かれんだー0表示(即更新なし) 1秒待ち クロスフェード更新 カレンダー16日目表示 クロスフェード通常 CG消去 1秒ウェイト ====================================== 信じられる人 ====================================== ある日、空を見上げていた。 あの空の終わりはいつなのだろうか? 雲の空ける夕 -cloud opening evening- ある日、僕は友だちと、雑貨店に行った。 ゲームセンターにあるような台が、雑貨店の外に置いてあるのだ。 僕たちはその中のゲームをやりに、来たのである。 10円のお菓子を買った。 それは、一口大のカップに納まっている、ベビースターラーメン状の乾麺焼きそばだ。 そのお菓子を食べながら、些細なゲームをしていた。 コンピューターに勝っては負け、勝っては負け。 同じ攻撃の繰り返し。同じ結果の繰り返し。 やがて飽き、雑貨店のそばにある椅子に寝っ転がってみた。 広い空…どこかへ行く雲。 あの雲はどこから来たの?僕も、どこから来たのか? そしてあの雲はどこへ行くの?僕も、どこに行こうとしてるの? そんな、答えのない疑問に、何故か苛まれ、無限の悩みに身を任せた。 可菜「最近、未夢ちゃんと彷徨くんが恋人っぽくない」 惠「それだ!」 いきなりだった。 彷徨「いきなりなんだよ…」 心の代弁をしてくれた。 可菜「昨日の帰りがけ見てたけど、『彷徨、二人きりに成れたね、ちゅっちゅ』的なのがなかった」 未夢「そ、そんなことしないわよ!ってか見てたんか!見るな!」 可菜「二人はもうちょっとちゅっちゅするべきね」 惠「そうだな」 彷徨「余計なお世話だよ」 彷徨の顔が赤くなってた。 彷徨「それに、恋人には色んなカタチがあるだろ」 可菜「えー。例えばどんな?」 彷徨「それは…えーと、なんつーかだな…」 彷徨「未夢、俺が思ってる事当ててみろ…」 未夢「えっ…」 うーん…。 …。 未夢「『卵切れたから買ってこい』」 彷徨「正解!ほらな」 可菜「うーん。なんていうか、いいんだけど、それ他人から幼馴染になった程度だよね」 惠「てーか合ってたんかい!」 未夢「なんか、そんな感じの目してた」 可菜「未夢ちゃんも、本気になりなさい!」 未夢「えー」 何故か怒られてた。 可菜「たまには考えずに行動しなさい!思ったことを突き進むのみとか!」 彷徨「仮に将棋で例えるとしたら、そんなことしたらすぐ死にます」 例えが渋いな。 未夢「そんなこと言っても、ケースバイケースだけどね〜」 可菜「とにかく、お二人は、もうちょっと接近する目的を持ちなさい!倦怠期なの?」 彷徨「…ま、俺はそれで構わないけどね」 未夢「彷徨?」 惠「お、西遠寺は案外乗り気じゃん。あとは未夢が鍵開けるだけだな」 未夢「そんなこと言っても、どうしたらよいかわかんないよ…」 可菜「お?その感じ、いいですね」 惠「だから、鍵開けるだけだって」 未夢「いやその例えイミフなんですが」 可菜「その辺考えず、空気読みなさいってことよ」 未夢「何それ」 可菜「『全ての物はナイーブと考えて、色々と考えた方がよい』」 可菜「それが"空気読み"。わたしはそう思ってきたわ」 可菜「でも、そんなに考えなくても、ん?と思えるような行動に至らないのが本当の空気読み」 可菜「ノリで行っちゃって、ん?と思われたらそれは空気を読めてない」 可菜「ただ、常識ないだけということになっちゃう」 可菜「つまりは考えることと空気を読むことは別意義」 可菜「未夢ちゃんにはその空気読みが、本当に備わってる?」 可菜ちゃんの言う事は、よくわからなかった。 でもなんとなく思った。 さっき、アイコンタクトで以心伝心した?みたいに、自然に受け取れ、というようなものだった気がする。 なのにそれで出した答えがダメって。どうすればいいんだろう。 人間同士は、絶対100%わかりあえることはない。 同士『は』というか『も』と言うべきか。 けど、絶対とか言いつつ100%ないとか、言葉に矛盾ある突っ込みは置いておいて。 確かにこれは根底には存在すると思う。 