未夢の分はあると思って 自分の分しか作っていなかった。 「まあそんなところにいないでこっちに来いよ。」 「・・・うん。」 未夢は彷徨の横にちょこんと座った。 ・・・ しばらくの沈黙・・・。 「ねぇ彷徨。」 「ん?」 彷徨はご飯をほお張りながら反応した。 「昨日、何で私を探してくれたの?」 未夢は思い切って聞いてみた。 「夢を・・・。」 「え?」 「夢を見た・・・。」 「どんな?」 「未夢が崖から落ちる夢・・・。」 「それだけ?」 「それだけでいいだろ。」 「ぷっ・・・あははははっ・・・。」 「なっ、何がそんなに可笑しいんだよっ!!」 未夢は突然笑い出した。 「だってっ・・・彷徨がそんなに心配性だとは思わなかったなあ。 おじさんがインドで行方不明になった時は、どっかでふざけてるんじゃないかー なんて言ってたのにさーっ。」 「親父はふざけてるからだよ。親父の性格わかってるからだ。」 (それに、おれは未夢以外のことには心配性にならねぇよ―――) 「え?何か言った?」 彷徨はうつむきながら自分の心にも聞こえないほど小さな声でささやいた。 「・・・なんでもねーよっ。」 彷徨は空を見上げて返事したのである。 「そうっ。あ〜あ〜、お腹減ったな〜。」 未夢は可愛らしく悲しそうな顔で言った。本人は気づかなくとも、 その仕草が可愛らしい。 「ごちそーさまっ。」 「え?彷徨まだ残ってるよ?お腹いっぱいになったの?」 彷徨は自分の作ったお弁当を残してしまった。 「もういらねーや。お前食え。ほれ、割り箸っ。」 「えっ・・・って、ちょっと・・・。」 彷徨はさっさと屋上から去っていってしまった。 ・・・ 一人取り残された未夢。 「・・・いただきます・・・。」 未夢は手を合わせて言った。 お腹の減っていた未夢は、彷徨の食べ残した弁当を食べる事にした。 「お、彷徨、どこに行ってたんだ?」 三太が彷徨に聞いた。 「屋上っ。」 「そー言えば光月さんも屋上に行くところ見たけど・・・会ってきたのか〜?」 何でこいつはこう言う事をさらりと平気で聞けるんだ。 「未夢?知らねーけど。」 ・・・何で嘘なんかついちまったんだろーな。 すると未夢が教室に戻ってきた。 「彷徨ー、弁当ありがっ・・・!」 「あー弁当置いたままだったかーサンキュー未夢ー。」 彷徨は未夢の声の邪魔をするかのように言った。 そして小声で忠告。 『花小町が見たらまた誤解するだろ。』 だが時既にもう遅し。 「未夢ちゃんと彷徨くん・・・あんなに仲が良くてなんて羨ましいのかしら・・・ 私なんかこうやって陰から覗いてるばかり・・・ 今日も二人仲良く屋上になんか行っちゃったりして・・・ 彷徨『未夢ー、お前のために作ってきたんだ!はい食べろよ、あーん♪』 未夢『彷徨!ありがとう!あーん・・・』 なーんてチョウいけない事ですわあ〜〜〜!!!!!」 「ち、違う花小町!おれが弁当忘れて置いてっただけだ!」 「あら、そうでしたの・・・いけませんわ、またしても逸ってしまって・・・。」 ・・・おいおい。 学校の帰り・・・ 「おーい未夢っ。」 「あ、彷徨。」 「帰るぞー。」 「わかってるわよっ。・・・って今日は委員会ないの?」 「ああ〜・・・久しぶりに早く帰れるような気がするな〜。」 「そっか〜。じゃあケータイは使わなくていいね。」 「遊び道具じゃなくて緊急連絡用なんだからな。」 「わかってるわよ!いちいちうるさいわね!」 「何だよ!心配してやってるのに!」 「私はそんなお子様じゃないですよーだ。」 また二人は喧嘩し始めてしまった。何で。 未夢は舌をべっと出して言った。 「幼児体系のくせに。」 「なっ・・・どこの事言ってんのよ!彷徨の変態!」 彼らは校門のから去っていった。 「・・・どーう考えてもあの二人、お似合いだよねぇ・・・。」 ななみが、見てるこっちが恥ずかしいと思いながら言った。 「キラキラキラ・・・☆」 「・・・は〜あっ・・・!」 