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 ====================================== 面談 ====================================== 

先生「そういえば、光月さんは最近部活始めたみたいだけど」

今日は先生との二者面談があった。
今は放課後の教室で担任と二人きりで面談している。


先生「何か心境の変化があったの?もうすぐ3年で受験生なのに、しかも野球部とか」

未夢「ちょっと…えへへ」

先生「男子部員に何か弱みを握られているとか…!?」

未夢「あ、いえ、そういうんじゃないです、夏希ちゃんに頼まれて…」

先生「夏希ちゃん?ああ、女子部員の五十嵐さんね。あの子も凄いんだよ〜」

先生「え、それでマネージャー頼まれてやってるとか?これから3年生になるのにお人好しだなぁ」

もし、少しピッチャーを頼まれたと言ったらびっくりするだろう。それは言わないでおいた。

先生「光月さんは将来何になりたいの?」

何になりたいんだろう。決めてなかった。

未夢「お、お嫁さんとか…」

先生「あっはは!乙女だなぁ」

先生「それでも、進路は決めないとね。お嫁さんは別で考えてもらうとして…」




夏希「ん、お疲れさん」

グラウンドに来たら、夏希ちゃん先に来てた。いつも早いなぁ。

夏希「今日二者面談だった?」

二者面談は日ごとに生徒が違う。順番にやるのだ。
わたしは今日だった。忘れてたけど。

未夢「うん」

夏希「私も…」

なんだかげっそりした気分のようだ。

未夢「何かあったの?」

夏希「成績のことでたっぷり怒られた…」

未夢「そういや、担任の先生は監督さんで、仲良いんだっけ」

夏希「仲良いっていうか、付き合いの長い腐れ縁のだけというか…」

夏希「野球好きなのはいいが、せめて授業はノート取って課題は出せ!って怒られた」

未夢「あっはは…夏希ちゃん、授業中はどうしてるの?」

夏希「爆睡」

野球に疲れて寝まくる夏希ちゃんが想像できた。


未夢「怒られたにしては、早く解放されたね?」

夏希「順番が早かっただけよ。後ろ詰まってるし」

夏希「やり取り自体は、まぁいつもと同じというか」

未夢「進路聞かれた?」

夏希「聞かれたよ。プロ野球選手になる!しか言ってない」

夏希「あいつには、それもいいが保険も考えて勉強はしとけって言われた」

夏希「勉強はいいけど、なんか滑る前提みたいで嫌だな」

そういえばここのところは、わたしと仲良くなって?からはキャッチボールやトラブルばっかだったけど。

夏希ちゃんは本気でプロ野球選手目指してるんだよね。
今までどれぐらい練習したんだろう。
ふと目に入ったけど、手は豆つぶだらけだった。
部活が解散したあとに、1人で練習していたんだろうか。
夏希ちゃん、キレイな手なのにな。
あんなに汚して…よほど本気なのだろう。
わたしはお嫁さんになるとか…のんきだなと思った。

夏希「未夢ちゃんも進路聞かれたでしょ?」

未夢「う、うん」

夏希「そういえば、未夢ちゃんのお母さんって凄いんだよね?えーと確か、スペースシャトルに乗ったとか」

夏希「跡を継ぐとかないの?」

未夢「う、うーん、ママにはそう言うのは言われてないかな…」

彷徨を追いかけて理系に来たけど、特にそういうのはなかった。
夢を継ぐとかあるけど、ママ自身で達成できたみたいだし。

夏希「まぁ、未夢ちゃんのやりたいことをやればいいと思うよ!」

それがあって、難しくてもそれを目指す夏希ちゃんは凄いと思う。

ママもそうだ。

不安とかないのかな…?

