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 ====================================== 母の日記 ====================================== 

        それは一つの終着点 -it is the ending...-

最後に開ける扉。それは虹色だった。
きれい。だけど怖い。
そして開く。中から光があふれだし…
…。
……。

そこから先は記憶にない。
好き勝手やっていたあの頃の僕は、幸せだっただろうか??
幸せだったのだろう。色んな勘違いをしていたのだろう。
傷を増やしたのだろう。色んな事があったのだろう。

僕は無理やり自分を納得させたけど、それは真の考えじゃない。
だから、もっとより良いやり方があったんだと思う。
僕には無理だった…それだけのことだ。
人生は続いていく。次も失敗するかもしれない。

傷を重ねるのかもしれない。
でもそれが…『人生』という名の言葉なのだ…。











起きた。
西遠寺だ…。
彷徨はもう居なかった。
相変わらず早いやつめ。
寝顔を見れなかったのが残念だ。

未夢「おはよー…」

彷徨「お、起きてきたか。朝飯できてるぞ。着替えて来いよ」

未夢「うーん…」

生返事だった。


未夢「ねぇ、今日はどうするの?」

彷徨「洗濯して掃除してのんびりかな」

未夢「じゃ、わたし掃除手伝うよ」

彷徨「助かる。広いと一人じゃ大変でな…」

未夢「あはは…そーだろーね」

彷徨「じゃぁ俺は洗濯と本堂の方を掃除するから、未夢は部屋の方よろしく」

未夢「了解」

彷徨「俺の部屋とかも勝手に掃除しといていいから」

未夢「いいんかい」



未夢「ふうっ。ここはこれくらいでいいかな」

あとはわたしの部屋だ。わたしの部屋っていうか、借りてる部屋。

未夢「あれ、なんだこれ」

押入れの奥まで掃除してたら、見慣れないものを見つけた。

未夢「瞳さんの日記…?」

日記らしきものが出てきた。
瞳さんのものだ。
瞳さんは、何を思ってこれを書いたのだろうか。
ある種の遺書だとも思えた。

彷徨はこれを読んだのかな?
わたしも見たことないくらいだから、読んでない気がする。
…。
これを彷徨に渡すか、渡さずに済ますか…

 渡す
→渡さない

軽々しく表に出すものではないと、直感がそう訴えていた。
彷徨が自然に見つけるまで、ここに眠らせておくべきだ…。



→渡す
 渡さない


未夢「おーい、彷徨」

彷徨「ん?どうした?」

未夢「彷徨のお母さんの日記っぽいもの見つけたよ」

彷徨「なに」

未夢「彷徨、これ読んだことあるの?」

彷徨「いや、知らない」

未夢「彷徨、読む…?」

彷徨「…」
彷徨「ちょっと待っててくれ、片づける」

未夢「はい」

彷徨「よし、片づけた。母屋で読もう」

未夢「はい」

その古いノートを渡そうとした。

彷徨「一緒に読んでくれ」

未夢「わたしも読んでいいの?」

彷徨「ああ」

未夢「じゃぁ…」


わたしの部屋に来た。
ノートは、高校で使うような普通のノートだ。

==================================================================================================

■  1.私の最近
■  2.クラスと西遠寺家、私の生い立ち
■  3.人を『観る』ということ。

■  4.事件。導入。
■  5.事件。本題。
■  6.感謝の話

■  7.血は争えない。
■  8.恋。導入。
■  9.恋。終幕へ。

■10.恋。その後。
■11.思いは繋がっている。
■12.終わり。まとめ。




■1.私の最近

拝啓 長雨の候、梅雨明けの待たれるこの頃となりました。
如何お過ごしでしょうか。

彷徨、私のことをとても知りたがっていると思います。
宝晶さんは泣き虫さんだから、きっと私のことを語りたがらないと思います。
そしてこれを見る頃には私はもう、あなたの傍に居られていないでしょう。
もしかして、私がこれを破棄し忘れてっていうこともあるかもしれないけど。
あるいは、彷徨が私を知ることを放棄して捨てちゃってるかも。

ということで、私が思ってきた事や過ごしてきた生活の一部をお話します。
といっても内容は主に’xx/06/18に起こった事件の愚痴になっちゃうけどね。
ごめんなさいね。今ふっと思って強く思い出にあったのがこれだったから。
と同時にあなたたちへの多大なる感謝の話にもなります。