綾が目を光らせている。ななみはため息っ。 一方未夢たち。 「彷徨がいけないんでしょ!」 「未夢がドジばっかやってるからだろ!」 まだ喧嘩してました。 「・・・はぁ・・・まあいいやぁ。疲れるから喧嘩やめよっ。」 未夢が突然笑いながら言った。 「・・・そうだな。疲れるだけだな。」 彷徨もすぐ喧嘩を止めた。 「うん〜・・・あっ!見て見て!あの車の上、猫が寝てるよ!」 未夢がそう言って猫に近づこうとする。 しかし後ろから車が猛スピードで走ってきた、次の瞬間! 「未夢っ!危ないっ!!」 がっ! 彷徨は急いで未夢を掴んで引き戻した。 結果、二人は抱き合う形となってしまった。 「全くお前は危なっかしっ・・・!」 「彷徨、ありがっ・・・!」 お互いの顔が間近。 「・・・っ!」 「・・・っ!」 二人とも急に顔を赤くして離れた。言葉も出ない。 そのまま無言で未夢たちは西園寺についた。 (ルゥくんたち・・・居ないんだ・・・。) 未夢がそう思っていると、彷徨がテーブルの書置きを見た。 「・・・買い物だってさ。まあ書置きがあると、何してんのかわかるからいーけどな。」 「彷徨・・・。」 「ん・・・?」 「さっきは、ありがとう・・・。」 「未夢・・・・・・。」 「・・・。」 一人の男子と女子は見つめ合った・・・ 「どうしました?」 「「うわあああっ!!!」」 ワンニャーが帰ってきた。 「ちょっとワンニャー!急に現れてビックリするじゃない!驚かさないでよ!」 「えっ・・・ってそんな事言われましても、買い物に行くって書置きあったはず ですが・・・帰ってきていきなりそんなのないです〜っ。」 「マンマー!」 「ルゥくん!ただいま〜おかえり〜。」 「彷徨さん珍しくぼ〜っとしてどうなされましたっ?」 「ばっ・・・未夢みたいに言うなっ、ぼ〜っと何かしてねーよっ。ちょっと考え事 を・・・。」 「言わせておけばぁ〜っ!」 二人は喧嘩しながら相手の顔を見ると、ハッとしてまた顔を赤くし逆の方向 を向いてしまった。 「あ〜何か疲れたな〜部屋で一休みするか〜。」 「あ〜私もお腹空いたからおやつでも食べよ〜っと!」 「あ〜未夢さん朝はすみません!お弁当作れませんでした〜!!」 「いいよ、お昼はお腹いっぱいだったから。」 「え、そうなんですか?」 「うん!でも今はお腹空いたから、ホットケーキでも作ってワンニャー〜っ。」 「はい〜っ!わかりましたぁ〜っ!ルゥちゃまも、少しだけ、食べてみましょうね〜っ。」 「だーぁっ!」 「ペポペポ―♪♪」 「ペポっ、ちゃんとペポの分まで作りますから、未夢さんたちの分まで食べちゃだめ ですよっ。」 「ペッポー!」 時間は過ぎて夜・・・ 夕ご飯も食べ終えて風呂を先に上がった彷徨は、縁側で寝転びながら月を見ていた。 「彷徨、何してるのっ?」 未夢が風呂から上がってパジャマ姿で歩いてきた。 「こうしてると涼しくて気持ちいい・・・。」 「へぇ〜。風邪引いちゃうよっ。」 「そうだな。バカなお前とは違うからな。」 「ま〜たそー言う事言う・・・。」 「あははっ・・・。」 「昼は、悪かったな・・・。」 「・・・ううん・・・。」 この時、ワンニャーは縁側を通ってトイレに行こうとしたが、 さすがに気を利かせて遠回りしていった。 「・・・本当は、何ですか〜って聞きながら未夢さんたちの様子が知りたいん ですけどね〜っ・・・。最近、未夢さんと彷徨さん、雰囲気が良い時が多いですよねっ。 ルゥちゃま〜・・・。」 ワンニャーはトイレから部屋に戻ると、寝付いたルゥにささやいて言った。 「だ〜ぁ・・・☆」 「さ〜って、涼しくなったから部屋に戻るか。」 彷徨が起き上がって部屋に戻ろうとする。 「あ、じゃあ私も部屋に戻るね。」 未夢も部屋に戻ろうとした。 「未夢っ!」 「えっ?」 「あんまり、心配かけさせるなよ。お前は大事な家族の一員である以外にも、 おれにとって大切な人なんだから―――」