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============================================ 烈邸訪問 ============================================

声1「駐車場・・・?」

声2「逃がさん」

声1「お待ちあれ。私をお召し抱え下さい。さすればこの町を、絶対によくして差し上げましょう」

声2「よくするというのは・・・それは一般人も、平気で道を歩けるようにするということかっ?」

声1「歩けるだけではございません。商売もできるでございましょう」
声1「・・・まずは、この土地にふさわしい構想を考えなければなりません」
声1「例えば日本では自動車が走っていますが二酸化炭素もいっぱい」
声1「この土地ではそのような風にしたくないでございましょう?」

声2「確かにな・・・。そちは経営者が向いているかもな」

声1「・・・一時期は目指しましたがまだまだ力不足です」
声1「もっとしっかり考えねば、企画者力不足でしょう・・・」

ちゅんちゅん・・・

未夢「・・・」

とても謎な夢を見た気がする。夢というのは時々よく意味がわからないものだ。
なんであんな夢を見たんだろう?
いつか可菜ちゃんと歴史の漫画の話でもしてたからかな。

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【教室】

今日は烈くんが先に学校に来ていた。
惠ちゃんも来てた。

未夢「惠ちゃん、烈くん、おはよう」

烈「おはよう〜」

惠「おお、おはよう、西遠寺も」

彷徨「ああ、おはよう」

未夢「惠ちゃんと烈くんが話なんて珍しいね」

惠「いや、あたしも今来たとこ。未夢まだ来てないのかって」

未夢「そうだったんだ」

烈「・・・」

烈くんはまっすぐ見ていた。
視線の先に、惠ちゃんの腰がある。

未夢「どうしたの?」

惠「ん?なんだよ」

烈「や、武乃邑さん、スカート短いなって・・・」

惠「・・・はっ?」

ざざざっ。

惠ちゃんはジト目で警戒しながらスカートの裾を抑えて後ずさった。

烈「ああ、そんなゴミ虫を見る様な目で見ないでっ」

惠「ド変態だったんかこいつは」

烈「いや、恥ずかしくないのかなーって思って」

惠「何が」

烈「いや、ほら、あの、布が・・・」

惠「未夢、こいつ殴っていいか?」

未夢「何故わたしに許可を・・・」

惠「未夢お前、こいつの保護者だろ」

未夢「わたしゃいつから保護者になったんじゃ」


烈「や、でも、あのね。スカート、腰部分が3、素足、腿部分が1、ニードソックス、靴下が6」
烈「という金対比があってですね・・・」

惠「なんか語りだしたぞ」

烈「この『1』の部分を絶対領域といい、稀少なものとして非常に美しく感じんだそうだよ」
烈「綺麗な物は贅沢に見えるより、少しだけ見えたほうが『もっと見たい』って」
烈「そういう欲を欠かさずに満たすんだって」

惠「だからなんだというのだ」

烈「ニーソックスいいなぁと思って」

惠「・・・ふんっ」

惠ちゃんは恥ずかしそうな、不愉快そうに照れていた。
もしくは恥ずかしがっていたのか。
惠ちゃんも、可愛い。


惠「未夢、何か話題変えてくれ」

未夢「そんな無茶ぶりな・・・」

そういって、今朝見た夢を思い出した。

未夢「そういえば今日、わけわかんない夢見たよ・・・」

烈「私も今日ぜんぜんわかんない夢見たよ」

惠「お前も話乗るんかい」

烈「アニメを見てて、そのメンバーとしりとりしてた」
烈「飯の時間になって、なぜか注射をすることになってた」
烈「それで、なんか人をもてなす気持ちがないって話になって」
烈「それはつまり、人を救う気がないってことでまとまって終わった」
烈「夢ってぜんぜん訳わかんないよね」

惠「しかしよく覚えてるな。あたしはそもそも夢すら見ないが、見ても覚えてない」

未夢「わたしもそうなんだけどね・・・」

惠「未夢はどんな夢見たんだ?」

未夢「ええっとなんだっけ・・・確かなんか昔の人が現代に来て町を良くしようとしてる話」

惠「確かに、わけがわからん」

未夢「そうだよね」

惠「歴史の宿題とかの考えすぎが夢に出たとか?」

未夢「いやいや、宿題とかそんなこと考えもしないけど」

惠「やれよ」

烈「未夢さんも、この国の将来を心配してるってことだよ、優しいですなぁ」

確かに、そういう部分は心の奥底にはかすかにあったかもしれない。
それより、自分のことを考えなければならない、そういうことを暗示してるような気がした。
夢は、心の奥底を映し出すという。
わたしは何に心配していて、どうなりたいんだろうか。

