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未夢「いったた…」

今朝は、起きたら全身筋肉痛だった。
電車で立ってるのも辛かった。
途中は彷徨を支えにしながら来たぐらいだ。

烈「未夢さん、おはよう」

未夢「おはよう、烈くん」

烈「親戚から何故か現金書留が送られてきました」

未夢「ええっ、なにそれ」

烈「なんか、昨日試合に出てたことがなんらか伝わったみたいで、お小遣い?」
烈「これはさすがにお礼を言わないと人間が廃る…」

未夢「いいことじゃないかな」

烈「しかし、そんなことを言っているから私は甘いのでしょうか?」

未夢「うん?」

烈「金で釣られた、そんな言葉がよぎります」
烈「でもどこか甘えたいと思っているのかな〜」

未夢「いいじゃない、まだ子供なんだし、わたしたちがんばったし!」

烈「でもまだまだ未熟者だね、私はっ」
烈「それとも、彼らが誰かの力にもなりたいと思っているのかな」
烈「でも私が自分一人で足腰を立たせる、それが一番の周りへの孝行かな」

未夢「大変だけど、そうだね」
未夢「親戚の人も、きっと烈くんを応援してくれているんだよ。がんばらなきゃね」

烈「うん!」

未夢「ところで、烈くんはその、筋肉痛だったりしないの?」

烈「…」
烈「実は、やせ我慢」
烈「ちょー痛い」

未夢「あっはは、そうでしたか」

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烈「そうそう、関係ないけど、外付けHDDへのOSインストールしたいのですっ」

烈くんが零くんの方に向いて、突然語りかけていた。

零「唐突に誰に話しかけてるんだ」

烈「やーなんとなく。雑談でさ」

零「他の話題はないのか」

烈「まぁまぁ」

試合が終わり、みんなまた日常に戻っていた。
他にすることもないので、なんとなくその雑談に耳を傾けていることにする。

烈「USBフラッシュメモリにOSを入れて、そこからPCを起動できるようにしたいんだよね」

零「まぁ続けてもいいけど…俺はお前がやりたいこと一通り知ってるが」
零「やり方はわからんし、周りのやつも知らないと思うぞ」

烈「いいよ。でも経過と理由は知らないでしょ」

零「ああ」

烈「インストールフォルダをコピーしてみたとこまでは良いんだけど」
烈「再起動後落ちてしまい、セットアップができなくてさー」
烈「インストール環境は…PCはネットブックで、HDDはUSBフラッシュメモリ」
烈「CDドライブは無し、FDDドライブは外付けで」
烈「ちなみに、昔のOSは起動用フロッピーを駆使し上手くインストールできたんだ」
烈「そこから、別のUSBに入っているOSセットアップファイルを起動してる」

未夢「ほう」

烈「外付けUSBにOSをインストールすることは不可能なのかな」

烈「考えられる原因があったら、お教え頂けると嬉しいです」

零「だから俺わかんねーって。お前の方が詳しいんじゃないのか」
零「つかなんでそんなことしてんだ」

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烈「何故こんな回りくどい事をしてるかというとだなー」
烈「新しい自作PCを作りたいんだけど、大容量のフラッシュメモリを眠らせておくのはもったいない」
烈「ので、HDDの代わりとしたいのだー」

烈「新しいPCと言ってもサブ用にするつもりなので、別に性能は低くて構わないんだ」

烈「ブート革命というのがあるけど、すでにセットアップされた別のPCを用意する必要があって」
烈「なので考えてません」

零「なんかよくわからんが、そういうのがあるのか…」

烈「新しいディスプレイ、マザーなどを用意した後に」
烈「新しいPCとなる機器のみでXPをインストールできるようにしておきたいんだー」
烈「今は、組み立て前のテストとしての確認作業」
烈「他にこんなことしてる人は少ないと思って、新規に質問させていただきました」

零「何故に俺に丁寧語だ」

烈「知識向上のためにも、可能な限りできるかできないかを知りたいためです」

零「だからわかんねーって」

未夢「ふーん」

烈くんはすっかり元通りだ。




わたしは暇だったからケータイでニュースを見てた。
中国の船長が日本海域に不法侵入したのを捕まえたのに、罪に問わないで釈放したとあった。

繊細な問題だけど、一日本人として思った。

多くの人が、自国を、最終的には自分を守るために断固とした考えを持つべき、としているようだけど…。
あの結果は、お上の苦しい考慮の末なのかな、と。
別に擁護するわけではないけど。
国民はいつでもどこでも無責任だ。

