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 ====================================== 強盗ストーカー事件 ====================================== 


今朝起きた瞬間から1000%オンだった。
と言うかボルテージ突き破ってた。
全然眠気が取れない。
昨日12時に寝たのに、起きた瞬間から爆睡できそうな眠気に襲われた。

この時点でもう怒り爆発。何故か朝からイライラ度MAX。
今週まだ終わってないじゃんと思いつつさっさと着替えて家を出た…。
すごいガン付け顔になっているだろうと自分でも思えるくらいの顔で外を歩いていたと思う。
なぜか誰もいない。
今日木曜だよね?祝日だったっけ?と思いつつ弁当買って駅へ行き、目的の電車を待っていた。

その時ケータイが鳴る。
誰よこんな朝から電話なんてする子は…。
怒鳴りつけてやろうかと思ってケータイを取ると、わたしは気づいた。

【(゜Д。)!?】

7時の目覚ましアラーム!?
駅の時計を見ると…確かに7時だった。
どうやら一時間も早とちりをしていた模様。
わたし超やる気満々!
なーんだぁ〜だからこんなに眠いのかぁ〜。
誰もいないのも納得。


でも、こんな訳のわからない失態をしていることに関してイライラ度増加。キレた。
いったん家に帰った。もう訴えてやる!

【(+゜Д゜+)】

未夢「なんで今8時じゃないの!?ええっ!?」

シャワーで怒り汗流して目薬差して、朝食のおにぎりとサンドイッチを食べてTVニュース見てた。

当たり前のことをすることがこんなに気持ち良かったことを忘れていた。
と言っても来週になればまた惰眠貪ってるだろうけど。

その後適当に音楽聴いて、カルシウムの牛乳を一気飲みして再度家を出る。


再び駅に到着して電車を待っていたけど、目的のいつものこの駅発の電車が来ない。
なんで?遅れているとは思えないけど…。


疑問に思いつつもう時間だから電車に乗った。
走り出すと、なぜか地下へと出ていく!

【(゜д゜)!?】

何!?わたしどこへ向かってるの!?


逆方向の電車に乗っていた。
そりゃ目的の電車は来ないわ。


なんでこんなことになったか…。

弁当買う時は買ってから来るため、ホームに降りてくるときは左手の電車に乗る。



だけど、今日は早起きのせいでもうすでに弁当を買ってあった。
だからコンビニへ遠回りせず近道で別番出口からホームへ降りたのだ。

その時は目的の電車が右手になる!