だけど、わたしは100%わかりあえてると信じることのできるヒトが存在する。 恥ずかしい言葉だけど、これは誇りを持って言える。 仮に、そんな大好きなヒトが死んだら、家族以上に悲しみ、天国までお供するだろう。 もし、わかりあえないなんて言うのだとしたら、そういう存在に出会えていないのかもしれない。 だから、読んだ心の答えが、きっと別のところにあるんだ。 可菜「わかった?」 未夢「うーん、やっぱりわからないままかも」 可菜「うーん、お若いわね」 惠「私たちも同い年だろ…」 キーンコーンカーンコーン… 鐘が鳴った頃、去っていく可菜ちゃんたちと入れ替わりで、寝坊したらしい烈くんたちが走り込んできてた。 ============================================================================================ 午前の授業が終わった。 烈「はぁ…」 未夢「? どうしたの、烈くん。そんなため息ついて」 烈「いやーちょっとね…」 烈「軽い人、やや堅い人、痛い人、どうでもよすぎる人、ちょうどいいけど疎遠な人…」 烈「ちょうどよくて身近な人が存在してない」 烈「だから、相談しても返ってくる答えはいつも微妙」 烈「もしそんなちょうどいい人が居たら、相談の前に好きになって逆に相談できないかもしれないけど」 未夢「烈くん、そんなこと言っちゃダメだよ〜。何かあったなら、相談するよ?」 自分をめちゃくちゃ追い込まないでほしい。 わたしもそういう時あるけど、ちょっと違う。 違うのは、その意味だ。 何故、切羽詰まったような状況になるまでがんばるのだろうか、ということ。 わたしはめちゃくちゃ切羽詰まっても、どこか心の隅に余裕があった。 そうしなければ、うわーってなることがわかるからだ。 そしてその時どうすればいいかわからずパニックになるだろうと思っているからこそ。 そういう状況まで追い詰めない。 悪く言えば、だらけているのかもしれない。 がんばるのはいいこと。 だけど、それでいて優先順位を管理できなければならないとわたしは思う。 わたしはめちゃくちゃ忙しくてやることができない状況だっとしても。 やること自体が上手くいかない時の気分転換として夢中になれた。 要は気持ちの持ちようだろう。 烈「あっはは…ごめんね、ありがとね。その時が来たら、声をかけてみるよ」 烈「それまでは、もうちょっとがんばるよ」 わたしは烈くんの心の鍵を開けられなかったみたいだった。 同じピンチでも救いたい者と救いたくてもできない者が居る。 その違いは、本人のやる気と、その人自身に救いがあるかどうか。 たとえば、色んな魅力もやる気もあるのに、何かに凹んでいるっていうとき。 そんなときは、自分の手助け如何で這いあがらせてあげることができるかもしれない。 まぁもしかしたら手を差し伸べなくても自力で這いあがるのかもしれない。 しかし、その人の魅力がせっかくあっても、やる気が見込めないようだと… いくら救いの手を差し伸べても結局自分は駄目だ駄目だの繰り返しで、自分の手助けは意味がなくなる。 この違いで、お世話を焼きたくなるかどうかが決まる。 わたしは、自分のこともろくに世話できないのに、他人の世話をするのが好き、というドジっ子だ。 でも、あるときテレビで見た。男の人がパニックになった時のことだ。 冷静なパートナーが「大丈夫ですよ」と言ってあげられたら、「あ、大丈夫なんだ」と思えるから、と。 だから、できる限り、支えてあげたいと思う。 彷徨は、パニックになったりはしなさそうだな。 役割的には逆になりそう。 わたしがパニックな時に、彷徨が落ち着かせてくれそうだ。 パートナーかー。現実味沸かないな。 もし彷徨が、わたしのことを受け入れてくれなかったら、彷徨みたいな人とかか。 なんか閃いたら、彷徨のそっくりっぽい人がおった! 零くん!! でも、零くんはそんな感じじゃないな。 何にしてもその辺は、自分がしっかりするとか全部クリアしてからかな。 じゃないと、プロポーズ?も受かる気しない。 プロポーズ資格は、自分の中の課題が全てクリアできてその時初めて得られるものだ、みたいな感覚がある。 