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============================================ お茶会 ============================================

惠「昨日はすっごい雪だったなぁ〜」

今はもう教室にいる。相変わらず惠ちゃん先に来ている。

昨日は猛吹雪だったが、今日の夜中のうちに止んだようだ。

さすがに夜中は気温が低いので、積雪は融けていない。

烈「雪って言われると、お母さん呼ばれてる気がするよ…」

惠「え?なんで?」

未夢「烈くんのお母さん、雪さんっていうんだよ」

惠「なるほど。綺麗な名前だな。ってかなんで未夢知ってんだよ」

突っ込まれた。

惠「それよりさぁ、せっかく雪止んだんだし、可菜も連れてどっか行こうぜ!」

未夢「え、まだ雪も融けてないよ?」

惠「いいんだよ。無理やり3連休にされて、外に遊びに行きたいんだ!」

未夢「土日は外に行ってなかったんだね」

惠「おうとも。土は部活疲れで休んでたし日は宿題と勉強で缶詰さ!」

未夢「まぁ、いいけどね。今日部活は?」

惠「んなもん休みだよ休み!」

惠ちゃんは部長であるが、権力乱用では。

未夢「仕方ないなぁ。行こう」

烈「その話、私も乗っ…」

惠「…お前、毎回邪推すぎだろ」

烈「ええーっ…」

惠「女子同士のお茶会なの!男子禁制!」

烈「…なの?」

未夢「…なの?」

聞かれたので、惠ちゃんに聞いた。たらい回しである。

惠「だよ!」

未夢「わ、わたしは別にそうじゃなくてもいいんだけどね」

惠「未夢、毎回甘すぎね?」

未夢「いいじゃない、大勢のほうが楽しいよ」

惠「…いいよ、じゃ未夢がそういうんならそれで」

烈「だって!零も行くだろ?」

零「…」

あまり浮かない顔をしていた。
多分事情があるとかじゃなくて、わたしたちに気を使ったのだろう。

惠「可菜にはあとで連絡入れとくよ」

未夢「お願いね」

未夢「そいや、彷徨は今日学校終わったらどっか行く?」

彷徨「俺は部活だ」

未夢「あらら…」

堅実だった。

未夢「仕方ない、男性陣は烈くんと零くんだね」

烈「なんか合コンみたいだね」

惠「同グループ内じゃ全然そんなじゃないけどな」

惠「とりあえず紅瀬はお断りだな」

烈「なぜディスられたし…」

未夢「じゃぁ、誰ならいいの?」

惠「あたしなら未夢を嫁にするな!」

未夢「えっ、ど、どうして?」

惠「髪が綺麗、可愛い、髪が綺麗」

未夢「嫁にする条件がなんかおかしかったよ!しかも髪のが2回だよ!」

惠「あっはっは」

笑っていた。

惠「じゃ、とりあえず放課後なー!」

そう言って去って行った。

未夢「なんか、いつも無理やりだなぁ…」

烈「…」

未夢「…うん?」

烈「あの、やっぱり迷惑なら、遠慮するよ?」

未夢「ううん、全然そんなことないよ。一緒に行こう?」

うん、と頷いていた。

未夢「そういえば、前に、今日は用事あるって言ってなかった?」

烈「ああ…あれね!実はなくなっちゃって!」

未夢「なんじゃそりゃ」

けど、良かったと思う。

昨日、一昨日はあまり話せなかったけど、わたしも色々お話したかったし。

お節介、余計なお世話になってなければ…。

迷惑じゃなければ、いいけど。


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技術の授業。簡単なプログラムのお話になっている。

未夢「ねぇ烈くん」

わたしは小声で話しかけた。
わからないことがあったけど、コンピュータのことなら烈くんは詳しいと思ったのだ。

未夢「変数が多いとか、層が深いとか、行数が多いとか、どうしてそうなっちゃうの?」

烈「終了処理や分岐とかの処理のために使われているからだけど」
烈「本当は、変数作りたくないし、層を深くしたくないし、行数を多くしたくないね」
烈「わかりにくくなっちゃうから」

