水夏



2005年7月にやったCURCUS第4作目の感動ゲーム〜。
やった季節も舞台季節も夏で雰囲気合いました。
昔の作品ですが、友人曰く絶賛物だと言う事でやりました。



・紹介
"海と山に囲まれた常磐村(ときわむら)。
常磐――“永遠に変わらない”と名付けられた村にも、やっぱり夏は訪れる。
漫画好きの巫女さん。
お気楽な先輩。
元気な妹と、お淑やかな恋人……。
神社の縁の下で出会った“名無し”の少女。
帽子につり下げた鈴を鳴らしながら、彼女が村を駆け抜けたとき、
交わることのない運命の赤い糸が絡みあった。
冬の淡雪が溶けた世界で、
夏の水にも暖かさを感じてください。" (CURCUS HOME PAGEより引用)

CIRCUS」の4作目。
う〜んなんと言うか、ストーリーを引用するほど、何かを語りたかったというのがイマイチ伝わってこなかった。
友人に勧められてやってみたが、良くなく悪くなくという感じ。
結構古い作品なのでそこは許したいところ。
でもストーリー的には流れるものがあり、なんらつっかえ棒を感じることはなかった。
涼しい夏をイメージさせる舞台であり、1章から4章まで別れている。
主人公もそれぞれ4人居る。
テーマをつけるとすると、それは恐らく「死」。
以下キャラレビュー。ネタバレ注意〜。



・キャスト
水瀬 伊月長崎 みなみ
白川 さやか
水瀬 小夜
鳥居 花音
柾木 茜日向 裕羅
京谷 透子西田 こむぎ
名無しの少女春野 日和
華子
千夏
歌織



 - - - - - - - - - - - - - - 1 章 - - - - - - - - - - - - - -



水瀬 伊月
境内の巫女。
いつも境内で庭掃除をしたり池の鯉にエサをあげている。
おとなしい性格で引っ込み思案だが、結構お茶目。
風間 彰がくれたマンガや、星を見ること、動物など、好きなものがたくさんある。
特に大切にしているのは、双子の妹・小夜である。

毎朝両親の痴話喧嘩で、小夜と共に目覚めるのはどんな気持ちだったろう。
うちもそう言う経験があるので、なんか妙に感情移入した。
中学時代の話で、おとなしい性格でうじうじしているところはあんま好きじゃなかった。
でも他人を傷つけまいと引っ込み思案なのはわかる。
いじめられてる時に彰が助けてくれたところは良かった。
その内、彰が好きになって、でも小夜と仲が悪くなって・・・
現代に至っても尚、彰の事を好きで居続けたのは良かったと思う・・・。
話の中盤に出る、死に死から蘇る女性の絵が、この話を展開させているのが味だろう。



水瀬 小夜
伊月の双子の妹。
伊月とは対照的に、明るく元気。
正義感が強く、納得できない事は認めない性質。

水瀬・・・名雪さーーーんんんんんんん!!(゜、▽゜)違
私はどちらかと言うと小夜の方が好き。
小夜が彰を好きになったのは、一緒に居ると楽しいとか、優しいとかに惚れたのだろう。
でも彰が伊月と仲良くしてる時などの嫉妬には影を感じさせるものもある。
現在に至って再会した時は、小夜は彰が彰だとわからなかったが、彰は名乗って欲しかったと思う。
わざわざ名乗らずに去って無意味に格好つけなくてもいいのに・・・。
これはこれで後のストーリーを、プレイした人が自由に思い描くこともできるから、これでいいのかもしれんけど。



・風間 彰
1章の主人公。
家庭の事情で都会から田舎へ引っ越してきた。
道に迷っている時に、境内で伊月たちと出会う。

前の学校では野球部にいたためスポーツ狩りである少年。
なんか、目と目が厭に離れているような気がする・・・(笑)





 ――――――――――――― 2 章 ―――――――――――――



白河 さやか
元気なお嬢様。「死」をテーマに絵を描く白河 律の娘。
主人公・上代 蒼司とは、絵描き仲間として知り合った。
かかしが大好きだが、ひまわりを酷く嫌っている。