じゃないと、無資格で就職きびしーというような感じ。 くー。 お腹が鳴った。 烈「そんなことより、ご飯食べよう!」 未夢「そんなことよりって…烈くんが話してたのに、ねぇ、彷徨…ってあれ?」 わたしたちが話してるうちに行ってしまったようだ。他のクラスのお友達と食べに行ったのかな? 烈「あれ、零がいない…」 零くんも先に行ってしまったようだ。 未夢「仕方ない、学食に行くかな」 烈「私も一緒に行っていい?」 未夢「いいよ、一緒に行こう」 烈「うん」 ============================================================================================ 烈「お財布が重ーい太ーい嵩張ってるー」 烈「小銭とレシートだらけだー」 未夢「札束で嵩んでたら良かったね」 烈「ん、あー…」 烈くんはケータイを見ながら唸っていた。 未夢「どうしたの?」 烈「え?あー、いや、今久々に中学時代の知り合いからメール来たんだけどさ」 烈「なんて返したらいいかわからなくて」 未夢「どんな内容だったか聞いても、い?」 烈「いいけど、最近どうよとかそんなんだよ」 未夢「ならいつも通りに返せばいいんじゃない?」 烈「いつも話してないやつだからね…」 烈「いつも話してたら、会ったことのないネットの友達とかでもするする話題が出るんだろうけど」 烈「なんでだろうね」 烈くんは困るように苦笑いした。 何となくわかるような気がした。 メールしているのにもかかわらず、普段会えないことによって、話し足りない。 だから、会ったら話題に事欠かないだろうというもの。 もう一つ、普段メールしていない友人知人について。 地元の友達でも、ブランクがあるので何を話題にすればいいのか。 それがわからないため話すことが特にないというもの。 同じ会っていない/ブランクがあって話していない-でも、"話せるか、そうでないか"の気持ちが違ってくる。 烈「もし私が地獄に落ちたら、私は友人知人にひどいことを言うと思う」 烈「おまえは身近な友人さえ救えずにどうして生きる価値がある!?と…」 未夢「え…」 烈「自分ばかりが不幸ではないことは知ってる」 烈「でもそれは、身近に不幸なやつがいなければ、つまり自分しか不幸ではないということ」 烈「どこかに居るけど自分の目の前で日に当たることはない」 烈「そんな存在はあってなきものに等しい」 あるのに影響がない、それは自分の現実にとって直接意味のないものなのだ。 どこかで密接に間接的にでも関係がある『かもしれない』ものはつまりないのだ。 確率で、ある一定未満の可能性というのは『あり得ない』と言って良いらしい。 それと似たようなものなのかもしれない。 烈「私の中で、友人が二通りのグループに分かれることになったよ」 烈「一つは、普段メールしている友人知人について」 烈「メールしてるけど、普段会えないからさ」 烈「会ったら話しまくるだろうなぁっていうタイプと」 烈「普段メールしていない方は」 烈「地元の友達なんだけど、普段話さないから何を話題にすればいいのかなって」 烈「それがわからないからメールできないっていうグループ」 似たようなことを考えていたみたいだ。 烈「いつだったか、親しいと思っていた友人の中の一人の連絡がとても遅くてさ」 烈「ずいぶん前に連休の予定を聞いたのだが返事がなくて」 烈「忙しいのかな、催促するのもあれだし と思いつつ」 烈「でも別の連絡手段を取ってみると、雑談の内容はちゃんと返ってくるんだ」 烈「あれ…肝心の連絡は?って」 烈「そして時は過ぎ、予定直前」 烈「さすがにこれはいかんだろうって思って、電話もしたしメールで催促もしたんだ」 烈「そしたら、結果はどこも空いてない という返事だった」 烈「何故彼は連絡してくれなかったんだろう」 烈「彼がはっきり言わない限り、想像の答えはいくつかある」 烈「一番最初に思いつく最悪なことは、彼にとって私は知人以下だったという場合だよ」 烈「この場合、もうどんなに催促しようとどうしようもない」 烈「自惚れていた私が、空気を読めなかった私が悪かったんだ」 烈「どこかで彼を信じた私が悪かったんだ。