長すぎるので、一気に読むのは疲れるでしょう。
小説のように、日を分けて読んだ方がより良いと思います。



未夢「日記っていうか、彷徨に宛てたような思い出話なのかな」
未夢「…彷徨のお母さん、なんだか意外とおちゃめなところあるね」
未夢「彷徨のおちゃめなところも、お母さん譲りなのかな」

彷徨「…うっさい」

未夢「日を分けて読んだ方がって書いてあるけど、どうする?」

彷徨「…一気に読みたい」

未夢「じゃぁ一気に」



■2.クラスと西遠寺家、私の生い立ち

私の通っていた大学の卒業研究は、普通の大学と違っていました。
わかりやすい表現をするために卒業研究と書きましたが、実は違います。
平尾フェスティバルと言います。

私の居るクラスの人たちは、とても特殊な事情の人間が集まっています。

母子家庭の人。
高校で就職活動したけど内定取れず、高校卒業後に来た人。
コミュニケーションが苦手で高校を中退し就職できず、フリーターで、県外から来た人。
家庭でお金がなくて奨学金で入った人。

中卒で土木の職業について、でも将来の物理的な身の危険を感じこちらに来た人。
高校の頃に結婚して子供も最近生まれて家庭を持った人。
特にやりたいことはなかったけどとりあえずこちらに来た人。
4年制を事情で休学していたが2年制で復帰した人。

とりあえず大学に来た人。
高校を中退したけど、時を経てこちらに来た真面目で大人しい人。
中学卒業時高校に来れなかったがフリーターを経てこちらに来た反社会的な子。
コンビニバイトで働いていたけど、給料が良くなくてこちらに来て学力を上げに来た人。

前職が土木で、将来の物理的な身の危険を感じこちらに来た、とても優しい人。
字がとても上手くて、舞台に上がっても面白い事を言うけど普段はとても大人しい人。
クラスの委員長で、ダレる(だらっとする)時はダレるけど、やる時はやる、倫理観のある人。
印刷業にいたけど、人生に面白みを求め、前職の高額給料を捨てこちらに来た人。

国立文系大学を中退し、こちらへ来て絵描いたりがんばってる人。
料理業に居て、絵画業に行こうか迷ってたけど、面白みを求め大学に来た県外の人。
高校を留年してて、そして家で問題があったのかリストカットしたのか腕に縫い傷がたくさんある人。
とても大人しくてでも倫理観はあって、若くして能力のある人。

ちょっと言動が落ち着かない、駅周辺の実家に住んでて、遅刻ギリギリで課題提出期限いつもギリギリの人。
学校さぼったり、来てもいつも寝てる人。
やることやって倫理観もあって、とてもしっかりした人。

大家族でお金がなくて奨学金で入った、学校近くに住んでる県外鳥取から来た人。
昔の私のような人。

うちのクラスは24人います。
今ぱっと書きましたが、調べながら書いたわけじゃありませんが合っていると断言できます。

父は、多兄弟の中、末っ子でした。
私はその父の家族の中で一番下です。
従兄弟もいますが、彼らはもう40歳で会っても仕方ないので会わせてもらえませんでした。
家一族の中で、一番下です。

小中高校と、特に部活に入らなかったので後輩もできず一番下でした。
私はずっと下の身で、父のみではなく周りの鼻息を恐れて、上を絶対存在だとして生きてきたのです。
ですから、私は父に逆らうことはありましたが、基本的に年上は絶対だ という考えを持って生きてきました。




未夢「…なんだか、彷徨のお母さんもどたばたな学生生活を過ごした気がするよ」

彷徨「…だな」

未夢「彷徨は、お母さんのお家事情を聞いたことなかったの?」

彷徨「知らねぇよ。あったかもしれないが、子供だったからわからなかっただろうよ」

未夢「そっか」
未夢「彷徨のお母さん、ずっと年下さんだったんだね」

彷徨「そうだな」
彷徨「続き」

未夢「うん」


■3.人を『観る』ということ。

クラスの人たちのこと、家の私の立場、私の生い立ち。
一番下という立場は、自分を客観的に考えようとします。
他人のいいところを吸収しよう、観察眼が人一倍あると言う事を物語っていると思います。

私は新入生の頃、常々みんなに、おはようと挨拶していました。
すると、全く関係の無い島の席からの人たちからも挨拶が来ます。
私は毎日変わらず挨拶を続けました。
慣れからか自然と周りからの反応は薄くなっていきました。
でも一人だけ私の挨拶に、おはようございますと返事を返し続けてくれていました。
これは、誰かが必ずどこかで見てくれている ということを物語っていると思います。