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授業中。

ああ・・・暇だ。じゃなくて勉強しなきゃいけないんだけど。
ノートも書き終え落ち着いたところで先生が説明しだした。
その話を聞いて理解するのが、生徒の本分だ。
だけど、その行為はどこか暇に思えた。
一生懸命理解するところのはずだが、ただ単に記憶するのが必要なだけなのでそれほどでもない。
ふと、考える余裕がある時間ができると、ぼうっとしてしまう。
烈くんはどうしてるかなと前を見た時、彼のノートの先が垣間見えた。

烈くんのノートにはこんなことが書いてあった。
しゃきしゃきして上手いで〜 ハウスのシチュー 朝起きると今朝気が晴れちゃってる
ダメージなんで知らないんですよ 一つでも燃え上がったらキャンペーン
洗い流さないであ、いいかんじ 神の水のダメージ
一つでも燃え上がったらキャンペーン 史上最大のパニック超大作ポセイドンDVD絶賛発売中
無関心とコスプレ

ものすごい暇人がいた。
何も考えてないというか、意味不明だった。



授業が終わって放課になってから話題にしてみた。

未夢「烈くんのノートになんか、よくわかんないことが書いてあったんだけど、あれ何?」

烈「CMで言ってることを全部タイピングで追ってったらこんな文できたのを思い出してたから書いてたんだよ」
烈「意味わかんないよね」
烈「一つでも燃え上がったらキャンペーン がミソ」

こんなCMあったっけ・・・ぜんぜん思い浮かばない。
そもそも空耳状態で書きだされてるから、元が何なのかも想像不可能だった。

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生徒1「じゃぁねー」
生徒2「また明日ー」

何もなく今日が過ぎた。

未夢「彷徨は、今日も部活?」

彷徨「ああ、悪いな。先帰っててもいいぞ」

未夢「そんな。待ってるよ」

彷徨「・・・悪いな」

未夢「あれ?烈くんは?」

零くんも一緒に、いつの間にか消えていた。
賑やかしが静かだと思ったら。

彷徨「紅瀬なら、買い物があるって言ってさっさと帰って行ったぞ」

未夢「そうなんだ・・・」

彷徨「未夢は、これからどうするんだ?」

未夢「んー・・・補習でも受けていくかな」

彷徨「お前、今そんなに成績悪かったか?」

未夢「そんなことないけど」

っていうか、良くはない。

彷徨「そうか。まぁがんばれよ」

未夢「彷徨も、怪我に気を付けてね」

彷徨は手を上げて了承の合図をしながら、出て行った。



補習は、成績が悪い子が受けているわけではない。

授業中にわからなかったところを復習する目的や、次の授業で必要な知識を補うための予習もかねている。

別に気になるほどわからない訳ではなかったけど、理解を補強する為にも、彷徨を待つためにも補習を受けていた。

この学校では、補習は自由参加だ。でも、必ず誰かいたりした。


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ブルルルッ、ブルルルッ

補習も終わりかけの頃、メールが来た。

マナーモードにしてあるケータイが、ポケットの中で震えたのだ。

差出人は・・・彷徨だ。

『悪い、今日は遅くなりそうだ。先に帰っててくれ』

未夢「えー、そうなのか・・・」

思わず小声が漏れた。仕方ない。先に帰るとしよう。

『わかった。帰りは暗いから気を付けてね』

ぴっ。送信完了。

はぁ・・・。

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玄関、グラウンドと校門を抜け、駅までの道のところで偶然、私服の烈くんと会った。

烈「あれ、未夢さん、今帰り?遅いね」

未夢「うん、ちょっと補習受けててね」

烈「あれ、未夢さんそんなに成績よくないイメージないんだけどなぁ」

未夢「人は、見かけで判断しちゃいけないよ」

烈「まぁそうなんだけど」

見ると、烈くんは両手で重そうな荷物をいくつかぶらさげていた。
ビニール袋だ。買い物の帰りかな?