人を見抜けなかったんだって」 烈「でもそうでないとしたら、なぜ連絡をしなかったんだろう?」 烈「ただ単に忙しかった?24時間寝てないわけじゃあるまいし」 烈「優先度が低いことを連絡しにくかった?そんなの理由にならない」 烈「私は彼と遊びたかったのに…ただそれだけなんだ」 烈「無理なら無理だと連絡してくれればいいのに、それさえもしてくれなかった…」 烈「期待に応えられなかったのが腹ただしい。悲しい」 烈「残念だよ」 烈「ある別のパターンでは、友達が約束に大幅に遅刻してね」 烈「遅れることが普通になってて」 烈「神経質な私が異常なのか。悪いのか」 烈「多分、遅れる方も悪くない」 烈「『気が合わなかった』のだ。それは個性」 烈「個性を否定したくない」 烈「今を流せばやがて未来にも同問題が起きる」 烈「そのためにあえて今問題を問題とし、直そうとしてもいい」 烈「それは決して綺麗には直せないことを私は知っている」 烈「過度な期待は持つべきではないんだ」 烈「だから、それは事故のようなもの。運が悪かったんだ」 烈「誰かが悪かったわけではない…」 烈「仕方のないことなんだ」 烈「人が人の心を動かすことは容易ではない」 烈「互いが反省し歩み寄れば修復も可能だけど」 烈「もし片方に少しでもその気がないならどうしようもないこと」 烈「この世に気の合う人物と会えることなど天文学的数字に近いことだと私は思う」 烈「その、良い『事故』には感謝すべきだろう」 烈「出会いにはいつか別れが、別れればいつか新たなる出会いが…」 未夢「…」 烈「愚痴っちゃってごめんね。さぁ、学食食べよう」 未夢「あ、こちらこそ、何も言えなくてごめん」 烈「あ、えっと、なんか申し訳ないね、謝らせちゃって、こっちが一方的に話しただけだからさ」 今の話は、烈くんに限らずみんなに、わたしにも言えることかもしれない。 言いたい事は言って欲しいと言いたかったのだと思う。 それは、わたしにも彷徨にも当てはまった。 そして、それを言わずとも通じ合えるわたしたちは、運命とも言える出会いだったのだ。 それには感謝したい。 それに…何となくだけど、彷徨のことは信じてる。 信じられる人だ。少なくともわたしはそう思う。 数年一緒にいるけど、それがわかるんだ。 ============================================================================================ 放課後。 相変わらず図書館に来ていた。 可菜「誰か知ってる人にあだ名をつけよう」 未夢「なに、突然」 可菜「いや、何となく」 未夢「この暇人めぇ」 可菜「いやそれほどでも」 未夢「いや褒めてないから」 可菜「誰にしよう、教えて下さいよ、未夢さんや」 未夢「誰の真似じゃい。え〜とそれなら…」 未夢「烈くんはどうかな?」 可菜「ヤンデレ」 未夢「はやっ!つか何で?」 可菜「ほら、何となく病んでる気がするから。あと未夢ちゃん厨」 未夢「なんじゃそりゃ」 本人この内容聞いたら、怒るだろうなぁ。 可菜「未夢ちゃんは西遠寺くんのこと、最初から下の名前で呼んでたの?」 未夢「最初からっていうか、出会ったホントの最初はさすがにそんなことなかったよ」 未夢「ただ、ちょっと事情があって、西遠寺の家に住むことになった時は、彷徨が下の名前で呼んできてね」 可菜「西遠寺くんから?」 未夢「うん。一緒に住むんだからってりゆーだった」 可菜「それってちょっとおかしくなーい?結婚して名字が同じになるわけでもないんだし」 未夢「うーん考えてみれば」 確かに…。 可菜「西遠寺くんが一目ぼれしてたとか?」 未夢「それはないんじゃないかな。それから1年一緒に住んだけど、そんなの感じなかったよ」 可菜「わかんないわよ。西遠寺くんポーカーフェイスだから」 それも確かに。信じられるって言っても、何考えてるかわからない時は未だにある。 可菜「結婚する時に相手に望むものって、基本的に自分ができないもののことが多いよね」 可菜「理想っていうのかな。