私は基本的に、もう人を嫌いと表現することは生涯なくなったと思います。
私は、残念ながら一人では生きていけない人間のようです。
だから、味方が欲しい。
そのためには、人に好かれたい。嫌われたくない。
もしかしたら、相手もそうかもしれないし、他人には他人なりの本質があり、それを否定したくない。
認めたい。そう言う思いがあるからです。

嫌いと表現すると、嫌いになってしまう。
学長先生があるお話をしたことがあります。
昔電車のホームで自殺した人の跡を見た事があったそうです。
自分自身は何も平然だったのに、それを見て、『気持ち悪い』と思った瞬間。
吐いてしまったというのです。
人は何かを思うと、そうなるように働く心理があるようです。

このことから、私は基本的に人を好きになりやすいです。
そして、人の事をよく見るようになりました。




未夢「うーん、なんか、彷徨のお母さんって神秘的な人だなと思ってたけど案外普通?」

彷徨「お前の想像の中でどんなになってんだよ、うちの母さんは…神様か」

未夢「あっはは。いや、なんとなく」
未夢「人を好きになりやすくなったって、それで宝晶おじさんを?」

彷徨「…母さんの趣向を否定するつもりはないが…」

彷徨は複雑な顔をしていた。

未夢「はいはい。次読もうか」

彷徨「おお…」



■4.事件。導入。

ここは愚痴の本題の入り口となります。

フェスティバルという催しをするためのグループ作業で、翌日期限の提出物がありました。
私はそれを徹夜でグループリーダーさんと作っていました。
仮眠しないといけないなという話になって、私は仮眠しました。

起きると、全身が痛かったです。
実は、前日に自転車に激突してしまっていました。
ブレーキを全くかけれず、横から急にゆっくり出てきたおじさんの後輪に激しく激突してしまったのです。
私は激しく宙を舞い、コンクリートに打ちつけられました。

おじさんは後輪をぶつけられただけなので、幸い私が加害者になることはなかったです。
私も、こけ方が上手かったのか、無傷でした。
切り傷も、腫れも全くありませんでした。奇跡でした。
痛みも多少でした。おそらく人間の防衛本能が働いたのでしょう。
相手が車なら、間違いなく死んでいたでしょう。


そんな痛みが復活した中、実はいつもよりも30分早く学校に行かなきゃいけない役に割当たっていました。
この日は、資料の発表会だったのです。準備が必要だったのです。
グループの中から2人で行くという話だったので、相方を待たせるわけにもいかずで。
重い体を無理やり引きずって学校に行きました。



学校に着いて、相方待てぬままお手洗いへ行ったほどです。

グループの発表会の順番が決まりましたが、昨日のが祟ってきてました。
歩くのも異様なほどにめまい。自己管理の限界を超えました。
倒れる寸前でした。
けど、露骨に気持ち悪いという顔や態度はしなかったです。

リーダーに告げました。悪いけど、次のシフト、少し変えてくれないかな。
気分が悪いの と伝えたら、変更してくれました。これで30分寝て、回復させよう。
これで全てがいいと思いました。

実際にプレゼンを終えました。
その後は元気だったので、別のグループの発表とか見てました。
説明会が終わった後、教室で出席点呼取っておしまいのはずでした。



未夢「…愚痴の前菜だね」

彷徨「なんか、俺の中の母さん像が崩れていくんだが…」

未夢「いいじゃない。わたしはむしろ親近感高まったよ」

彷徨「なんでだよ」

未夢「あんまりすごい人だったら、わたし劣等感抱いちゃうし」

彷徨「未夢は未夢でいいんだよ」

未夢「あれま。それは褒め言葉?」

彷徨「いいから、次読むぞ」

未夢「はいはい」


■5.事件。本題。

さぁ、ここからが本題の話です。
グループ内の子が、うちのグループの子まとめて呼び出しました。
まぁ多分私が、気持ち悪くて寝たのを突きたいんだろうなって思ってたら案の定でした。
変更されたシフトの部分で影響受けたのが、その子ですからね。


何故何の連絡も無しにやることやらずに寝た?
この前の会話で、グループ会議で、グループ作業中はなるべく寝ないようにするって。
そう言ったばかりじゃないか、というが向こうの根本の話でした。