未夢「お買いもの?」

烈「うん、そうだよ。荷物乗せる為に自転車持ってこれば良かったよ・・・」

荷物は、かなり重そうだ。


→持つのを手伝う
 がんばってね


    (フラグRの値を+1する)

未夢「持つの、手伝おうか?」

烈「え、いいの?悪いよそんな」

未夢「いいよいいよ」

烈「えと、バイト代出ませんよ・・・」

未夢「そんなんじゃないって、貸して貸して」

未夢「うおっ」

思わず、変な声出た。

烈「あ、あの、大丈夫?それ重いやつだよ?」

見ると、中には米と牛乳が入っていた。これは重い。

未夢「けど、なんか懐かしいこの感じ・・・」

烈「え?」

未夢「や、大丈夫だよ。行こう。烈くんの家はどっち?」

烈「こっちだよ」

烈「・・・ありがとう」

未夢「どういたしまして」

--------------------------------------------

未夢「烈くんの家って、徒歩で行けるくらい近いの?」

私服になって買い物帰りしてるくらいだ。

烈「そうだね。学校がとても近くて良かったよ」

未夢「そういえば、なんで転校してきたの?」

思わず聞いてしまった。素直な疑問だっただけだけど。

烈「えっと、親の仕事の都合だよ」

未夢「ということは、今まで全然別の場所に住んでいたんだね」

烈「うん」

未夢「新しいおうち、いいところ?」

烈「というか、元はおじいちゃんの家なんだ。親の実家に戻っただけっていうか」

未夢「そうなんだ。烈くんは、おじいちゃんの家に住んでたの?」

烈「そうだね。というか、別の学校に行ってた時の家の方が短かったというか」

わたしも、彷徨の家に世話になってる時以外は実家にいたわけだし、なんとなく境遇が似てるかなと思った。

未夢「烈くんの家、どんな家かな」

烈「いや、なんてことないよ・・・」

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未夢「この辺、おっきな塀が続いてるね」

烈「・・・着いた」

未夢「へっ?」

見ると、ちょっと大きな、古い門だった。

ちょっと目を見張った。大きそうな家だ。

烈「ここまで持ってきてくれてありがとね。冷えたでしょ、暖かいお茶でも出すよ」

未夢「いいよ、大丈夫だよ」

烈「迷惑じゃなかったら、遠慮しないで、お礼したいし」

確かに、手の先とか結構冷えていた。
足の先も、靴を履いているとはいえ、冷えていた。

未夢「それじゃ、ちょこっとだけ・・・」

なんとなく家の中を覗いてみたい気もしたい。

烈「やったっ。お礼ができるっ」

未夢「それほどのことをわたし、してないよ」

それに、どんなお礼だというのか。

烈「じゃ、このまま上がって」


彷徨の家を小さくしたような、古めかしい日本家屋だった。

烈「こっちだよ」

日本家屋としての構造が似ているのか、廊下は庭と近接し、開けていた。

烈「ごめんね、ちょっとここで待ってて、荷物とか置いてくるし」

客間らしき部屋に案内された。やはり、彷徨の家に似ている気がした。
こんな家がここの近くにあったとは気付かなかった。
といっても、豪邸というほどではない。少し広い、古めかしい家。
どこか昔懐かしい雰囲気を感じた。

