かれんだー0表示(即更新なし) 1秒待ち クロスフェード更新 カレンダー14日目表示 クロスフェード通常 CG消去 1秒ウェイト ============================================ バレンタインデー ============================================ 朝、教室へ到着すると、惠ちゃんと可菜ちゃんが来ていた。 烈くんや零くんはすでに席に座っている。 烈「・・・」 彷徨「ん?なんだ?」 烈くんは彷徨のことをじっと見ていた。 烈「西遠寺くんってかっこいいよね」 ぶっ! 彷徨「お前はなんてことを言いだすんだ」 烈「いや、なんとなく見とられちゃった」 惠「それ死ぬことだよ!」 惠「しかも受身形!死んだ人が言ってることになってるから、ありえねぇよ!」 烈「あ、そっか」 烈「ん〜、でも、なんでそう思ったんだろう?」 可菜「男の人からでも同じ男の人に憧れたり、羨ましがったり尊敬したりすることがあるからじゃないかな」 可菜「女でもあるよ。同じ女の子でも、あの子可愛いなぁとか」 惠「可菜は可愛いなっ」 可菜「それか、恋をすると自分を磨くからじゃない?」 惠ちゃんの発言をスルーしていた。 烈「え?それはつまりどういう・・・」 可菜「西遠寺くんは未夢ちゃんにぞっこんだから、かっこよくなろうとしてるってことよ」 烈「おあ〜う、なるほど」 変な声で納得していた。 彷徨「別にそんな風になろうとしてねぇよ・・・」 可菜「もう未夢ちゃんに好かれてるから」 彷徨「ばっか、そんなじゃねぇよ」 可菜「おやおや、彼氏様は珍しく照れておいでですよ、お嬢様、ホホホ」 何のキャラなんだ。 可菜「まぁ、今日はがんばりなさい」 ぽん、と肩に手を置かれた。 烈「そっか・・・今日は・・・。日本には罪な習慣があるよね・・・」 惠「いやー、そうでもないかもしれんぞ。お前にも未来があるよ!」 烈「お慰め、ありがとうございます・・・」 さめざめと泣いていた。 ---------------------------------------------- 朝の授業中。 未夢(しかし、どうやってチョコを渡せばいいんだろう?) 毎年のこととはいえ、緊張してしまう。 もう普通に渡してしまう?去年も渡してるし、わ、わたしたち恋人同士だし・・・。 向こうもわかるよね?あっさりもらっておしまい! それでいいのかな?いい気もする。のに気は乗らなかった。 惠ちゃんにメールして相談しよう。 ケータイを机の下でいじってた。 持つと辛いと言うか、楽をするために教科書を入れるところにケータイを当てていじってた。 ブーッ!ブーッ! 机の中に当ててたケータイのバイブが鳴った。 教師「おーい、授業中はケータイはやめろよー」 誰がやったのかはわからなかったらしく、全体注意でとどまった。 見ると、彷徨からメール。内容は、なにやってんだー? (彷徨のバカーっ!) 涙目で見つめ返すと、彼はべっと舌を出してからかっていた。 ---------------------------------------------- はぁ。一体どうやって渡せば・・・何故悩んでるのかもわからなくなりそう。 教室にはいつの間にか惠ちゃんと可菜ちゃんもいて、何か話してたみたいだけど、耳に入ってこなかった。 惠「・・・と言ったら未夢と西遠寺でしょ〜」 未夢「ん・・・?」 おもむろに胸を掴まれた。 未夢「ちょっ、やだっ」 ぼかっ 未夢「ばかーっ!」 惠「未夢にぶたれたー」 零「当たり前だろ・・・」 零くんに見られてたし!もうサイアクっ。しばらく顔合わせられない。 零「そして不可抗力な俺は何もしてないのに被害者だ・・・」 惠「ざまぁ」 零くんは、はぁとため息をついて前を向いた。 零くんには申し訳ないけど、恥ずかしいんだから仕方ない。 可菜「あんたら、もう一生やってなさい・・・」 烈「あぐゥゥ」 烈「メガネ壊れてたの忘れてた」 烈「まぁいいけど、こんなことしてる場合じゃない・・・グゥゥゥ」 烈くんはメガネが壊れたらしく、唸ってた。 ---------------------------------------------- 昼前の授業。担任の授業だ。 