未夢「夏希ちゃんは…不安とか、ないの?」

質問してから、そんなのないわけない、あるに決まってる、と自答して、しまったと思った。

夏希「うーん、ないわけじゃないけど、後悔はしたくないかなって」

夏希「昔挫折しかかったこともあったけど、とりあえず納得するまでやってみたいって」

夏希「なんとかならずに折れたらその時考えても遅いかもしれないけど、後悔ないのが一番かなって」

夏希「私はそう思っただけだよ」

特に何もないわたしにはなんか、まぶしい。

夏希「ああ、気にしないで!私は特殊なようなもんだから…」

未夢「特殊って?」

夏希「ほら、女の子で野球目指すとか、変じゃん?」

未夢「へ、変じゃないよ!かっこいいよ!」

夏希「うふふ、ありがと。でもね、保険のない行動だってわかってるんだ」

夏希「だから、どうせ叶わないのに、浅はかだなって、どこか思うときもあるよ」

未夢「そ、そんなことないよ。わたしのママだって、難しいこと叶えたよ」

未夢「夏希ちゃんがんばってるんだから、きっと叶うよ!」

夏希「おおう、そういえば、ここにも変わってることを叶えてる人が身近に居たのか…」


未夢「そ、それに、もし難しくなっても、英一くんのお嫁さんになればいいじゃない!」

夏希「なっ…!なんて恥ずかしいことを…!で、でも、え、英一かぁ〜あいつ大丈夫かなぁ〜」

そういいながらも顔はニヤけていた。

夏希「そういえば英一仲間に入れる計画は進んでる?」

サッパリ。

未夢「…スイマセン」

夏希「あっはは!無理強いはしてないよ。最近、私と付きっきりだしね」

夏希「そっか〜、でも、あいつと一緒なら、心強いんだけどね…」





夏希「とりま、プロ野球選手になる」

夏希「一言に『プロ野球選手』と言っても、過程は大変」

夏希「練習したり、練習したり、練習したり」

夏希「また、これによって新しいコミュニケーション、ネットワーク、人の輪が広がるかもね」

夏希「私は今、このチームの先頭に立ってみんなをひっぱっているかもしれないけど」

夏希「気持ちとしてはみんなの後ろに立ってその人の能力を後押ししているだけ」

夏希「もともと下を持った事がない私が上に立つのは間違いだし」

未夢「そ、そんなことないよ…」


夏希「世の中は甘くなく厳しいと言う言葉があるけど、厳しいとか辛いと言った事はあると思う」

夏希「だけど、それを『当然』と表現してほしくない」

夏希「もちろん生きるのに苦労しなかったと言う人は居ないと思うけど」

夏希「たくさん苦労すればよいと言うものではないと思う…」

夏希「自分が、無意味に厳しくされて嫌だったから、私が上に立ったら安心させてやりたくて」

未夢「そうだったんだ…」

夏希「なーんて、なかなか思う通りにはいかないのよね、つい厳しくしちゃって反感とかね」

未夢「…」

夏希「とりあえず、そう言うなりたい事があるから」

夏希「もしなかったら何に成りたいかもわからず遊んでただけかもね」

夏希「孤独を感じないためには、集団に紛れ込むか何かに夢中になるしかないから」

夏希「余計なことを考えてしまいそうだから」

夏希「またはそれを感じない人は、知らず知らずのうちに何か大切なものを既に得ているのだと思う」

夏希「彼氏彼女であったり、親友であったりね」

夏希「…」

じっと見られた。

未夢「えっ、な、なにっ」

夏希「だから、私と野球やるより、彼氏さんと遊びに行ってもいいよって」

未夢「いやいや!野球、夏希ちゃんのお手伝い、やりがいあるよぉ〜」


未夢「じゃぁさもしだよ、もし仮に野球選手じゃなかったら、将来どうするの?」

夏希「ん〜、どうしたら一番比較的楽に生活できるんだろうって将来を考えるかな」

夏希「お金とか!」

未夢「こりゃまた偉く現実的な」

夏希「だって私、親戚のおじさんに学費出してもらって奨学金でなんとかしてるぐらいだし」

未夢「あ、野球選手になるって言うのはそのため?」

夏希「失敬な!それは結果論だよ」

未夢「あっはは」

夏希「何が一番儲かるんだろうねー、というか、何が一番買われるかな」

夏希「生活に必要ない商品でも、新しいものが出たらどんどん買ってしまうものよね」
夏希「会社的には、一発大きいの出たらもう新しいの考え続ける必要もないしね」
夏希「それで引っ張れる」