未夢「名前を長くしたくないのに、略語も使いたくないっていうのは?」

烈「変数名を長くしたくないのは、打つのが面倒だからだし」
烈「でも略語を多く使いたくないのは、意味不明になるからかなぁ」

未夢「な、なるほど」

ノートにメモる。思った通り、烈くんはコンピュータに強いらしい。

烈「答えだけを綺麗にまとめて教えてくれればいいのにね」
烈「何回かやってるうちに『ここをこうすればいいんでしょ』」
烈「って慣れてきてその内構造に慣れるし」
烈「いきなりシステムや構造を0から丁寧に教えられても」
烈「わからない人には吸収しにくいよねぇ」

零「だがそれでは、いずれ問題が見つかったときに問題解決を行える力を養い得ないと思うぞ」

話を聞いていた零くんが言った。

先生「こら!そこうるさいぞ。静かにしろ」

烈「す、すみません!はーい…」

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烈「零のせいで叱られちゃった」

零「お前らが話してるからだろ…」

烈「でも、零がしゃべったからだよ」

零「はいはい。悪かったよ」

烈「誠意がこもってなーい」

未夢「あはは」

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烈「う…ん…」

未夢「気がついた?」

烈「…ん?」

烈「ここはどこ?私はだあれ?」

未夢「ここは教室。あなたは紅瀬烈くん」

見て呉れの演技で軽くツッコミ的なノリをした。

烈「あはは」

未夢「お茶会、行くんでしょ?もうホームルーム終わっちゃったよ」

もう、放課後である。日も沈みかけだ。


烈「…もしこの状況をあとで振り返ったら、この時期は相当凹んでたって思うだろうな」
烈「と言うかふりかえりたくない状態だ、うん」
烈「さぁこれらをどう乗り越えるかが楽しみだ。もしくはどう転がっていくか」

未夢「え、なになに、どういうこと?」

烈「いやぁ、昨日実は家で嫌なことがあってね」
烈「あー。眼とかお腹とか腕とかの痛みがなくなったと思ったら、今度は口の中とか体全体とか」
烈「寝不足と運動不足かなぁ」

未夢「だ、大丈夫?」

烈「ううん、やばい感じ」

言葉とは裏腹に、顔は笑っていた。そのギャップがなんとなく言葉の濃さを引き立たせた。

烈「通学中何も考えてないのに、突然"物"を殴りたくなる衝動に駆られることがあるの」
烈「自分をコントロールできなくなってきた」
烈「嫌なことを思い出にしすぎた」
烈「さっきだって思わず思い出して物思いに耽過ぎて、いつの間にか寝ちゃって」
烈「白昼夢を見てる感じになって。起きたくても起きられず、金縛りにあったみたいだった」

烈くんの、手袋に包まれた右手が、カタカタと震える。




未夢「で、でも烈くんはすごいよ。一番苦労してきたんだから」

烈「一番であれば何でも凄いと言うけど、でも例えば『私は一番下だ!』とか」
烈「確かに凄いけど良い事ではない気が致します」
烈「このように『凄い』とは必ずしも褒め言葉ではないので、微妙な時に使うとか」
烈「でも適当に乱発するのは止めましょうね」