部屋の敷居に見える畳、部屋に敷かれた黄緑色の絨毯の真ん中に、茶色の四角いちゃぶ台が置かれていた。

わたしはちゃぶ台の傍に座り、外を見た。

部屋は南を向いているのか、月が見えた。

落ち着きそうな場所だ。なんとなくぼーっとしてしまいそう。

烈「お待たせーっ。暖かいお茶、持ってきたよ・・・」

未夢「あっ、ありがと、お構いな・・・えっ?」

烈「えっ?」

【イベントCG 『烈の左目.png』】

ぎょっとした。

烈くんの眼帯が、解かれていた。

烈くんの左目は、紅かった。

そして、その焦点は合わないというか、焦点自体がなかった。

割れたガラスのようなヒビだった、からだ・・・。

烈「あっ」

【背景:烈の家の客間】

がちゃん。

お盆に乗せたお茶を、お盆ごと慌ててちゃぶ台に置き、烈くんは慌てて出て行った。


何か、見てはいけないものを、見てしまった気がした。

でも、何もしてないし、不可抗力すぎる。

【立ち絵:烈】

烈「ごめんごめん!お客様呼んでお客様にお茶出しに行ってるのに、何故かお客様居ない前提だったよ!」

眼帯した烈くんが戻ってきた。

未夢「それ、誰にお茶運んでたの・・・」

烈「わかんない」

忘却も激しすぎだ。

烈くんは、あっはっは、と笑っていた。

烈「いやー・・・驚かせちゃったね。ごめんね」

未夢「ううん、こっちこそ、ごめん・・・」

烈「いやいや!未夢さん呼んだの私だし!未夢さんは悪くないよ!」

未夢「うん、ごめんね」

でも悪い者扱いされたら結構困るけど。

烈「学校で眼帯してるままだと、蒸れてさ、家に帰ると外す癖っていうか普通に外すっていうか」

未夢「えと、それ・・・」

烈「うん、見えないよ」

未夢「!!」

言わせてはいけないことを、言わせてしまった。

烈「ああ、だいじょぶだいじょぶ!別にそんな隠してたりとか恥ずかしいとかないから」

烈「ただ、学校で眼帯してるのは、この目見たらやっぱり嫌だなって思う人もいると思って」

烈「ちなみに白いのだといつか治ると思われそうだから、お医者さんには黒いのもらったよ」

烈「なんかおかしい気もしたけど後の祭りだったし、仕方ないかなって」

未夢「そ、そうだったんだ・・・」

とりあえず、悪い気にさせていないようで、ほっとした。

先天性か後天性かはわからない。そこまで聞けなかった。

烈「まぁ、お茶でも飲んでゆっくり休んでてよ、私はちょっと片づけとかあるから」

未夢「そうだったんだ。がんばってね」

烈「家事も色々やらなきゃいけなくてさー」

烈「夜遅くまで勉強したり家事が大変とか」
烈「無知でどうしたらいいかわかんないって時は、親の偉大さに気付いたり親への感謝を感じるよ」

未夢「烈くんが家事やるの?」

烈「ん?意外?失礼なっ」

答えるより早く反応してた。

未夢「いやいやっ、そういうわけじゃないけどっ」

烈「いいよ、意外だと思うし」

烈「でも色々自分でやるのが楽しいんだ」

烈「学校で習わないような勉強にもなるしね」

わたしも彷徨の家に世話になってた時は色々あれこれ自分でしなきゃいけなかった。
その時はめんどくさいとしか思ってなかったので、烈くんみたいな考え方もあるんだなと思った。

烈「じゃ、ゆっくりしていってね!」

烈くんは早々に出て行ってしまった。

未夢「ゆっくりしてと言っても、どうしろと・・・」

放置プレイ状態であった。



声「烈、玄関に見ない靴があったけど、誰か来てるの?」

声がして、誰かが廊下から来た。

女性「あらあらまぁまぁ」

未夢「えと、オジャマしてます」

年老いた、女性だった。烈くんの、お母さん?

女性「あなたは・・・もしかして、光月さん?」

未夢「えと、はい。光月未夢です」

女性「これは失礼しました。私は、烈の母の雪と申します」

未夢「あぁ、いえ、これはご丁寧に・・・」

頭を下げられたので、こちらもつられて下げた。

雪「この間は、烈と零がお世話になりまして」

未夢「いえいえ・・・」

え?零くん?

ああ、まぁ零くんもいたけど。

雪「烈ったらお客様を放置して・・・あとで呼んできますね」

未夢「いやっ、お構いなく」

雪「今日も寒いですので、どうぞゆっくり暖まっていってくださいね」

未夢「ありがとうございます・・・」

丁寧にお辞儀をして、去っていった。

あの親にしてこの子ありという言葉があるけど、全く当てはまらなかった。

雪さんが去っていた反対の方向から、零くんが来た。

零「・・・来てたのか」

未夢「あっ。うん。こんばんは」

零「こんばんは・・・」

未夢「・・・」

ホントに一緒に住んでたんだ。
中学生の頃、みんながわたしと彷徨を見た時も、こんな気持ちになったのだろう。
逆の立場を経験すると、よくわかる気がした。


声「ピーっ」

まるで学芸会を見ているかのように、代わる代わる新しい何かが現れた。

声「ちょ、こらっ、いきなり勝手に走り回るなってっ」

???「ぴーっ!」

未夢「わっ」

烈「ああ、未夢さん」


???「ぴーっ」

謎の生物が、わたしに襲いかかってきた!