担任「あー、そういえばというか、昼休みになったら持ち物チェックするぞー」 未夢「!?」 教室も、えーとざわつく。 担任「他の教室も今は担任が授業を行っている。昼休みになったら真っ先に持ち物検査する予定だ」 去年なかったのになんで?!? 担任「去年も持ち物検査していたがー」 担任「抜き打ちだったので反発が強く、今回から予定として連絡することにした」 いやいや今回も抜き打ちだし!聞いてないよ! っていうか、他の教室もって、この曜日のこの時間ってみんな担任の授業なの? うちはたまたま同じだったけど、他のクラスはこの日の為に合わせた? ポケットの中のケータイが震えた。見ると惠ちゃんからメール。 惠『なんか担任がやってきて、昼前に持ち物チェックするらしいなー』 惠『あたしは特に渡すのいないからいいけど、ま、がんばれよ』 という、何ともお気楽なメールだった。 どうやら向こうも持ち物検査らしい。 担任「あー今日が何かの日だからって、学校に不要なものは持ちこんじゃいかんぞ」 厳しすぎる!このハゲめ。(特にハゲてはいない) どうしよう!なにか、なにか策を練らないと・・・! 烈「いやぁ・・・罪な習慣ですなぁ・・・」 烈くんは振り返り、そう言っていた。 未夢「そ、そうだね!」 しかし、万が一見つかったとして、没収してどうするのだろうか? まさか捨てたり食べたりしないだろう。 そう考えれば、放課後に返してもらって、意中の人に安全に渡すと言うのもあり得る。 けど、大体それ自体がバレるのが嫌だった。 ぐぅ・・・!こ、こうなったら、少し嫌だけど・・・! トイレにでも隠すか!? しかし、いつのタイミングで? あんな、結構嵩張るやつを、授業中に堂々と持ちだせない。 いや、微妙に隠せば大丈夫か? 服の中にでも入れていれば、多少厚着しているだけと思われるだろう。 必至である。これは命より重い宝を守る使命なのである。 えーい!仕方ない! でも今すぐだとバレそうだから、時間を見計らって。 えーとー、えとー・・・! 30分後。 服の中に菓子袋隠した。 未夢「先生!すみません、お手洗いに行ってきます」 担任「おお」 わたし、大丈夫だよね?自然だよね?大丈夫大丈夫。 自分に言い聞かせた。 これは闘いである。 とりあえず1階のトイレまで持ってきた。 来たはいいけどどこに隠そうか? 個室の中は掃除の人とか他の人にばれそう。 窓の外にある鉄格子に挟むことにした。 ふう。任務完了。 ばれないよね?ばれないよね?なんか混乱してたから変なとこに隠した気も。 しかし今更引き返せない。 無事、教室に戻って、あとはやり過ごすだけだ。 キーンコーンカーンコーン・・・ 担任「じゃぁ持ち物チェックするぞー」 しかしうら若き女子の持ち物をチェックするとは! どうやらかばんの中を見るだけらしい。それだけでも嫌だけど。 差別がないようにする為か、男子のもチェックされていた。 時々出てくる3DSやPSVitaが没収されていた。 案の定、女子のも没収されていた。 泣く泣く渡していた。 しかしホントに、没収後はどうするんだろうか?放課後に返すなら没収しなくても。 ゲームと同じ扱いなんだろうか。 わたしがチェックされるのは一番最後だ。 彷徨「・・・」 彷徨が頬杖をついてこちらを見ていた。 わたしは硬直し、時が過ぎ去るのを待っている。 担任「これで最後なー」 かばんの中を見せた。当然、何も怪しいものない。 担任「よーしこれで全部なー」 担任は教卓に戻っていき、今後についてアナウンスしている。 彷徨「・・・どんな魔法使って隠したんだ?」 未夢「なっ・・・!か、隠してなんかないもん!何も持ってきてないわよ!」 つい条件反射で言ってしまった。 彷徨から、そうなのか、と小さく聞こえたような気がした。 惠『あれからどうなった?』 惠ちゃんからのメールだ。 未夢(なんとか無事に隠せたよ) 惠『やるねぇ。後はお手並み拝見と行こうか』 しかし、見られたのはカバンの中だけだったなぁ。 机の中に入れたらバレなかったんじゃ? まぁ教科書が詰まってて入らなかったけど。 授業後。HR。 担任「今日の昼前に不要物没収されたやつは、放課後職員室に来るようにー」 やっぱチョコとかも返すのかな。 