もし自分が実際にあの立場なら、同じことをしていたかもしれない…。
国のみんなに嫌われるのも嫌だけど、外国に嫌われてご飯が供給できなくなったら、最終的に国民に嫌われるのだ。
どっちにしても文句を言われてしまう。
国を守ると言うのは、己を捨てて国のみんながご飯を食べられるようにするということなんじゃないか。
立場の弱い人たちーわたしたちは、せいぜいデモしか起こせないだろう。

これダメあれダメというより、どうすればいいのかを示唆してあげられればいいのに。
自分に責任を課されると嫌だから、文句だけになってしまう。
大衆を客観的にみると、そう言う風に見えないこともない。

国のみんなを無視したらどうなるんだろうか?
お上から見たら、せいぜいギャーギャー言うだけっていう風に見えるかもしれない。
大臣さんは、自分が政治家になって国を良い方向に変えてやる、っていう風に、ホントに思ってくれてるのかな?

大臣になったとしても、一人では何もできない無力に挫折するのではないか。

だけど、外国を無視したらどうなる?
企業・経済が上手く回らなくなった末に供給元が得られなくなり、自分共々全員餓死する。

深く考えた思慮の末で、国民外国どっちの機嫌を取るかで、後者だったのだろう。
無事に済まそうと言うこと自体が甘えなのかもしれない。
どちらも毒蛇の道なのだ。

気持ち的には、日本人として前者ではありたい。
理想と現実は違う、ということかもしれない。

横で烈くんが話す内容をラジオのように聞きながら、ぼんやりとそんな事を考えていた。


烈「比喩的な話だけどさ。例えば」
烈「月には259.798kg、直径2.19mの岩があるとして」

零「細かいな…」

烈「外から見た形状は、刃物で切られたかのような綺麗な立体形で」
烈「水に削られでもしない限りは自然的にできるのはあり得ない」
烈「と自分が言ったとしてそれが本当にあったとして」
烈「俺は月に行って調べたわけじゃない」
烈「とか言ってるようなもんじゃない?」

こっち向いて聞かれた。

未夢「あの〜、先生!意味が全くわかりませ〜ん。何の話?」


烈「どういうことかというと、元ネタも知らないのに元ネタにそっくりってことは」
烈「予言者かペテン師じゃないかということ」
烈「これを現実に当てはめたらどちらであるかは明白だよっ」

全く別の話に変わってた。

零「誰かが作ったのが別の誰かのものにそっくりだった場合、それがパクリじゃないかという話だ」

何故そんな話に。

烈「や、天下広しと言えども、まったく同じってのはあり得ないんだぜ」
烈「指紋と同じように」
烈「名作を参考にするあまり、別分野でそっくりさんを出すのは間違いだって思うの」
烈「『あんたは色んな意味で反省して、今後皆に対してどう生きていくか』」

烈「これを充二分に考えたほうがいいんじゃないかな」
烈「じゃないと、生きてる価値、なくなっちまうわさっ」
烈「シナリオライターは日々一生懸命考えて飯食ってるのにさ」
烈「楽に行きたいとかライターを馬鹿にした罪は許されないよっ」

烈「私だっていじめられたり壁を越えられなくて挫折したときはさ」
烈「私はこの世に必要ないんだ、よし死のう、とか考えたよ」
烈「だけど、そこでどれだけ自分を信じられるかだよね」
烈「生きてるだけで価値があるなんていうけど」
烈「そういわれる者は、成果がなくても途中経過を評価されてるからだよっ」

零「言い切っちゃったな。逆だ。どこかで成果が出てるんだよ」

烈「いやー、ホントに生きてるだけだったら、価値なんかなくなっちゃうっつうの」
烈「鼻かんだティッシュ、ゴミと同じだよ」
烈「役立たずは必要ないのさ」
烈「生きるために努力しなければ」

また話変わってた。

昨日、あんなに大変な、特別なことがあっても、過ぎればそれはただの一日でしかないと思えた。
でも、また何か思ってしまった。
過去に戻ることはよくないし、できないのだ。
それはつまりどういうことかというと、今日のそれは、昨日の前と同じじゃない、ってことだ。
前と同じように見えるだけ。それぞれ、心のどこかで何かが変わり続けている。

今の知識のまま、幽体離脱して、昔の自分を見たら、どう思うだろう。
ただただ、目につく自分の愚かな言動が脳に痛いだけだ。
今、成長しているのだ。
じゃぁもし今の記憶と知識があって、昨日に戻ったら、もっと最初から上手くやれただろうか?
もう一回、あれと同じことがあって、上手くいけただろうか?
夏希ちゃんと英一くんを、引き合わせられただろうか。
やはりあの時のように上手く行くとは限らないだろう。
時も場合も、同じではないのだから。

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今日の授業が終わった。
部活…はもう行かなくてもいいのかな?行ってもいいのかな。
夏希ちゃんのもとに、英一くんが帰ってきた。
わたしの役割は、果たせたかな?
果たせたからと言って、わたしたちが分かれる必要はないけど。