・・・というか、乗っかってきた。

烈「あ、零。いたんなら止めてよ〜」

零「いや、ぎょっとしてる間に」

未夢「あ、この前の・・・」

持って離して見ると、この前の烈くん談の”宇宙人”だった。

烈「改めて紹介しとくよ。宇宙人のタミちゃんかっこ5才だよ」

タミ「ぴーっ!」

未夢「5才なんだ・・・」

自分でも、ツッコミどころそこかよと思ってしまうほどに滑稽なつぶやきのような発言だった。

烈「わかんない。出会ってから5年だから5才にした」

未夢「5年・・・」

5才というと幼いが、5年というと短いようで長く感じた。

わたしは、たったの1年だったのだ。

短いようで長く感じ、今になって思えば長いようで短かったのである。

烈「ほらタミ、おいでったら」

タミちゃんを返した。

そういえば性別なんだろう?全く分からない。

烈「ちなみに、♀です」

未夢「女の子様でしたか」

何故か敬語になった。

未夢「なんで女の子だってわかったの?」

烈「え?女の子でしょ?」

未夢「え?」

烈「え?」

・・・。

零「・・・俺を見られても困る」

・・・。

まぁいいや。

それにしても、彼女(?)について翻訳や解説をする”間”がいないと困るんじゃないのかな。

烈くんなら天然でなんとかやっていくのかもしれない。

それにしても、なんか色んな意味で不思議な集まりだと思った。

元気だけどどこか不思議な烈くん。

兄弟じゃないけど同居してる零くん。

そして謎の宇宙人(?)。


烈「えと、色々用事とかお片付け済ませてくるからちょっと待っててね」

烈くんはタミちゃんを抱きかかえたまま、また出て行こうとしたその時。



声「おい!誰だこんなとこにこんなもん置いたのは!」

びくっ。

突然、震えるほどの怒声が聞こえた。

零「・・・」

烈「あ、ごめん・・・」

タミ「ぴー・・・」

烈くんは、わたしに謝りながら、この場を去って行った。

怯えているというよりは、酷く怨んでいるような、怖ろしい顔だった。


【画面ブラックアウト】

しばらく、何事かと神経を研ぎ澄ませて向こうの様子を伺おうと、無意識に集中していた。

零くんは、これがいつものことなのか知らないが冷静に、しかし気にするように伺っている。

すると、声が聞こえてきた・・・。


烈「お前らと居ても楽しかったことはなかった!」
烈「もうわかってるから、大きな声で話したくないからぼそぼそになったんだ!」
烈「それで、お母さんに『ハァ!?』って言われる」
烈「これは自分のせいなんだけど、元はといえばお前らが私がそうなるように育てたんだ!」
烈「飼い犬を雑に扱って噛まれて文句言う馬鹿がどこに居るんだ!」
烈「もう勘当されたっていいっ!」
烈「お父さんが死んだときの遺産も何も要らない!どうせ借金だろっ」