そりゃそーだ、3DSと共に掻っ攫われたら元も子もないだろう。 でも返してもらえるのなら、預かっててもらっても良かったのかもしれない。 ホームルーム終了。解散した。 彷徨「おーい」 彷徨の声は耳に届いてなかった。 チョコが無事か確認することに夢中だったのだ。 トイレに向かって一直線、窓に向かう。 未夢「あっ・・・てないー!?」 あったーと言いたかったのだが、驚いたことに、そこには何もなかった。 あったとしても、トイレで何叫んでるんだって感じになっちゃうけど。 そんなことより、なんで!?トイレ間違えた!?いやいや、そんなことあるはずない!? 血の気が引いて変な汗が出た。 とりあえず外に出てみる。落ちてるだけかも。 なかった。 え、ええええ!?通りかかった先生に没収された!? そんなの、預かってもらうよりヤバい。 渡り廊下など一周して探し回ってみたが、なかった。 絶望・・・。 未夢「・・・ん!?」 学校に黒猫が紛れ込んでいた。 おや、珍しい。校門から入ってきたのか。 後姿だったが、口に何か見慣れたものを含んでいる。 ・・・わたしの菓子袋じゃないかー!? 未夢「・・・貴様!」 きっと我とも思えぬ形相であったろう。 ゆっくり近づいて捕まえればよいものを。それでも捕まえられるか不明だけど。 思わず我を忘れて、名の通り泥棒猫に襲い掛かった。 当たり前のようにびっくりして逃げ出す猫。 ちょ!せめてその袋は置いていけよ! ってか、ネコはチョコ食べちゃダメ! わたしのせいでネコを毒殺ならぬ、チョコ殺とか後味悪すぎ。 ってか殺猫罪で逮捕されて一生牢屋の中!?そんなのイヤーーー。 未夢「ふんぬっ」 まるで猫のようにネコに襲い掛かった。 がささっ。 しかし柔軟にジャンプされ、草の方に避けられた。 その際、仕方なしに邪魔だと思われたのか、口に含んだ袋は置いて行かれた。 よーし、大切なものを取り返したぞ! 教師「・・・なーにやっとるんだお前は」 未夢「うっ」 なんかの教師!科目知らんけど! 未夢「えっとー・・・あっ!わたし野球に興味あるんで、滑り込みセーフの練習とかー・・・!」 教師「・・・興味はいいが、あっ、ってなんだ・・・」 未夢「・・・」 教師「・・・はぁ、まぁいいが、ここは危ない。向こうのグラウンドから玉が飛んでくるかもしれんからな」 教師「野球ごっこしたいなら部に入って本格的に練習しろ」 未夢「は、はい・・・」 立ち去っていった。 ふう、なんとか誤魔化せた?いや、呆れられてたと思う。 何にしても、無事重要アイテムを死守できた!? おかげで、制服泥だらけ。どないすんですか。 カバンを取りに教室に戻ったら、烈くんと零くん、彷徨が残ってた。 未夢「あれ、まだ居たんだ?」 烈「未夢さんのカバンの死守だよ!」 彷徨「・・・どうした、それ、お前・・・」 泥だらけの制服を見て言われた。 未夢「えへへ・・・ちょっと猫と遊んでまして・・・」 彷徨「はぁ?」 ドクン――― そういえばここからが本番と思い、急に緊張してきた。 というか、心臓が急に高鳴った。 え、なに?心臓病でしんじゃうの?わたし。 顔も、耳まで赤くなっているだろうことを、自覚するほど熱くなっていた。 未夢「彷徨・・・ちょっと来て」 彷徨「え?」 未夢「いいから来なさい!」 彷徨「・・・なんだよ・・・ったく・・・」 校舎裏の渡り廊下に呼び出した。 みんなはもう担任にお菓子返してもらって意中の人に渡して帰ったのか、人気はなかった。 猫とバーサスして時間食ってたし。 辺りはもう夕方。真冬の日は短い。 緊張する。なんで?普段どおり、パッと渡せばいいだけのこと。 3年前、彷徨に片思いする友達の背中を後押ししたけど、本人は物凄い緊張していた。 『わたくしのは、本命ですから』 そう言っていた。今ならその気持ちがわかる。 『わたしのはどーせ義理だし』 ホントに義理だったのだろうか?わたし自身、気づいていなかったのだろう。 これは、3年越しのやり直しなのだ。 未夢「・・・彷徨。今度こそ作ってきたよ、手作りチョコ」 彷徨「・・・カカオからか?」 未夢「っちっ、違うわよ!」 彷徨「すまんすまん、いつものノリで」 未夢「素材は市販のだから、味は保証済みよ!」 