部活に行く前に、図書室に寄って行くことにした。

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可菜「…こんにちは…?あら、未夢ちゃん」

未夢「こんにちは。可菜ちゃん」

いつものように、受付の当番をしていた。

中はいつもより静かだった。

未夢「今日は、誰もいないの?」

可菜「そうね、今日は、いないみたい。こういう日もあるわ」

未夢「ねぇ可菜ちゃん、あちこち筋肉痛だったりしない?」

可菜「…言わないで、痛みを思い出しちゃうから」

未夢「どこが痛いのかな〜?未夢さんに言ってごらんなさいな」

可菜「ちょっと、体を突きなさんな!」

未夢「あっはは」


未夢「あの二人、あれからどうなったんだろうね〜」

可菜「さぁ。気になるなら確認しに行けばいいじゃない」

未夢「ジャマしちゃうかな〜って」

可菜「未夢ちゃん、野球部なんでしょ?」

未夢「でもそういえば、正式に入部してるわけじゃないんだけどね…」

可菜「そうなの?」

未夢「夏希ちゃんのお願いというか、臨時というか」

未夢「だから用なしかな〜って」

可菜「それはないと思うけど」

未夢「そういえばあの二人、仲良かったよねぇ〜」

可菜「えと、あの二人って、夏希ちゃんと畑中くん?」

未夢「うーん、それもだけど、夏希ちゃんと英一くん」

可菜「二人はどんな関係なんだっけ」

未夢「えっと…それは」

未夢「好き同士だったのにくっついてなかったけどこの度くっついた系、みたいな?」

可菜「二人はどうして繋がってなかったんだっけ」

未夢「確か、英一くんが夏希ちゃんを断っちゃって」

未夢「今度は夏希ちゃんが英一くんを拒んじゃった的な」

可菜「? それってどういうこと」

未夢「えーと、断ったけど見直したら実は良くて、返事し直したら断られたって感じかな」

可菜「それだけ聞くと、まぁそりゃそうねってなるけど」

可菜「そんな二人なら、仲良いってほどには聞こえないけど、またどうして」

可菜「返事のし直しに対する返答をやり直したって感じ?」

未夢「うーん、なんていうか、夏希ちゃんが、英一くんの力が必要だって」

未夢「まぁでも、英一くんが拒んじゃってたっていうか」

可菜「? 何よそれ、訳わからないわね。拒んだけど再申込みして、さらに拒んだの」

未夢「複雑な思春期の心ってヤツですよ」

可菜「天邪鬼ね」

未夢「まぁそれで、お互い長い間、連絡も取りあってなかったみたいっていうか」

未夢「お互い、近づきたかったけど近づけなかったって言うか」

可菜「満たされていなくて要求しないのならば、それは恋人ではなく友達よ」
可菜「深い領域に入る事がないのならば、どんなに仲が良くてもそれは、友達と言わざるを得ないでしょうね」
可菜「恋人の定義は、深みに行けるかどうかだと思う」