一時間も早く目覚めておきながらこの失態。
もう怒ること元気もなかった。
台風が去った後のような清々しく青い空が憎かった。

とりあえず、寝坊…?じゃないよなぁ。1時間も早く起きてるし。
一人素ボケしてたとしか言えなかった。


しかも目的地に着いたら、月一の掃除とか言われて運動場の掃除手伝わされた。
みんなジャージでわたしだけ制服でお掃除。
顔から脇から汗だらけ。


もう牛乳じゃカルシウムを補充できませんでした。


おしまい。ちゃんちゃん。

未夢「…ってわけで今に至る」
3連続の自虐があった。起き間違え、電車間違え、朝掃除。

惠「お疲れ」

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烈「ねぇねぇ。これ、日本語がおかしいような気がする…」

彼が差し出してきたケータイには、ニュースの文字が映っていた。
『彼の生活を上っ面だけ見て憧れるAは実態を知らないからです』と書いてあった。

烈「これなんかおかしくない?」

惠「別におかしくはないだろ」

烈「そーいうことじゃなくって、意味は分かるんだけど、日本語としてってこと!」

惠「ふーん?」

烈「日本語としては、こうだと思うんだよ」

『Aが彼の生活を上っ面だけ見て憧れるのは、Aが実態を知らないからです』

惠「ああ、まぁわかりやすくはなったが、なんか回りくどいな、Aが2回来てるし」

烈「日本人は、主語を略すからね」

憧れる、かー。3年前にも友達がそうだったな。
暴走するとおっかなかったけど。
今はどちらかと言うと、わたしの方が憧れてるのかも。
彷徨に。

彷徨「…」

彷徨の方を見たら、なんか不機嫌そうだった。
そういえば朝連絡しなかったからかな…してる間がなかったけど。
そういや喧嘩の途中だったな。
ま、いっか。

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烈「フリップフロップって何だったかな〜…」

放課後、烈くんと図書室に来ていた。
勉強だ。

可菜「お、未夢ちゃん。今日も勉強しに来たの?」

未夢「うん、ちょっと。進学するか就職するかで迷っちゃって」

可菜「いくつか大学と会社のリストをあげるよ」
可菜「気が向いたら電話してみて」

未夢「電話はないよ〜」

可菜「そんなことないわよ、やる気ある!って思ってくれるかも」

未夢「そうだとしても、就職なら電話するのは来年だし、今早すぎるって」

可菜「まぁ確かに、そうかも」
可菜「じゃぁ、こっちは大学のリストね」

可菜「私が行こうとしてる大学」
可菜「友達が行こうとしてる大学」
可菜「県外の大学」
可菜「トップレベルの大学」
可菜「田舎の大学」

未夢「おー。ありがとう」

それぞれの大学の偏差値に合わせて模擬テストしてみた。
可菜ちゃんに採点してもらった。

可菜「全然だめ」

未夢「あーうー」

可菜「まぁ、まだ習ってないとこもあったから、仕方ないけどね」
可菜「そういえば西遠寺くんは、大学なの?就職なの?」

未夢「うーん聞いてないよ」

もし彷徨と分かれたら途方にくれて…。

可菜「今度聞いたら?」

未夢「うーん、そうだね…」

生返事をしていたのだった。

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図書室閉鎖の時間になった。

ガラガラっ。

可菜「おー。西遠寺くん、今日も未夢ちゃんを迎えにきた…の…?」

彷徨は開けたドアの敷居に立ってもたれかけていた。

可菜「?」

烈「…?」

あー、なんか不機嫌そう。

未夢「可菜ちゃん、ごめん、先帰るね。またね」

烈「何だったんだろうね?」

可菜「さぁ…」





未夢「彷徨、まだ機嫌悪いの?昨日と今朝のこと?今朝の事はごめんって」

彷徨「…」

彷徨はすたすた歩いて行ってしまう。

未夢「もう!なんか言ってよ!これじゃ一緒に帰ってる意味ないじゃない!」

彷徨「…ああ、そうだな。俺を待ってくれてなくても良かったかもな」

未夢「ならなんで図書室まで来たのよ」

彷徨「来るなと言ってくれれば行かないぞ」

未夢「…!もう!やめてよ!勝手な嫉妬とかばっか!わたしは彷徨を信頼してるのに…!」

彷徨「なら…!」

未夢「そんなこと言ったって、烈くん無視できるわけないじゃない!」

彷徨「お前、俺と紅瀬どっちが大切なんだ?」

未夢「それは…でも、人をそういうので比較しないでよ!」


言い争いしながら、いつの間にか西遠寺まで上がって来ていた。

未夢「だから…」

彷徨「ん?おい、ちょっと待て」
彷徨「本堂の方から、何か聞こえる…」

未夢「え、なに…?」

がさごそ…。

未夢「またまた。うさぎかなんかじゃないの…?」

彷徨「…」

彷徨の強張った表情。まさか。

未夢「…え?」

そこには、黒いマスクを被った、男性らしき人がいた。
金品らしきものを抱えていた。

未夢「どっ、泥棒っ…!?」

強盗「…チッ。昨日のバカップルかよ」
強盗「女について行ったら金庫があるって聞こえたから探したら、これくらいしかねぇ」
強盗「おい小僧、金を出せ。さもなくば殺すぞ」