彷徨「でも未夢が作ってくれたんだろ?まぁ変な加工してたらわからんけど」 未夢「もうっ!」 胸をバンと叩いた。 彷徨「あっはは。ごめん」 彷徨「未夢。ありがとな」 彷徨「お前のが、一番欲しかった―――」 未夢「―――」 うん。 良かった。 やっと渡せた。 固め直しただけの、わたしの欠片を。 これは、最初の一歩なのだ。 わたしたちの、歩みの。 声「・・・あっー!どこ行ったかと思ったら、こんなとこにいた!」 未夢「れっ、烈くん!」 烈「カバン、持って来たよ」 未夢「あ、ありがとう」 未夢「持って来ないでも、取りに行ったのに」 零「行くって聞かないんだ。無粋なやつだ」 烈「もう日が暮れるよ。帰ろう」 未夢「・・・うん」 未夢「・・・そういえば烈くんにも、渡すものがあるんだ」 烈「私に?」 未夢「はい」 烈「?」 差し出したのは、彷徨に渡したものと似たような袋。 未夢「バレンタインのチョコだよ」 泣き出した。 未夢「あ、あと、零くんにもね」 零「・・・なんだかすまん」 未夢「ちょっと、そこは、お礼を言ってよね」 零「・・・ああ、ありがとう」 烈「未夢さん、私のこと・・・!うおんうおん」 零「盛大な勘違いをしているが、烈の分まで、ありがとな」 呂律が回っていなくて意味不明な言語を話していた烈くんの言葉を零くんが翻訳してくれた。 烈「早速食べてみていい?」 未夢「う、うん」 烈「おおー!細かく、烈くんへって書いてある!」 彷徨「なに?よし俺のも」 彷徨「・・・おい、Kへって書いてあるぞ」 未夢「だって!彷徨の字、難しくて書けなかったんだもん」 彷徨「紅瀬のも大概だろ・・・本命なのに、この仕打ちは酷いぜ」 彷徨はそう言いながらパリッとチョコを食べた。 ドキッ。 彷徨「おっ、なんか美味いじゃん」 未夢「・・・なんかって何よ」 彷徨「まぁでも、未夢らしいかもな」 烈「未夢さん、ありがとう!」 烈くんは口の周りをチョコでべたべたにしていた。 これも烈くんらしい。 ・・・人には誰しも個性がある。 それはその人にしかない魅力。 例えば勉強や運動など、能力を求めることはいいと思う。 けど、個性やその人の性格などは都合によって能力よりも魅力的だと思うのだ。 ・・・思いたい。 烈くんは左手で袋からチョコを取り出して食べている。 未夢「烈くんって、左利きなんだっけ?」 烈「・・・えとー、うん、そうでもないけど、普段から左手をよく使うよ」 ? どういうことなんだろ。 烈「・・・普通の人って、チョコもらうのが普通なのかな?」 未夢「え、なに、突然」 烈「なんとなく」 未夢「うーん、わかんないけど、別にもらってなくても普通だと思うよ」 わたしの中では、半々と言うイメージだった。つまり、どちらも普通なのだ。 烈「まぁそうだね〜」 烈「関係ないけど、普通の人が普通で居られることがいいんだろうね」 烈「普通と言っても定義が不明で人それぞれだけど」 烈「大多数の人ができる事をもうできなくなったのならば、それは幸せではないのかなって哀愁を感じるよ」 彷徨「・・・」 零「・・・」 ・・・うん? あれ?なんかわたし、地雷踏んだ?どこで? 烈くんは何を言いたかったのだろう。 貰えない物が貰えたのが異常だということだろうか? でもわたしの中ではそれは半々だ。つまり、逆側のことにも言える。 例えばそれは、貰えるはずのものが貰えないことなど。 引いては、二度と経験のできぬことなど。 未夢「・・・」 烈くんの右手は白い手袋に包まれ、わたしから貰った菓子袋をぎゅっと握っていた。 烈「未夢さん、チョコ、ありがとね!嬉しかった!ありがと!」 未夢「う、うん。良かった。2回言わないでも」 烈「じゃーこれはお返ししないとだねー」 彷徨「じゃぁ俺は来月物凄いものを作ってきてやろう」 未夢「な、何よそれ」 彷徨「いや、特に決まってないし適当なこと言っただけ」 彷徨「でも未夢よりは凝ったものを作って、お前がどんだけてきとーなもん作ってたかって」 彷徨「思い知らせてやろう」 烈「おお。西遠寺くんの愛が炸裂ですな」 未夢「お、お手柔らかにお願いします・・・」 彷徨「未夢の愛の適当なチョコよりかはいいやつな」 未夢「もー!なんだかそれ色々恥ずかしいから止めてー!!」 烈「あっはは」