未夢「ご、ごめん…そんなつもりじゃ…」

烈「…や、こっちこそごめん。変な夢見て気分悪かっただけなんだ」
烈「よしっ、お茶会にお邪魔しちゃうぞ!」

気にされてないようで良かった。
心配したり、慰めたのが、同情みたいになっていたのかもしれない。

烈・未夢「「そういや、零(くん)…」」

烈・未夢「「…」」

ハモっていた。二人して笑った。

未夢「先に下で待ってるみたいだね」

烈「あいつ、変なとこで気使うからなぁ」

惠「おーい、未夢、行くぞー」

惠ちゃんが可菜ちゃんを連れてきた。
こっちは早めにホームルーム終わったけど、向こうは遅めだったみたい。

烈「よし、行く行く〜」

惠「…こいつマジでついてくる気かよ。恐れ知らずだな」

烈「え、なになに!?なんか怖いことあるの!?」

惠「いや、あたしはお前が怖い」

未夢「まぁまぁ」

可菜「まぁいいんじゃないの」

惠「あれ、もう一人は?」

未夢「先に下で待ってるみたい」

惠「謎だ。まいっか。行くゾォ!」

未夢「はいはい」

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零「…!来たか」

未夢「お待たせ」

惠「なんでお前だけ下にいたんだ」

零「…別に。なんとなくだ」

なんとなく下に行きたくなるような何かがあったんだろうか。

惠「まぁいいや。で、どこいく…?」

わいわいと、惠ちゃんが可菜ちゃんと話していた。

烈くんが服のひじを引っ張ってきた。小動物みたいだ。

烈「ねぇ、ホントについてっていいの?」

未夢「別に構わないって」

惠「未夢〜、いつものあそこでいいか?」

未夢「ん、任せるよ」

烈「何が始まるの?」

未夢「わかんない」

わかんないのだった。

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店についた。

烈「お茶会って、何やるの?」

未夢「んーと、お食事したり、お話したり」

烈「それだけ?」

惠「それだけじゃないよ!さすが男子様はわかってないなぁ〜」

烈「他には?」

未夢「お化粧のお話とかしたり?」

烈「結局、お話の範疇なんだ…」

惠「じゃぁもういいよ!そういうことで!」

特に考えはなかったらしい。

惠「とりあえず頼み物、あたしはこれとこれ。はい可菜選んで」

メニューを可菜に渡していた。こちらも適当なものを頼み、待つことにする。

しかし、烈くんとはお話ししたいと思ったけど、これだとなかなか話しにくい。

そもそも、聞いていいことなのかどうかもわからないのだから、話しやすくても微妙だ。

惠「でさ、未夢最近どうなのよ〜」

未夢「? なにが?」

惠「なにがって!とぼけないでよ、西遠寺と進展ないんかい」

関西弁になっていた。

可菜「そうよ未夢ちゃん、白状なさい!」

未夢「と言われましてもなぁ…」

特に何もない。あえてあったかと言えば、烈くんちから帰るときに一緒に帰ったくらいだ。

それも、一緒に帰るなんて普段からしてることだし、友達と一緒に帰ってるのと何ら変わりない。

惠「つまんないじゃん。なんかあるでしょ。そうだ、せっかく闇無来てるんだから闇無にも聞こう」

矛先が零くんに向いていた。

惠「あんた普段全然しゃべんないんだから、せっかくきたならなんかしゃべんなさいよ」

無茶ぶりである。

零「…何を話せばいいんだ?」

惠「何を?何を…う〜ん」

考えていた。

惠「なんでもいい!」

考えてなかった。

可菜「そういえば闇無くんはいつも紅瀬くんのツッコミ役みたいだけど」

ツッコミ役で通ってたのか。

可菜「闇無くんも紅瀬くんみたいにボケてたらどうなるんだろう」

未夢「さすがに、二人でボケてたらどっちかがツッコミになるって」

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惠「わからんよ、ダブルKYで誰も止められない〜!みたいになるかもよ」

惠ちゃんは、そういって笑っていた。

烈「わ、私トイレ行ってくるよ」

未夢「あ、じゃ、じゃあわたしも」

惠「私もって何だよ」

未夢「あ、いや、なんとなく」

なんとなくだった。釣られたというか。別に本当に行きたいわけでもなかった。

惠「じゃぁせっかくだから闇無に色々聞こう!」

零「なんだ…」

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店の並ぶ通路、トイレは外だった。

トイレへの道、奥にはトイレしかない道で人通りの少ない通路だった。

未夢「烈くんっ」

早足で行ってしまう彼を追いかけた。

烈「う〜ん何と言うんだろうか、なんだろうかこの感情…」
烈「とりあえず、自分で気付かないうちに人を傷つけちゃってるかもしれない人はさ」
烈「もうちょっと自分と相手の立場・気持ちを考えるべきだよね」
烈「まぁ考えにくい立場に立っちゃってるからしょうがないんだろうけど」
烈「こっちとしては精神的にきついので。とこれだけ」