ある日のグループ作業で、あまりに周りのやる気がなさすぎた時の話です。
リーダーが話しかけているのに、自分のモニターのインターネットの趣味のページ見ながら対応する子。
自分が言わなきゃいけないはずの多数決の票を、全然関係ないグループの子に任すの子。
昨日東京行ってたからといいつつ物凄く元気なのに、翌日期限の作業を放って帰ろうとするの子。
私はこの時グループ全員を叱ったのです。1(私)対多(他7人)でした。

その時の話を蒸し返してきたわけです。
互いの言い分を言った時に、私がグループ作業の時寝てたらしい事を指摘してきたのです。
私は寝ないようにすると言いました。
実は私はこの寝たということの記憶がなかったのです。
自分で言うのもなんですが、普段真面目にやって、やる時はやる人間なのです。
おそらく寝てた時のタイミングとしてはたまたま余裕がありすぎて作業が全くなかったんだと思います。
学生なので学生らしく寝てたんだと思います。


それで、私はみんなに寝るななんて言ってない。
リーダーがやる気出してるのに、もう訳のわからないことしないで、としか言ってないのに。
なんか変な部分の記憶だけをほじくり返してきたわけです。反社会の子が考えそうなことです。
つつける穴はつつくという。

なんかこう、根本的な解決はないかと、その後も別件で他の人と一対一で話してて、考えてました。
必然の事故で、もう二度と会話しない方がいいなという答えを自分の中で導き出してしまいました。
同じグループ内なのにそれは無理です。

しかし、この考え方はかなり濃い味として出てきてしまいました。
その後も話を続け、この答えを変えようとアンテナを立てていましたが答えが変わりませんでした。

他にも、どうしたらいいの?とか色々話してました。
結局のところ、一人が周りを巻き込んで私一人をいじめたいようです。
確かに、寝ないようにすると言った手前、寝てしまったらそれは私が100%悪いに決まっています。
それで、大事な話があるからみんなも聞いてくれって。


でも、緊急の時の様子の空気を読んでほしかったなー。
一々言わないとわからないのかなー?
その事実に絶望しました。

最終的に、大事な事は2回言う とか、変な決まりができました。
普段真面目にやってるのに、ホントに気持ち悪くて、でもちゃんと相談して休憩したのに。
それにもかかわらずその事をみんなで愚痴愚痴言われる。
その言動がもう、色んな意味で堪りませんでした。


まぁその後は、日本語ができる唯一の人間の、うちのリーダーと話してました。
あの人どうにかならないかと。

その後も、担任の先生とご飯を食べに行って、うちのクラスの人間はこんなですって一人ひとり語っていきました。
半分くらいの人数の事情を言ったかな。
これでいい対応が取れるといいのですけれど。



なんかもうまとめるのもめんどくさいのでてきとーにしますが、まぁもう話にならないってこと!
実はここまでで、チームメンバーで2時間、リーダーと2時間、担任の先生と2時間でまた喉枯れかけました。
仏の顔も3度まで。次が最後だなと思いました。
後は、社会に出て死ぬほど苦しい思いしてそのままのたれ死ねってところですね。

ある先輩と飲みに行った時に、『瞳ちゃんやっと人間になれたね(笑)』って言われました。
そう言ってくれた先輩さんの言葉が、嬉しくて楽しくてこれもまた堪らんです♪



彷徨「母さん、何を思ってこんなの俺に残したんだ」

未夢「書いてるうちに当時のこと思い出しちゃって色々書き殴ったって感じだね」
未夢「なんかこんなこと言っちゃ悪いけど、他人の修羅場って面白いかも」

彷徨「でも母さんがクラスの人たちと言い合いしてたなんて信じられないな」

未夢「正義感が働いたのかもね。さすが彷徨のお母さんだね」

彷徨「さすがとか言われてるとバカにされてるみたいだぞ」

未夢「いやいや、そんなことないって。次読も。何か気になっちゃう」

彷徨「遊び半分で人の親の遺書読むなよ…読ませてる俺も大概だけど」



■6.感謝の話

私がここまで成長できたのは、間違いなく両親のおかげです。
両親たちはいつか、『今の時代を生きている子は可哀想だな、ホントだね』
という会話をしていたと思います。

私も、今まさにそう思います。彼らが可哀想です。

そして、そう思っている私も昔は、ミジンコ未満だったのだなと悟りました。
と同時に、ようやく日本語の裏がわかる人間になれたのだなと思いました。
その時には親への感謝で涙が出ました。