・・・なんか、大事になっているようだ・・・。

どんどんっ、と、廊下を走る音が聞こえた。

未夢「あっ」

制止する間もなく、烈くんが駆け抜けていった。

外を見ると、雨が降り出していた。

この時期の雨。

暖かい気温のはずの、冷たい雨。


零「悪い、光月、ついてきてくれるか」


未夢「えっ」


零「追うぞ、あいつを」


未夢「う、うん」


状況が全く分からないまま、烈くんを追うことに。


どちらにしても、心配だ。



零「くそっ。あいつどっちに行ったんだ・・・」



冬至が過ぎ、あとは明るくなる一方でも、まだまだ冬は深い状態。

辺りは真っ暗闇に等しく、さらに雨が視界を遮っていた。


未夢「こんなに寒いのに、烈くん雨に打たれて、凍えちゃうよ・・・」


急いで出てきたけど、外は寒すぎて、カバンと一緒にマフラーと手袋もしないと出れなかったぐらいだ。



零「・・・」


零くんは、烈くんがどこへ行ったのか、思案していた。


未夢「そういえば、零くんはどうして烈くんといつも一緒に居るの?」


烈くんと零くん。いつも一緒にいる。

今だって、必死に追ってきた。

名字も違うし、兄弟じゃない。

何か事情があるのだと思うけど、その理由はわかっていなかった。

ただの仲良しじゃない気がしたのだ。


零「・・・あいつと一緒にいると暖かいんだ・・・ここが」

未夢「心・・・?」

零くんは、胸に手を添えて言った。

零「そうだ。あいつは一人でいた俺をいつも笑わせようと続けた」
零「全く面白くなかったけど、その滑稽な姿が面白かった」
零「たったそれだけだけど、それが重要なんだ」
零「俺はあいつに心救われたと思う。孤独で真っ暗な俺の心を・・・」
零「あいつはいつも見た目元気だけど、たまにとてもさびしそうにするんだ」
零「俺はあいつに救われた。だから今度は俺ができる限り助けてやりたい。それだけだ」



烈「・・・そう思ってくれると、私も救われるよ」


未夢「烈くんっ」



偶然物陰に隠れていたように、彼は過ぎた曲がり角の先に居た。


零「お前な、急に飛び出して行って・・・」


未夢「そうだよ、心配したよ」


烈「うん、ごめん・・・」


あははと、空笑いだった。



未夢「・・・烈くんは、どうして零くんを・・・」



烈「んー?うーん、なんか寂しそうだなーと思って」

烈「笑ったらどんな顔するのかなって」

烈「こいつを爆笑させてみたい、そう思ったんだよ」

烈「全く笑う気配なかったけど、変なところで笑ってくれて」

烈「そしたらこんな私でも、他人を幸せにできるのかなって思った」

烈「まぁ、私が一人だったら寂しくて救われたいと思うだろうからしただけのお節介なんだけどね」

烈「でも零は付き合ってくれるし色々助けてくれるし、大好きだよ」



未夢「ちょ、二人とも両想いじゃん。結婚しちゃいなよ」

烈「いいね!しちゃおうか」

零「やめてくれ。俺はそんな趣味はない」

烈「私もないよ?」

未夢「さっきしようみたいなこと・・・」

烈「私なんかどうせ女の子にアタックしても・・・だから」
烈「じゃぁもう男でいっか!とか」

未夢「結局あるんじゃん!」

烈「いやー、私が男だからねー。タイでも行ってくるか!?」

未夢「なんでタイ?」

烈「性転換手術が栄えてるらしいよ」

未夢「ええーするの?」

烈「まさか。めんどいから、男子同士OKのオランダでいいか!」

未夢「結局あるんじゃん!」

烈「あっはっは」

冗談半分か本音かわからないが、とにかく仲が良いことはわかった。



烈「えと、色々恥ずかしいところを見られちゃったね。ごめんね。お礼するはずだったのに」


未夢「ううん、全然」


烈くんたちのことを少しでも深く垣間見れたのでそれは良かったと思う。

内容が、ちょっと複雑だったけど・・・。


一気に心の扉は開かれない。少しずつ知ればいい。

そうしたら、わたしも何か助けてあげられるかもしれない。

それが例えお節介だったとしても、わたしにできることならしたいと思ったのだ。

烈「今日はありがとね」


いつものような、明るい笑顔じゃなかった。どこか困ったような、申し訳なさそうなお礼だった。
彼の暗い顔は見たくない。
どこか、咄嗟に返事できなかった。

零「ほら、傘」

烈「おお、さすが零。用意周到だっ」

あとはいつも通りだった。
それが、振る舞いだったのかもしれないけど。


烈「えと、こんなこと言える立場じゃないんだけど、また謝りたいし、また来てもらえるかな・・・?」


また行くことは、彼のことをより深く知って行くことになるだろう。


彷徨『あんまり人様の事情に立ち入るなよ』

いつか昔、彷徨に言われたことを思い出した。

彼氏の言葉を、遮ってでも・・・?