最初はもっとおしとやかな感じだと思ってたのになんじゃこりゃ。w
でもそのはちゃめちゃな性格がむしろ良い。
最初は蒼司と日常的な生活で、中盤辺りで幸せな展開に。
死をテーマに絵を描く父の律が嫌いだった。
でも父はその死を描き、娘に笑顔を伝えたかった。
自分の死に際になっても、嫌われてもなお娘のために・・・
中盤辺りでやたらと悪役風味だったが、最期には感動の一言。
そんな父の娘に悪戯しようと襲った少年が現れた時に、主人公が来てくれて・・・
「私のために人を殺したら、嫌いになってやるんだからっ!」
と言う涙ぐんだ一言には並々ならぬ感情を伝えられると思う。
そして一番大切な人を得、再びひまわりを好きになった。
この夏休みがいつまでも続きますように。
ひまわり、律、絵その辺りがこの話を膨らませたと言って良いだろう。
水夏の髄骨頂とも言える章の話だった。
感動や話の内容、入り乱れた恋愛、どれも良かったと思う。



白河 律
白河 さやかの父で、村では「死を描く男」として悪有名。
蒼司とさやかの通う美術講の講師でもある。
普段は人と会わないため、村では偏屈な人間として通っている。

1章に引き続き、またしても親は悪役と言う設定。
彼が主観になって名無しの少女と出会う場面もある。
もう既に死と隣りあわせである状態は、彼に何を考えさせたのだろう。
母がひまわりの前で逝去したのに、それを絵にし中の彼女は笑わせた。
それにはどんな思いが込められているのかは知る由もなく。
途中、さやかの部屋に入ったら退室を命じられて泣かれたり。
でもさやかが話後半になって父を求める姿は、本来のものではないかと思った。


若林 美絵
主人公・上代 蒼司に思いを寄せる後輩。
さやかによくとっつくおてんばで慌てんぼうな少女。

通称みっちゃん。
さやかが話の主観になる時に度々現れるが、なんか意味はあったのかと思える存在だった(汗)
なんか意味あったのかな・・・ぼーっとしながらやってたからいかんのか・・・ι



・蒼司の妹
蒼司を「兄様」と呼ぶ、姿なき妹。
姿もなければもちろん声もない(笑)
ゲーム全体の容量は軽くなるが、どうせ出場させるならもうちょっと演出が欲しかったところ。





 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 3 章 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



柾木 茜
主人公・良和の義理の妹。
元気な少女で、主人公の身体をベタベタ触る癖がある。
好きなことは水泳で、全国大会に出場できるほどの実力を持っている。

まぁ〜なんと言うか・・・
2章に比べ、話がトーンダウンした感じ。
後になれば納得できないこともないが、同じ時代に何故か茜が2人居ると思えてくる。でもやっぱあれは無理があるだろ・・・。
後半になってくると、茜は恋のキューピッドを演じられたが、自分の恋のキューピッドになりたいと思うようになる。
BADENDでは茜は若林により無意識のうちに暗示をかけられ、自分が抱かれる事を望み、主人公を排除し、自分が主人公になっている・・・
TRUEENDでは世話になった病院にお礼を言いに行くと言ってそのまま終わりだが・・・
どちらにしても茜は救われんかったなぁ・・・。
BADENDの方だと特に黒い部分を感じる。



京谷 透子
主人公・良和の恋人。良和と同じ大学で講義を受けている大学生。
主人公のことだけを誰よりも愛し、その主人公に愛されることだけを求めている。

自分の意思は良和だけにあり、それ以外は眼中になし。
それどころか、良和に近付くものは消えて欲しいとさえ思っているように感じる。
自分の全てを良和に、生贄のように捧げ、何をするにも良和の側に居る。
確かに、確かに一途で節度あるその態度は素晴らしい。
でも自分の意思が感じられず、全て良和の言いなりになろうとしているところが良くない。
また、おしとやかな風貌や性格とは裏腹に、実は良和以外眼中になしと思わせるところもまた然り。
BADEND?の方のラストCGでの透子の虚ろな目は恐ろしささえ感じる。
TRUEENDでも、如何にも自分の思い通りに行ったというような結末でありながらそれを感じさせない様子もまた怖い。
女の泥とは恐ろしいものだ・・・。