『うちの子じゃない』『社会へ出たらわかるだろう』何度も聞いた言葉です。その通りでした。
今この後者の言葉を、あの子らに言いたいぐらいです。


いつか色んな先生方と相談しましたが、今の子は昔よりも、言っても分からない子が多すぎのようでした。
私は今まで一番下で生きてきて、後輩との付き合い方が少し経験不足でした。
世渡りが下手だったり、郷に入っては郷に従えてないのかもしれません。
でもそれ以上に酷いようです。一番問題なのは、この問題を問題と感じていない当人たちです。


高校時代、私はホームページ委員をしていました。
「瞳ちゃん!新入生の写真と一言をホームページに載せたいので、明日までに作って」
そうお仕事を依頼されました。初心者で明日期限ということに、私は責任を強く感じました。
やらなければいけない、そう思いました。

しかし、翌日の朝は、試験対策時間だったのです。
その時間を利用して今日期限の作業をしていた私は、先生に怒られました。

その時、先生は理由は言っていませんが、『言わせんな』『自然と気付け』
そういうことを言いたかったんだと思っています。

高校時代の担任の先生にはたくさん迷惑をかけたと思います。
多分、もう私の顔は見たくないと思っているぐらいでしょう。
でも、大感謝です。





未夢「うわー、瞳ちゃん毒っ子だよー」

彷徨「…」

未夢「うわー、彷徨さんや、お気を確かに」

彷徨「しかし、母さんも大変だったんだな」

未夢「ちゃんと女学生やってたんだね。微笑ましい」

彷徨「次読むぞ」

未夢「うん」



■7.血は争えない。

以上のことがあって、同時に色々考えることもあります。
私は、本当に父に似ていると思います。
私は、結構クラスの子に説教をしていたと思います。
怒りを理屈でコントロールできるようになった今は、記憶に残らせるために『怒る』を演技しています。
けど、どうやらその手をもってしても今の人たちはわからないようです。

『なんかよくわからんけどキレてきた』というのが第一印象のようです。
私の努力は空周りで、嫌われそうなだけです。
この点に関しては、厳しかった父へ私が思っている内容とほぼ同一と考えても過言ではないと思います。

残念ながら私は父のようにはなりたくないです。クラスのある子もそう言っていました。
そして、勘違いされては困りますが、例え父の立場や気持ちがわかったとしても私は子供側の立場なのです。
お父さんを、許したわけではないのですっ。

父に会うと発狂する、このスイッチは未だ私の中に存在し続けています。
他人なら話さなくなるだけですからこうならなかったでしょう。
家族故、常に一緒にいてしまった故でしょう。
ここだけは、理屈で分かっていても感情をコントロールできませんでした。
人間は、理屈より先に感情が動く生き物ですから。





未夢「…あれ?子供に、親の愚痴を言っている…」

彷徨「…俺はどうしたらいいのかわからんぞ」

未夢「だよね…ま、まぁ、素直に流し読みしてあげよう」


■8.恋。導入。

私は実は、学校に入ってから恋をしました。
同じクラス内の22番の子です。最初は、堅そうな人だな、と思っていました。


両親とケンカしたあの年の元旦、親を見た時、パートナーになる人は落ち着いた人がいいなと思いました。

そして、ある番組で、ある有名人が言っていました。
「人間という生き物は、パニックになる時は本当にパニックになる」
「でもその隣にいる異性が、『大丈夫だ』と言ったら、『ああ、大丈夫なんだな』と思える」
このセリフに、私は共感したのです。


この時、この2つの理由で私の異性に対する好きなタイプが変わりました。
以前はダメな子を引っ張っていきたいと言うものでしたが、しっかりした人がいいなと思うようになりました。



その2ヶ月後に、正に理想的な人が現れたわけです。
まるで、大人しいアナウンサーの様。
体はスラっとしていて体型もよく、モデルのような身長。
服のセンスも落ち着いていて、学校は皆勤賞だし、課題の打ち込み度には素晴らしいものがありました。
絵も上手くて、将来は宇宙飛行士になりたいということでした。

私には生き甲斐があります。
まず、親友と旅行で日本全国を周りたいと言う事。
宇宙飛行士になって、宇宙の素晴らしさを伝えること。
また、結婚して、後世に伝えたい事を残すこと。
この三つがあります。最後を叶えるためには、パートナーが必要でした。


きっかけができたので、この人と一緒に宇宙飛行士になることをがんばろうと思いました。
そして、私はその人とはクラスの中で一番仲の良い存在となったと思います。
その人が話しかける女子は、決まって私でした。