→また行く
 遠慮する



未夢「うん。またお買い物とかしてたら、お手伝いしてあげるよ」

これが、わたしの意思。
わたし也の、思いやりのつもりだ。


烈「そっか。そっか・・・うん、ありがとう」


彼は、ほっとするような、ため息をつくようにいった。


烈「あ、でも、22日は予定があるよ」

烈「だから、それ以外なら、いいかな」


未夢「わかった」


烈「それじゃぁ未夢さん、また来週」

零「光月、悪かったな。ありがとな」


手を振って別れを告げた。



烈くんは、家じゃ、学校のような明るさは、どこかなかった。
学校での振る舞いは、無理してるのかな?
あの本当に楽しそうな笑顔が、嘘だというのか?

もしそうなら、心の底から笑って、わたしたちも笑わせて欲しい。
彼の闇に気づかず、彼の冗談に、のほほんと笑っていたのだろうか?
もしわたしがそれに気付けていないのなら、気付いてあげたい。
それが、取り越し苦労なら、それでいいのだ。

どうすればいいかはわからないけど、また今度烈くんの家に行ったとき、それが見えてくるだろう。
でもその問題は、解決できるかどうかわからない。
問題であるかすらわからないのだ。
どうしたら??

わたしはどこか重い足取りで、帰路に着いた。
-------------------------------------------------------------------

 また行く
→遠慮する



どこか、返事できなかった。

恐ろしかったのだ。

わたしの余計なおせっかいが、問題を大きく発展、荒げてしまうのではないか。

わたしが返答に迷っている間に、烈くんが視線を落としていった。

烈「そう・・・だよね。迷惑だよね。あはは・・・」

未夢「そ、そういうワケじゃ・・・」

烈「ごめんね未夢さん。色々迷惑かけちゃって。今日のことは忘れて」


もう、諦めたような、いつもの元気な口調だった。内容は暗かったけど。


烈「また来週ね、未夢さん」


零「・・・」

零くんが、手を振って、それで別れの合図だった。



どうすればいいのかわからなかった。

でも、わたしが割って入っても、どうしようもなかったのだ。

他人の事情には、入るべきじゃない。

わたしは関係ない。

だって、こんなに小さな力で、何ができたというのだ。

隣には零くんがいたんだし、きっと彼がどうにかしていくのだろう。

烈くんと零くんの絆は、きっと強固なものだから。


それでも、どこか後ろめたい気持ちを、抑えられなかった。



未夢「ごめんね、烈くん・・・」


何が悪いわけでもないけど、何となく口に出た言葉が、それだった。





-------------【烈サイド】-------------------------------------------------------

上しか見ない人は、下の人の苦しみと優しさを知らない。
私は苦しみを経験して優しさを知った。
あんな経験はもう嫌だ。

同じ境遇にあるものを救いたい。暗闇の表情から笑顔を出させたい。
私が何故今を生きているか、その意味は、悲しみにくれている人を救いたいから。
まぁ今やってることとか将来なりたいことは全然別なんだけどこの際そんなことは関係ない。

悲しみに包まれた人は、酷ければ死んでしまうだろう。
そこに私が手を差し伸べてやれれば、私はこの世に居た甲斐があったと思う。
例え己が高みを臨み得て他人に尊敬されたとしても、他人にいい影響を与えねば意味がない。

高みを経て他人を自分についてこさせるのもいいだろう。
私にはそれが無理だった。
でも、知った悲しみと優しさで、他人を救う事はできる。

私の手は闇からの救い手。
だから、私は零の手を取った。
零にも、こんな暗闇の世界でも、素晴らしい光があることを知ってほしかったから。
それを一緒に知って、一緒に笑いたかったから。





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    チェック001 /////////////////////////////////////

 持つのを手伝う
→がんばってね

未夢「・・・がんばってね」

烈「うん!がんばるよぉ〜」
烈「それじゃぁ未夢さん、また来週」

そういって手を小さく振った。

未夢「・・・バイバイ」




未夢「・・・はぁ」

お風呂上り。家に着いたお夕飯食べた後。布団に倒れ込んでいた。

未夢「手伝って上げれば良かったかな・・・」

何となく後悔していた。

未夢「いやいや!迷惑だったかもしれないしっ。また今度だよ」

何がまた今度なのかわからないけど、気丈に振る舞った。