惠ちゃんのことだろうか…。
物事に対して、許す心と許さない心がある。
許さない心は人を成長させ、許す心は人に好かれる。
物事には必ず善と悪が存在するとする。
どちらにしてもそれにはそれなりのちゃんとした考えが1個以上あるだろう。
だから両方とも納得しようと思えば納得できるから妥協しちゃうけど。

とそこで烈くんがポケットの中をごそごそとやった。
取り出したケータイを見てた。

烈「俺のことは気にするな、だって」

わたしの方向のケータイの画面を見せて言った。

そっか。さっきのは、自分の大切な友達が貶されたと思っちゃったんだ。

未夢「惠ちゃんも、そんな深い意味で言ってないよ」

烈「わかってる、わかってるよ。でも…」

烈「なんかさぁ、私って、誰かを重圧したことがないんだよね」
烈「って言うかさ、どちらかと言うといつも重圧される側なんだよね」
烈「私って見た目も性格も怖くなさそうな感じだしね」
烈「だから、一度誰かを思いっきりいじめてみたくなるんだよね」

烈「私は一度だって親父とかに褒められたことはなかったし」
烈「ずっとけなされ続けて生きてきたんだ」
烈「でも私は自分が弱くて良かったと思う」
烈「もし強かったら自分の力を頼りに何をしていたかわからない」
烈「私って言うことははっきり言っちゃうんだよね」
烈「それが長所でもあり短所でもあると思う」


未夢「…」

何も言えなかった。


烈「零は静かだけど、私だったらすごい反論しちゃうと思うんだよね」
烈「反論しなければそのまま静かに終わるのに」
烈「でもそうしちゃうのは、その時静かになってもまたきっと同じ出来事が起こるのが嫌だからなんだ」
烈「だからその時荒れても次が起こらなければいい」

烈「その時周りに他人が居たら、みんなはこう言うだろうね」
烈「お前さえ黙ってたらこのまま終わったのに!って」
烈「でも私はこう思う。嫌がってるんならお前らは私に協力すべきだと…」
烈「でもこれは私のエゴの押し付けだよね。自己中って言うか…」

烈「それでも私はその時、思い通りに発言・行動してる人が嫌だから」
烈「反抗期って言うとそうかもしんないね…」
烈「それでも私は多分止めないと思う」
烈「自分の考えまで曲げて、歪んだ考えに屈するのが嫌だから」

烈くんは、自分がわーってなっちゃったら場が荒れると思って、今逃げ出してきたんだ。

烈「我慢するしかないなんて。この怒りはどこにぶつければいいんだ?」


烈「未夢さんさ、今まであまり怒られたり、いきなり怒鳴られたことないよね」
烈「あはははっ。うふふっ。うふっ。あはっっ」
烈「なんだかさ、最近おかしいんだよね」

未夢「ど、どうしたの?何がおかしいの…?」

返事する間もなく、烈くんが笑い出した。

烈「何がって、私がだよ私。って見ればわかるけど」
烈「昔はさ、急に嫌なこと思い出したりして苦しかったりしたんだけどね」
烈「最近は、無性に誰かを傷つけたくなるような気がするんだよ」
烈「今までずっと被害者だったからかな」

烈「加害者ってどんな気持ちよさと罪悪感なのかな」
烈「それとも何も感じないのかな」
烈「私は…私が怖いよ…」
烈「…助けてよ…」

烈「私どうにかなっちゃうのかな…」
烈「ねぇ…誰か答えてよ…」

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未夢「…」

微妙な距離感の中、動けず、声も出せず、話を聞くことしかできなかった。
彼には彼にしかわからない苦しみが、あるのだろう。
自分の手が届く距離で、そこで佇んでいる。
わたしが、何かしてあげられないのだろうか?