私が通っていた学校には特殊な宿題があって、最近のゲーム市場を調べて来いという宿題が出されました。
なので、その人とゲームセンターへ行きました。
その時、その人とクレーンゲームをしました。
「どうせ来たんだからやるなら何か取ってあげるよ、どれがいい?」
と言われ、私はあるピンク色の時計を指差しました。

でも別に、私はそんなにその時計が欲しいわけでもなかったと思います。
まぁ一度やってみようか というノリで、それなら というただの意見です。
でも、彼は私の笑顔が見たいと思ったのか、2500円くらいかけて何回も挑戦しました。
結果、その時計をゲットしてプレゼントしてくれました。とてもうれしかったです。
恋という熱い情熱が、私の心を動かした時だと思います。




未夢「なんか唐突な流れなんですが!ワクワク!」

彷徨「まさか親の色恋沙汰を、死後の日記で知ることになろうとは…」

未夢「しかし、繋がれる先が宝晶おじさんだと知ってると…」

彷徨「…言うな。先を読もう」

未夢「う、うむ。でもこの頃、宝晶さんと文通してたんじゃ?」

彷徨「お前の母さんからそういう話聞いたことあるけど」

未夢「どうやって宝晶さんに乗り換えるのか楽しみだぁ!」

彷徨「この遺書、何なんだ…」



■9.恋。終幕へ。

しかし、この恋も終末を迎えて行きます。
ある日、その人は私に、最近バイトが忙しいと、愚痴を行ってきました。
クラスにはまだもう一人女の子がいますが、その子じゃなくて私に愚痴って来たのです。
少なからず私に好意か、信頼を持ち始めていたかもしれません。
しかし私はその愚痴を『相談』とその時思ってしまったのです。

愚痴というのは解決の方法がないどうしようもないものです。
でも聞いてもらうだけで楽になれる、そういうものだと思います。
そこに助言をして欲しくないものだとも思います。
私は、そこにどうしたらいいかなどの助言をしてしまいました。


また、決定的なある事件が起きます。
私はその人とデートに行きたかったのです。
固そうな人なので、みんなと誘って花火に行こうと誘いました。6月くらいの話です。
花火を見に行く日は8月と、2ヶ月も前にこの話を切り出したのです。

しかし、バイトだから無理だと。
私は、本当にその人と行きたいと思っていました。
「バイトならなんとか都合付けてくれないかな」
そんな内容を、比較的厳しい感じで言ったと思います。


翌日から、彼の様子がおかしかったです。私に背を向けて会話をするのです。

帰る時『絶交しよう』という5文字の言葉を耳で聞きました。
突然、わけがわからなかったです。
宇宙飛行士を目指すものとして一緒になれたことがぬか喜びにならないようにしたのに。
1ヶ月様子見てから信頼したのに。
その信頼を裏切るのは許さない!というぐらいの勝手な思いでした。
理由を聞きました。



そしたら、学費がやばいので、バイトは自分にとって一生懸命。
その一生懸命の内容を貶されたのが悲しかった、というものでした。

絶交すると言うので、私は困りました。
宇宙飛行士になりたいのは私の生き甲斐。一緒にがんばるのにぴったりの人材を見つけたのに。
ここで手放しては と思い。
「なんでこんなに引きとめるかというと、あなたの事が好きなんだ」
とケンカの最中に告白してしまったのです。
人って、パニクる時はパニクるのですね。
恥ずかしくなったのでこの時の返事は保留にさせました。


そう話し合ってからはある程度普通の対応でした。
水に流そう という話もありましたが、それから夏休みに入りました。

夏休みを過ぎてから、また彼の対応が変わっていました。
私の会話に対して肯きしかしないのです。
おそらく、夏休みの間に、私のセリフがじわりじわりと来たのでしょう…。
次第に、一番仲の良かった存在から、疎遠になっていきました。

10月ごろに、その人はあまりにも私の事を無視していました。
私は、理想的な人と仲良くなれたのに、こんな状態になっていた事をかなり病んでいたと思います。
けじめをつけなければ、と思い、この前の返事をさせることにしました。

ごめん。
一言でした。
とりあえず普通の対応に戻るかなとも思いましたが、相変わらず彼は今でも私のことを無視しています。



未夢「…これ、何の日記なの」

彷徨「わかんねぇ」



■10.恋。その後の後遺症。

これは別に、私の事を嫌いなわけではないんだと思います。
私は、一度気に入ったもの、しかも恐らく生涯でも一番と思うだろう理想の人に対して、嫌いになる事は絶対にできません。
例え嫌われても一生好きです。
この事を彼は知らないと思います。
おそらく彼はあえて、私から嫌われるような態度を取っているのだと思います。
ちょっとでも普通の対応をしてしまうと、私が『あ、やり直せるのかな』と勘違いさせないために。
私の為に、自分を嫌わせようとしているのだと思います。