相手の手にはナイフが。

彷徨「未夢、逃げろ!警察を呼べ!」

強盗「させるか」

彷徨「こっちの台詞だ!盗んだものを返せ!」

彷徨が横に手を広げて防ぐ構えをした。
強盗が彷徨にぶつかり、二人して転ぶ。

強盗「チッ」

強盗は逃げて行った。

未夢「彷徨、だいじょう…ぶ…?」

彷徨はお腹を押さえていた。
暗くてよくわからないけど、何らかの水気を感じた。

彷徨「未夢…だいじょうぶ…か…」

気付くと、床に大量の血が―――

未夢「い…いやあああああああああ!!!!」
未夢「彷徨、彷徨!!」

彷徨「ぶじ…みたいだな…よかっ…」

お腹、刺されてる…!

未夢「なんにも良くないよ!!そうだ、救急車…!」

??「お前ぇー!」

未夢「烈くん!どうして…?」

振り返ると、烈くんが居て、浮いていた。
肩に変なのを乗っけて。
逃げたはずの強盗は、烈くんに足止めを食らっていた。

烈「タミ!」

烈くんが声をかけた瞬間、肩の生き物?の口から大きな炎が。

強盗「ぐわっ!」

強盗の人がよろめいてる隙に、烈くんが手のナイフを奪った。

烈「未夢さん!今のうちに警察を!」

未夢「う、うん!」

ええっと、110番…だよね!
混乱しているから、常識がわからなくなっている。

未夢「すみません、警察ですか!?今、強盗に襲われてて…西遠寺に居るんです!早く助けて下さい!」

なんだか、普段言いそうにない命令口調になってしまったと、後から思うだろう。



警察が来るまでの記憶は、なんだか曖昧だった。

烈くんが強盗を退治してくれていた。
あんなに喧嘩が強かったんだ。
後で聞いたら、正確には、肩に乗ってた不思議なペット?が吐いた炎に泥棒がよろめいてただけと言ってたけど。
わたしは、彷徨に声をかけ続けてた。
泣きながら。手当の仕方もわからずに。
無知は罪だ。

初めて乗った救急車の中で、わたしは彷徨の手を握りながら声をかけつづけた。
強盗は烈くんが抑えていてくれたおかげで、警察に連行された。
盗まれたものは取り返したよ、と救急車の中でケータイで話していた。
それが彷徨にも聞こえたらしく、握ってた手が、親指を立てる形にして返事してた。

全然大丈夫じゃないのに、強気にそんなことを気にしてるなんて、と思った。
病院に着いて、緊急手術。
病院内はもう真っ暗だった。
とても落ち着けなかった。
椅子があっても、立ってうろうろおろおろするだけだった。
混濁して、整理がつかない。

時間の流れも曖昧なまま、手術が終わった。

医師「保護者の方は…?」

未夢「今はちょっと事情で、家を空けています。わたしが代わりに話を聞きます」

医師「あなたは…?」

未夢「わたしは…光月未夢です。彼のクラスメイトです」

彼女と言ったところで、家族ではない。
そういうしかなかった。

医師「そうですか…わかりました」

未夢「あの、彼は…?」

医師「…重体です。刃物で切られたようですが、心臓をかすっていました」
医師「また、切り口も、刃物を引いたようになっていて、腹部が開けています」
医師「処置はしましたが、心臓の方が心配です…」

聞いた瞬間、頭が真っ白になるとはこのことをいうのか、と下らないことを思った。
多分、こんな経験二度としないだろう。したくない。

そのあとも、何か話を聞いていたような気がするが、脳が記憶を拒否していた。
術後、48時間は集中治療室に入るらしく、ケータイが使えないとか聞こえてたと思う。

気が付けば、椅子に座り、うなだれていた。

未夢「どうして、こんなことに…」

家に帰って、事の次第をママたちに伝えた。
今日は食欲がないと言って夕食は食べなかった。
ダイエットでもしてる気分だった。
シャワーを浴びて、寝た。
まるで、記憶の全てを閉ざすように、意識的に気絶した。