烈「例えば誰かが自分に優しくする」
烈「でもその人はある特定の人にだけは凄く冷たい態度」
烈「だけど自分には優しいわけだから、特に無視したりする必要はない」
烈「多分、無視したら自分にも冷たい態度をされるとする」
烈「その特定の人と言うのは大人しいだけで何も悪いことはしていない」

わたしは誰かに冷たくしてないけど、何かの例の話だ。
それは、いじめの…典型的な例だ。
自分もいじめられたくないだけに、攻撃側に加担する。
加担しないまでも弱い側に味方しない。
強気側は、弱気側が言い返さないこといいことにやりたいほうだい。

烈「気心知れた人からのボケツッコミとか天然的な冗談なら私は好きだけど」

烈「なのになんで私のときだけ咎められなきゃいけないの?」
烈「私を咎めるならまずそいつに文句を言え」
烈「私のような分子を作る親を潰せよ…!」

どういうことだろう…?どうしてそうなっちゃったんだろう。
弱い方にも責任があるかもしれないけど、もちろんやりたい放題やっている方が問題だ。
でも人は、言うこと聞かない人より、言うこと聞きそうな方に話しかける。
だから、説得されるのは弱い方になってしまうのだ。

烈くんは、それをわかってかないか、向こう側を説得してほしいようだった。
そして、そう思うように育てた人を、憎んでいるように見えた。

彼の中で、どうやって話が歪曲して展開していったのかはわからない。
だけど、嫌な記憶にたどり着いてしまうようなプロセスがあったようだった。


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烈「弱いやつは死ねばいい。でも私は死ぬのが嫌だから頑張ってる」
烈「それだけの話」

過激な発言だ。

烈「もう、もういいよ」
烈「今更優しくされたって嬉しくないから」
烈「肝心なときだけ優しくされたって嬉しくないからっ!」

烈「私は本当はいつも優しくされたかったから」
烈「もういい。自分でやるから」

烈「君たちみたいな、あんなやつを仕方ないとか思ってるやつらと仲良くしたくないから」
烈「本当に気の合う人を探すから」
烈「君たちとはもう縁を切るっ」

未夢「ま、待ってっ。どうしてそうなるのっ」

烈「私を知る人はさ、これを聞いて、実は私がそんな過激なことを考えていたのかって」
烈「そう知って、軽蔑するのではないかと恐れてる」
烈「知らない間に嫌われてゆく…そんな気がして」

未夢「わたしは別に烈くんたちを嫌ったりしないよ」
未夢「烈くんは、今日少し変な夢を見たから、疲れてるだけだよ」

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烈「…なんて言うか、うちの親父が色々と変わらなくなってさ」
烈「成長しなくなったのも世の中に出なくなってからだよね」
烈「要するに、外の世界に影響しないならいくら成長したって何の得もないと言うこと」
烈「逆に言って、どんなにあくどいことをしてもそれが外に漏れないなら何の問題でもないと言うことだよ」
烈「極端な話、どれだけ大勢の人を殺したいと思っていたとしても」
烈「それは言ったり実行されなければいいだけの話」
烈「1対1でどんなに悪口雑言を叩いても、侮辱罪にはならない」
烈「まぁ今は調子が悪いだけだからこんな事を言ってるけど」
烈「この考えは案外当たってると思う」
烈「人はやれと言われないとやらないように、成長しなくていいならだらだらする生き物だから」

未夢「昨日、何かあったの…?」

烈「…お父さんは、今はもう仕事をしてないんだ」

ということは、常に家の中にいるということだろうか?
この間聞いた怒声とかを思い出してみても、亭主関白のような人だと思う。
昨日何かあったかの返事は聞けなかったけど、そういう人とずっと一緒にいたのだ。
しかも月曜は突然の休みで、苦手な人と一緒にいる時間も長くなった。
ストレスが溜まるのも、当然のことだろう。