今もその人と話をしたくてしょうがありません。
無視されている事を、今でも気にしています。
ここで話が事件導入時に戻るのですが、このことを半ば『無意識的に』考えてしまっていました。
そして自転車にぶつかったのです。


また私は、ある子が、課題の解き方を教えてくれというので自習室で教えていました。
しかしまた別のある子が私に話しかけるわけでもなく、言ってくるのです。
私の方向を向いて『俺課題終わったし!俺課題終わったし!』と大声で。
これはおそらく、彼が寂しがりやで構ってほしかった心情を体で表現していたんだと思います。
それにしては、真面目に勉強している2人に対してやりすぎじゃないか?
空気読めないのか?いい加減にしろよー!
と、初めての大一番のブチギレ演技をしたことがあります。記憶に残させるためです。
その時、課題の解き方を教えるのを辞め、連帯責任を感じてほしかったです。
でも教えていた子には、『真面目に教えてと言ったのに失望しました』みたいに、私に残念がっているのです。
私の気迫はどこへやら、へなへなっとなりました。


以降、空気読めない子(以降、出番あれば空気子と書きます)とはしばらく口を聞かなかったのです。
でも、その子は相変わらず私に話しかけてきます。
しばらく無視していた時、気付きました。



私のこの対応は、あの人が私にしている対応と同じだと。
私は、この無視する心情をわかりたくないために、空気子を許しました。



未夢「うーん、恋する少女だったり、めっさキレたり、大変ですなぁー」

彷徨「なんか俺、この先聞く気失せてきたんだけど」

未夢「なんで?わたしは面白いよ、先人の生き方っていうのかな」

彷徨「でもなんか、興味が…」

未夢「まぁまぁ。彷徨に何か伝えたいんだろうから最後まで読んで聞いてあげて下さいや」









■11.思いは繋がっている。

この話は、この後の話を言いたいがための重要な要素です。
私は両親に対して無視を決め込んでいます。
彼もまた、私に対して無視を決め込んでいます。
しかし、両親は私とアクセスを取ろうとする。
そして、私も彼にアクセスを取ろうとしています。



私は、両親が思っている事を彼に思い、彼が私に思っている事を、私が両親に思っています。

だから、私は私の気持ちがわかるので、彼に話しかける事がずっとできずにいます。


そして、家族だからこそ、こうなってしまったこと。
たった一回なのに、他人だから、性別が違うからこうなってしまったこと。
私にはこれに因果関係を感じます。


ですから、私は彼が私の事を避けるように、両親のことを避けます。
理由は、親たちに植え付けられた『記憶』を騒がせないためです。



未夢「記憶…?」

彷徨「母さん、親から虐待を受けてたのか…?」

未夢「う〜ん、どちらかというとそういうんじゃなくて、親の厳し過ぎに耐えかねたんだと思う…」


■12.終わり。まとめ。


1年の頃は厳しくてつまらない、けど尊敬できる担任でしたので、クラス内も静かでした。
でも2年では面白い先生が担任になりました。
それからは、空気の読めないクラスメイトが騒がしい事が多いです。
私から見ると、元々真面目なのでうるさい彼らが嫌だし、年上として説教してしまいます。
他人のことを思いやれない、雰囲気を読めないのはいけないと。
私は最近、そう思っています。

それと同時に、今でも理想の男の子を忘れられずにいます。

実はゴールデンウィークに三重県へ未来ちゃんと旅行に行ってきてました。
『なんかよくわかりませんけど、とりあえず息子さん下さい(笑)』
旅館で、酒飲んだノリで雑談っぽく話をしてました。
そしたら女将さんっぽい人が私の今とか生い立ちを聞いてきて、しかも息子さんらしき人を紹介されました。
意外と真面目に受け取ってくれたみたいです。
まぁ、私が結構、おばさん方と話すのが好きだからかな。
私はこうこうこういう風に思っている真面目な人間なんですよ。
そう切り出したからそういう流れになったんだと思いますけど。
おばさんと話すが好きになったのは、アルバイトで、おばさんたちに可愛がられたからですね。

その後ラブレターを送ってみましたが返事はありませんでした。

私は、この世に存在した事を証明したい、残したいと思っています。
これらの大切に思っている事を何かに残して後世に伝えたいか、家族を作りたいと思っています。
けど、どうしても家族を作れなかったら、それはそれでそれが私なのかな、とも思います。