若林 鏡太郎
主人公・良和のカウンセラー。
過去、透子が好きだった。
良和の心の相談者として話を聞き続けている。

若林美絵の兄。
主人公や茜に暗示をかけた張本人。
過去、透子のことが好きで、主人公と透子が離れる事をずっと望んでいた。
透子に振られてもなお透子と話ができるように持っていった気持ちもわからなくはないが、外から見るとその行為は何ともどす黒すぎ。
それにしても何とも不思議な顔をしている。やさしい笑顔で目が切れ細いだけなのに、どこかやさしいだけではない様子を伺わせる。
CGはただの2次面なのに、描いた人もよくこの不思議な顔を描いたものだと思った。




 =============== 4 章 ==============



名無しの少女
銀髪で赤い瞳を持つ、名も無き少女。
赤い服を着、黒いマントを羽織り鈴の付いた黒帽子をいつも身に付けている。
鎌を持つ黒猫の「アルキメデス」をいつも大事そうに持っている。

恋愛することなく死に、天国に行けなかった魂が彼岸にたどり着き死神となった。
アルキメデスと出会ってからは以後500年死神の仕事として魂をあの世へ運び続けてきた。
その中では、親しくなった子が自分の側から消えるという儚い体験をいくつもしてきた。
成長せぬ子供の身体でありながら何百年も生きているため、大人びているが子供でもある。
その中で、本当に好きになった子に命の半分を与え・・・そして再会した。
その時に、恋愛をする気持ちが千夏と言う魂として分離したのだろう。
好きな子と別れる悲しみをこれからも続けていくなら、嬉しさや楽しささえ捨てて全て忘れようという思いは哀しくて。
悲しみや痛さから逃げないで、それは楽しさの裏返しだから。
レビューを書く際、プレイし直して、改めてその言葉に感動した。
最期には、千夏と一つになってハッピーエンドである。
キャラ的にもお気に入りだが、設定上名前がないため愛着が付きにくいのが残念だ。



アルキメデス
名無しの少女が持っている手足の長い黒猫のぬいぐるみ。
その手には鎌が握られている。
ただのぬいぐるみだがしゃべることができ、名無しの少女と共に500年生きてきた。
『この娘は我輩の獲物だ。汝などお呼びではない。』

第一印象からしてダカーポのうたまると同じやん・・・
黒猫とは何とも縁起の悪いものではあるが。
生前のお嬢の姉に作られた失敗作。
お嬢は、もし私が死んじゃって死神が来たらこう言ってね と鎌を渡した。
でも、それは実行できなかった。ただのぬいぐるみだったから。
それからアルキメデスはしゃべれるようになり、死神のぬいぐるみ・助手として運命を共にした。
どんな時もお嬢を励ました。
ちとせが登場して話が展開するにつれて主人公・お嬢・自分の気持ちがわかって・・・
最期には、ちとせの守り神として、かつて果たせなかった最期の後悔を見事果たしたのだ。
ただのぬいぐるみにも生い立ちがあって、なんともいい話だった。
と言うか個人的にはアルキメデスが好き。声がなかったのが残念でならない。
それにしてもアルキメ『デス』とはまた死に関する名前を・・・よく思いついたものだ。



千夏
お嬢の恋愛と言う気持ちの分離体。
華子の身体を借り、様々な恋愛を成就させようとする。

恋のキューピッドは茜と言うよりむしろ千夏と言った方がしっくりきそうだ。
お嬢の恋愛の気持ちとして、華子の身体を借り、さやか先輩や蒼司の前に現れたりする。
最期にはお嬢の手を取るかちとせの手を取るかを宏に選択させる。
どちらにしても哀しい結末が待っていることには変わりなかっただろう。



七条 華子
主人公・稲葉 宏の異母姉弟で従姉。読みははなこではなく「かこ」。
野球が大好きで、「ぶち」とよく言う癖がある元気な姉御肌。

度々宏との会話の場面が目立つ。
父の葬儀で責任者になるなどしっかりしているところもある。
千夏と言う魂に、身体を貸して欲しいと言われ、あっさり許可。
困っているものを助けるのに理由はないと・・・
意外な優しさと素直さにちょっと感動。
華子が寝ている時は千夏が行動していることも。
あたしが寝ている時はあいつが起きてなんかやってるみたいだから身体が疲れんのよね〜
と言う気楽っぷりには何とも笑顔を感じさせられる。w
後、野球でかなりの坂神ファン。負けると機嫌が悪くなって飲みだすw
田舎の方便なのか、とてもと言う意味で「ぶちむかつく」などと言ったりするところもご愛嬌。
サブキャラにしては結構印象がしっかりしていた。