夏希「対して、生活の電化製品は一度買ったら相当良いものが出るか、壊れるまで買い替えることはない」
夏希「それに電化製品とかで一発でめちゃくちゃ儲かることはないので、続ける必要がないといけない」
夏希「かと言って壊れやすいように作るわけにもいかないし。うーん」

夏希ちゃん考え出してしまった。

夏希「私たちって何にお金を使っているかな?」

未夢「うーん、お化粧品とか?」

夏希「ちーがーう、生活費よ」
夏希「じゃぁまず、家賃が一番高い!その次に飯、通信、光熱費かな」
夏希「じゃぁ、家か。野球選手じゃなければ、大家さんになれば将来楽かな!それとも建築家か!」

夏希「なるほど道が見えた」

未夢「あっはは。じゃぁ保険は建築家?」

夏希「でも待てよ、家を建てるのは身に危険が及ぶ。それに男性の仕事だ。女性も少しいるけど」
夏希「建築家がないとすると、次にお金使うのはご飯だから、農家か!」
夏希「でもご飯は、よく考えてみると供給元が追い付かないはずじゃ?」
夏希「日本1億人居て毎日ご飯食べてるけど、食べ物育てるのに何ヶ月かかるのよ」
夏希「現状はできてるけど」

未夢「いや、輸入してるんだよそれは…」

夏希「それでも追いつかないでしょ!農家は大変そうだからなし!」

夏希「となると、通信系?結局情報系、家電に戻るなぁ」
夏希「理系とか、わたしはそんなにお給料払ってもらうほど役に立てるとは思わないなぁ」

未夢「そういえば夏希ちゃん、理系?」

夏希「一応ね」

未夢「ああ〜でも、もし仮にプロ野球選手に成れなくてもさ」

未夢「箱根駅伝とかに出てる選手って、大手の会社の人なんだよ」

未夢「でもその人は大手の会社の仕事はやってなくて」

未夢「広告活動用にずっとスポーツするのを認められてるんだって」

未夢「あとね、テレビで、ある番組の代わりにスペシャル番組やってたのを見たことがあるんだけど」
未夢「普段は会社員なのに趣味でアマチュアでプロ並みの精度の何かを作っているものを発表してた」

未夢「普段会社員をやっているから、ああいうことがやりたくなって、精度も鍛えられるのかなって」

夏希「未夢ちゃん…あんた、そういうのしてて野球選手って成れると思う?」

未夢「はわわ…スイマセン」

夏希ちゃんはアマチュアでは満足いかないようだ。

未夢「でも、そっかぁー。夏希ちゃんは遥かな高みを目指してるのね」

未夢「わたしはぼんやりダラダラ過ごしてたから、時間がもったいないのかなー…」

雑談に雑談を重ねてて、話が変わってた。



畑中「…お前ら、ちゃんと練習しろよ!」

畑中くんが走ってきて、注意してきた。

夏希「うっさいわね〜、してるわよ」

畑中「そうは見えなかったが」

夏希「見えないところでしてるのよ」

畑中「…鷹見がいなくても、俺たちがいるだろ」

夏希「あれ、聞こえてたんだ」

それにしては、ちょっと話がズレて聞こえていたようにみえるけど。

畑中「だから、俺たちを信じて頼れ!」

夏希「あっはは。はいはい、信じてるし、頼りにしてるよー」

夏希「だから、あんたはさっさと練習に戻った戻った!」

しっしとやるように追い払う。

夏希「さて、練習しますか、あいつがうるさいし」

畑中くんの気持ちを垣間見たから、何となく切ないのが伝わってくる気がした。
夏希ちゃんは畑中くんの気持ちを知ってるんだろうか?
例え知っていても、はっきりと答える気がする。

未夢「夏希ちゃん」

夏希「うん?」

未夢「…やっぱりなんでもない」

夏希「変なの。さぁやるよ!」

わたしが言っても、それこそ仕方のないことだ。それは彼らの問題なのだから。