私はカワメンじゃないので躍起になりたくないです。
身の程を知れ!ってことになってカッコ悪いので、あまり活動家ではないです。
でも今の好きな人を少しでも忘れるために、行動し始めなければいけないのかなと感じています。




だからと言ってお見合いを勧められるのは絶対に嫌でした。
多少暖かい話をして、少し仲直りをしたからと言われて調子に乗られては困るというものです。
一気に私に許してもらおうなどとは思わない事だと思っています。
私は、彼が私に対して頑なに拒否している事を、両親に思っています。
『その気はない』ということです。


この時はまだ内定はもらえておらず、大変厳しい状況下にいました。
お金の面は、当分(1年ぐらい)大丈夫。
それと、私は家に戻らないと決めていましたので、絶対どこかに就職する!という気合がありました。



なんだか途中から色々思いだしちゃって書きなぐっちゃったけど、彷徨はこんな私をどう思うのかしら?
私は普通の女性でした。
体を壊してしまっているけれど、今では宝晶さんと出会えてあなたを産めて、幸せだと感じています。
せっかく書いたこの日記だけど、どちらかといえばあなたに届かないことを祈ります。
だってその時はもう、私はあなたの傍にいられないでしょうから。
でも、破棄し忘れて残っちゃってたりして(笑)あ、これ最初に書いたか。

彷徨もこれを読む頃には色々と一人で考え、行動する年齢に至っていると思います。
私がいなくなった後の宝晶さんのいい加減さに呆れているかもしれません。
親を快く思わず、好きなタイプから外れた宝晶さんを好きになった私が言うことではないかもしれません。
どうか、宝晶さんのこと、許してあげて下さいね。
私は彼の穏やかなところに惚れたのです。


あなたもこれから色々な出会いや悩みがあるでしょう。
もしかしたら、将来傍にいる人とすでに一緒にいるかもしれません。
もしいるなら、その人を大切にしてあげて。
愚痴ってきたら、説教しちゃダメよ。
限りある紙面で私が言えるのは、これだけかな。


私のことは、心配しないで。あなたが見えない世界で安らかに暮らしているわ。
この空のどこかで、暖かく見守っていて下さい。

敬具
瞳
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未夢「終わりだよ…」

彷徨「…」

彷徨は余韻に浸っているようだった。

未夢「わたしが読み上げるの、恥ずかしい部分もあったんだけど」

彷徨「よく読んだ。さすが未夢だ」

未夢「バカにしてるでしょっ」

彷徨「してないしてない。誇ってるんだ」

未夢「そうは思えないけどね」

彷徨「いやいや。ありがとう」

そういって、手を握ってきた。

未夢「…なんなのよ、もう」

彷徨「なんとなく」

未夢「なんとなくで手を握られちゃたまんないわよ」

そう言いつつも、振りほどく気にはならなかった。

彷徨の手、暖かいのだ。

私の手が冷たかったからか。日記を持っている間、風で冷えたのか。

西遠寺は広くて風通しが良いから、あまりすぐには部屋の全体が暖まらない。

なのに彷徨の手は暖かかった。

体の中で自家発電でもしてるのかと思うくらい。

彷徨「母さんの遺言、しかと受け止めたと思って」

未夢「何よそれ」

彷徨「母さんの過去、知れて良かった。ありがとな」

未夢「っていうか、自分で見つけなさいよ、日記」

彷徨「だから、ありがとな」

未夢「…」

わたしは、何も言えなくなってしまう。
気恥ずかしさを紛らわすために喧嘩口調になってしまう癖を、彷徨に操られているようだった。

彷徨「俺は、未夢を大切にするよ」

未夢「彷徨…」

自然と体を抱き合った。

寝そべっていた彷徨も、起きて体を重ねた。

彷徨「愚痴ってきたら、説教するかもしれんけど」

未夢「そこは優しく包み込みなさいよっ!」

彷徨「あっはは」

笑いも忘れない。
彷徨にしては、ずいぶん明るくなったものだと思えた。
別に暗かったわけでもないが、必要最低限のことしか話さなかった彷徨が…。
まだ数年間の付き合いだけど、何年間も長い付き合いをしているように思えた。

拗ねて文句を言いながらも、互いに体は離さなかった。
冷たい冬の空気に、密着した体は暖かく、心が満たされるようだった。
自分は孤独ではないのだと…強く思えるのだった。