烈「たまに友達になってくださいと突然メールが着てるのが、 怖いと思ってしまう」
烈「せっかくのきっかけなのに、自分で破棄しているのは物凄くもったいないと思う」
烈「それと同時に、怖いと思うのは普通だとも思うんだ」

烈「だって、道端で急に友達になって下さいと言われたら、きっとどんな人でも引くでしょう?」
烈「でも例えばそれが、学校内であったり、何かのグループで一緒になったりとか」
烈「何かで知り合った上で言うのなら構わないと普通の人は思っているはず」

もしわたしが普通の人に該当していたなら、わたしもそう思っていることになる。
けど事実、それは確かなように思えた。
彷徨と知り合った時でさえ、いきさつはなかったようなものだけど一応あって。
それでも、男の子と住むなんて怖いと思ったのだ。
なんらかのきっかけがないとそう思うのは、変ではないと思う。

道端で突然出会ったり、同じグループに加入していていたとしても。
ほとんどの人はそれを「きっかけ」とは思っていないのかもしれない。
思っているのかもしれないけど…突然は危険なことだと思う。

烈「だから家に訪問してきた人が、前連絡ない場合は居留守だってするし、それが悪いこととは思わない」
烈「多分宅急便系でさえ居留守する」
烈「立会いで受け取る必要があるのなら、その前に誰か知り合いと連絡を交わしているはずだから」

烈「インターネットメールも同じ。知らない人からのメールは受け取らない」
烈「迷惑防止、それがセキュリティー。それは何も架空世界だけの話じゃない」
烈「リアルでも個人情報漏れとか防止しないとね」

烈「封筒に書いてある住所はいつもやぶってから捨ててます」
烈「この時期は手が痛い…」

烈「これが、狭い世界に閉じこもっていることなのかもしれない」
烈「そういう生き方をしてきて固まってしまったから」
烈「今から変えると、個人の考え方としてものすごく優柔不断な、そんな風になる気がする」

烈「でもそれを柔軟に変えることができたら…」
烈「人は交流を広める・または、深めることができるのかもしれない」
烈「いつも友達の友達止まりの情報が、『友達』の情報になるかもしれないね」

なんでこんな話になったのかわからないくらい、じっと黙って聞いていた。
彼の言いたいことはこうだ。
つらいことばかり経験してきた。誰も助けてくれなかった。
だから、突然の助けが、何かの罠かもしれなくて怖い。
それを変えたいと、思っているのだと思った。

わたしが差し出す手は、彼にとって何色に見えるのだろう?
天使色なのか、悪魔色なのか。
それは、わたしの意思を介在しない。
わたしがどう思っていても、彼がどう思うか次第なのだ。
差し出した手を払われて、わたしは悲しくなるかもしれない。
それても、差し出さなかったことに後悔したくなかった。

未夢「…大丈夫、だよ。戻ろう。零くんも待ってるから」

乾いて枯れた喉から、なんとかそれだけの声を絞り出した。

手を払われることを恐れたのかもしれない。
差し出した手が余計なお世話で、むしろ傷つけてしまうのかもしれない。

烈「…ごめんね。なんだか勝手に色々暴走しちゃったよ」
烈「色々言い切ったら、すっきりしたというか、なんかすごい恥ずかしい気がしてきた」

烈くんと話をしたかったけど、わたしは何もしてないけど、なんとなく目的を達成した気がした。

烈「と、とりあえず、戻るのはトイレに行ってからっ」

だっと走って行ってしまった。目元には涙があった。
何か、目頭が熱くなったのだろう。
わたしも、少し涙が。
寒くて、目が乾燥したのかな?
もしくは、彼が何に苦しんでいるのかわからなくて、助けられなくて。
それが、もどかしかったのかも、しれなかった。