稲葉 ちとせ
主人公・稲葉 宏の妹。
子供の頃から病弱で、ずっと布団に伏している。

これだけの重要人物でありながら声に配役がつけられていなかったのは残念。
まだお嬢と同じくらいの年(?)でありながら、妙に悟ったような感じである。
自分が死ぬかもしれないのに周りを哀しませまいと笑い続けることはどんなに辛いことだろう。
でも、だからこそ哀しい気持ちがわかるのかもしれない。
手術が成功したら外に出ていっぱい遊ぼう。
だがそんな思いも、お嬢の事情により助からない事はわかっているのに。
でも手術が成功して、お嬢もちとせも元気になって、閉幕ではお嬢の名前を一緒に考えたり・・・本当に良かった。






・シナリオ
私が思うに多分「死」をテーマにした物語。
一章での死美人絵巻、
二章での死をテーマに絵を描く律の話、
三章での茜の全てを失った末の自殺未遂、
四章ではお嬢の死神としての話。
それぞれの思惑が語られている。


・CG
上にも書いたが、風間彰の目がやけに離れていたのには気になった。w
各キャラの立ち絵はそれほど違和感も感じない。ギャグっぽい顔も面白い・・・。
画像観賞ではどういう順番なのかわからなくてバラバラに感じる。
昔の作品ではあるがCURCUSの描く絵はとても綺麗。
でもOPは軽くするためか画質が荒いように感じた。


・音楽
「かわいいお嬢様」が大貝獣物語の町の音楽のパクリに思えてならない(笑)
EDが何故かWAVE化できなかったのは残念 PCMでもサンプリング圧縮はいくつなんだ・・・
夏と言う事で、静かな曲が多い。どちらかと言うと、心に響く曲。
お気に入りは「なつのはじまり」「かわいいお嬢様」「かなしいわかれのおと」「夏の終わりに・・・」など。


・システム
ボイスはあるけど何となく中途半端。メインキャラはボイスあるけど・・・
小夜とか華子はメインキャラと言うより出番が多いからと言う感じ。
なら展開章のアルキメデスやちとせなんかは特に声が欲しかったところ。
読み返し機能はプロローグと四章だけにあり、他はビジュアルノベル式でバックできない。
作品が古い時代にできたものなのでホイール機能には対応していない。
セーブ箇所は45個あり、一番最後にセーブしたものや、区切りのよいところなどが自動セーブされる仕組みになっている。
メッセージ飛ばしはCtrlキーでのみ対応で、一区切りのシーンを一回読みきれば次からは飛ばせるようになる。
CPUは結構使うみたいだ・・・。
起動・プレイするときはオリジナルCDを入れていないとできない。
他にも設定では外枠デザインなどの変更ができたりと、小さくはあるが心の行き届きがある。
また、セーブ・ロードする時アイコンを選んだキャラが一言しゃべってくれる。アルキメデスしゃべってくれよ!(笑)


・全体的な感想
サーカスは鈴ネタが好きなのかな?ダカーポの時もそうだったみたいだけど。
死をテーマにしたそれぞれの章は独立してみればまぁいい出来だったと思う。
3章はなんか後味悪かったけど・・・。

とにかく、声をつけてほしかった。
あ、そう言えば"なると"のお上さんも散々出てきながら声なかったな・・・。
サブキャラは出まくると死ぬ可能性が高いって、言えてるかも。

攻略に関しては、どのルートを辿っても結果的にはほとんど変わらない場合が多い。
閉幕を見るには二通りのEDを見なくてはならなくて、やりこまねばできないようになっている。
一通りやったところ、誤字はあまりなかったけど少しあったような・・・。

全体的に見て一つ一つの独立したお話を繋げただけであって、お互いの繋がりが希薄。
四章で宏が伊月やさやかに会ったり、1章で彰がさやかに会ったりしてなくてもいいのに。
4章でもっとぱーっと展開できたと思う。
点数をつけるとしたら満点中半分強か、平均並み・・・。

悪くはないが特出して良いと言うわけでもない、平和。
古い作品でもあるし、名ブランド物と言う事で時間があればどうぞ。



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