未夢「まぁでも、それも今回で解消されたみたい」

可菜「人の事は良いけど、未夢ちゃんも西遠寺くんと進展あったの?」

未夢「え〜とそりゃ〜…あはは」

可菜「はぁ。人のことばかりで自分の事を疎かにしちゃいけないわよ」

可菜「今の忠告、ちゃんと聞いてた?」

未夢「えーと、あはは…はい」

可菜「聞いてなかったな〜。ま、未夢ちゃんは未夢ちゃんのペースでいいけどねえ」

要求しないなら…か。
わたしは充分満たされていると思うけど、それが勘違いなのかな?
もしくは、意識の底、無意識に、それはまだ早いと感じているのかもしれない。




帰り道に、部活に寄ってみた。

夏希ちゃんが部員全員に説教してた。

大事な試合に出てくれなかったからだろう。

やがてそれは終わり、練習へと解散した。


夏希ちゃんのもとへ向かう。

夏希「あー、未夢ちゃん、おっそーい」

未夢「あっはは…って、ええー!」

夏希ちゃんの右手には包帯ぐるぐる巻きで首かけがかけられていた。

未夢「どうしたのそれ…まさか、骨折?」

夏希「あーいやいや、違う違う、あの後に畑中が病院行けってうるさくってさー」

夏希「軽い捻挫だっていうのに、大げさだっつーの」

そういうと、包帯と首かけをほどいてしまった。

あらわになったのは、肘と指に無数のシップだった。

畑中「おま、せっかく巻いたのに解くなよ」

夏希「動きづらいのよ」

畑中「だからってしばらくお前は練習禁止だぞ。いつものように指令だけすればいい」

夏希「それじゃ暇でしょ」

夏希「とりあえず、利き腕がこんなんじゃ、授業でノートも取れないわよ」

夏希「ねっ、未夢ちゃんもそう思うでしょう?」

未夢「えっ、ええ、ああ、うん…左手で練習するとか?」

夏希「左利きの人が右手で書くとかなら何とかなってそうだけど、右利きのが左で何かするって無茶よ」

夏希「やってみたけど、へなっへなでやる気失せたわ」

未夢「あっはは…」

未夢「…ところで、英一くんは?」

夏希「ああ、あいつなら、今日はいないよ」

未夢「えーと、あの後、付き合う宣言したのに」

夏希「…今はそれは関係ないでしょ」

夏希「…別に、だからって急に何かが変わるわけじゃないのよ」

夏希「いつもどおりよ」

未夢「でも、それじゃあ…」

せっかく、繋ぎ直したのに…。

畑中「…俺は他の奴らとの練習に戻るからな。夏希、安静にしてろよ」

夏希「はいはい」

夏希「ったく、あいつだって、やせ我慢しちゃって」

未夢「えっ」

夏希「なんでもない」

夏希「ところで、未夢ちゃんは役目終えたわけだけど、来年度の夏、甲子園行くから」

夏希「未夢ちゃん本格的にマネージャーやる?」

未夢「ええー、受験あるし、どうしようかなぁ〜」

夏希「ええ、いいじゃん、やってよやってよ、またヤバくなったらリリーフわたし!とかやっていいからさ」

未夢「甲子園とか、ホント無理だから!」

夏希「今から剛速球伝授するから」

未夢「できるかい!」

そんなこんなで、雑談していた。

みんなの前では雑談してる夏希ちゃんにしか見えないから、またみんなに嫌われちゃうよー。

でも、みんなは夏希ちゃんの剛速球は知ってるのかな。

英一くんも…。二人が組めば最強なのに、英一くんは来ないのかな?

夏希「…あいつなら、野球やりたいなら戻ってくるだろうし、そうじゃなかったら戻ってこないさ」

未夢「えっ?」

夏希「未夢ちゃんはお節介だから、きっとあいつのこと考えてくれてると思ってさ」

未夢「…」

夏希「私にとってあいつが必要でも、あいつにとって私が必要かは不明だし」

夏希「野球部に入る事に、無理強いはしないつもりだよ」

未夢「せっかく、彼氏彼女になったのに」

夏希「!それはそれ、これはこれ!けじめはつけてるわ」

夏希「まぁでも、そうなったら、言うことなさ過ぎて、逆に怖いけどね」

夏希「なんだか、ゴールに辿りついたみたいで、モチベがなくなっちゃうのが怖いわね」

夏希「道しるべってゆーかさ」

夏希「だから特に何も言わなかった」


可菜『満たされていなくて要求しないのならば、それは恋人ではなく友達よ』

可菜ちゃんの言葉が思い出された。

未夢「もし夏希ちゃんが本当に英一くんのことを求めてるなら…」

未夢「それは、ちゃんと言葉にするべきだと思う」

夏希「だっから、それは昨日みんなの前で宣言したじゃない」

未夢「恋人なら、お願いしたって」

夏希「…弱みにつけこむようで嫌なのよ」

難儀なものだ。

夏希「まっ、なんとかなるわよ。さ、キャッチボールでもしよ」

未夢「えっ、畑中くんに禁止されてるんじゃ」

夏希「あいつの言う事なんか無視しときゃいいのよ。いくわよー、それっと」

夏希「! あいったたー」

未夢「!ほら、やっぱり無理じゃない、今日の雑用はわたしがやっておくから」

夏希「人が好いのはいいけど、未夢ちゃんの方は進展あったのー?」

未夢「? 何が?」

夏希「西遠寺くんと一緒に野球して勝ったんだし、何かないの?ってこと」

未夢「彷徨は、俺はバスケだって言って向こう行っちゃったからなぁ…」

夏希「そんなの、照れ隠しに決まってるじゃない」

未夢「そうなのかなぁ」

彷徨はポーカーフェイスだからわからない。

でもわたしは彷徨と一緒に居られるだけで満たされてると思う。

本当に?

どこか自問する自分が居たけど、自答する自分はいなかった。

夏希「じゃー、まー、いつもの自分に戻るかー」

夏希「未夢ちゃんは、良かったらでいいけど、用具の整理とかしてちょうだい」

未夢「いいよ。とりあえずその肘、お大事にしてね」

夏希「はいはい。ほらーそこー、もっと早くパス回ししてー」

本当にいつも通りだった。

最初はからかうつもりだったのに、そんなんじゃなくなってた。

はぁー、進展ないのかー。