そんな感じの」 未夢「えっ、なに突然」 可菜「突然ジャナイヨ、結婚は16歳からできるんだからさ」 未夢「でもそれ、日本じゃ現実味無いよね」 可菜「外国で16歳になったら蜂の巣取りに行くとかでもないとねー」 可菜「それにー、18禁っていう言葉があるくらいですから、赤ちゃん産むのは禁止だヨ」 未夢「恥ずかしい事言わないでよ。でも将来は赤ちゃんは欲しいかなぁ」 可菜「とりあえず旦那様とラブラブしないと」 でも自分の両親を見てみると… まぁこれは自分の両親としてじゃなく、一般家庭の子供が親を見た時に感じるだろうけど。 片方が片方にはできないことをしているとか、普段ラブラブしてるってことはないと思う。 まぁ料理や仕事などは役割上あるかもしれないけど…。 うちは特殊で例外だな…。 可菜「何が言いたいかというと、結婚する時に求めるべきものはさ」 可菜「自分のできないこととかをフォローしてくれる人がいいよね、ってコト」 可菜「個人的には、気が合って、嫌なことさえ言わないの2点があれば」 可菜「特に何もできなくても構わないかな。協力していくから」 未夢「可菜ちゃん理論ですな」 可菜「できないから相手に頼む、キラキラした目で眺める」 可菜「それは依存しすぎで協力姿勢じゃありません」 可菜「楽しい物語を見ているだけ、みたいなもののように感じる」 可菜「なので、若いうちは理想を求めて恋愛の練習をするのもいいけど」 可菜「最終的には、気が合う人同士で幸せになってほしいと思うのよ」 未夢「はあ」 可菜「ああ、未夢ちゃんにこんなこと言っても仕方なかったわね」 可菜「一人の戯言だと思ってちょうだいな。あー、未夢ちゃんに嫉妬だわ」 未夢「ちょっと、可菜ちゃんってばっ」 可菜「将来かー。未夢ちゃんは宇宙飛行士とかにならないの?」 未夢「なりません。多分。かなりの確率で」 可菜「めちゃくちゃ勉強しなきゃだね。理科系のやつ」 可菜「未夢ちゃんが数学、化学なら私は国語、英語で対抗してみようかな」 パパとママの影響か、わたしは何故か化学記号を覚えやすい気がする。 それにしても、ラブラブかー。今のままじゃ、なんか全然、恋人って感じがしない。 他人から幼馴染になっただけみたい。 しばらくしたら、彷徨が迎えに来た。 彷徨「未夢ー、帰るぞー」 未夢「お、彷徨、終わった?」 彷徨「内田、未夢を預かってくれてサンキュな」 可菜「いえいえ」 未夢「わたしは保育園児か…」 彷徨「バーぶ〜」 未夢「保育園児はもうしゃべれるでしょーが!なめてんのか!ていっ」 彷徨「いてっ」 可菜「あっはは。ほらほら図書室で暴れない」 可菜「今度は未夢ちゃんが西遠寺くんを迎えに行ってあげたら?」 未夢「ん、そうだね…」 彷徨「いいよ別に、今真冬だから寒いだろ」 未夢「彷徨がいいなら、いいけど…」 可菜「そこはダメよ、終わった瞬間にタオルで汗拭いてあげないと」 彷徨「別にいいから…」 可菜「とりあえず、その後の申告を期待しているぞよ、未夢さんや」 未夢「ぁぁ、はいはい…」 彷徨「? なんだ?」 未夢「なんでもないっ」 ============================================================= 未夢「…」 彷徨「…」 いつも彷徨とは何か話したいと思ってた。 けど、いざ何か話そうと思ったら、何も出てこない。 何を話していいかわからない。 普段から会ってるのに? 烈くんの話題が思い出された。 けどこの場合、普段から話してるから、会ったらますます話すって感じじゃない。 話してるから話すネタが尽きた感じに似てる。 彷徨は基本無口だから、わたしから何か言わないとしゃべらない。 未夢「ね、ねぇ彷徨」 彷徨「ん?」 未夢「な、何かわたしにしてほしいこと、ない?」 彷徨「はぁ、なんだ突然」 未夢「可菜ちゃんがね。相棒ができないことを、してあげなさいって」 彷徨「じゃぁ全裸で街一周」 未夢「で、できるわけないでしょっ!」 彷徨「なんだよ、俺ができないことやるって話だったろ、俺は全裸で街一周できない」 未夢「わたしだってできないわっ!そーゆうことじゃなくて!」 彷徨「ならなんだよ」 未夢「ってゆーか、そういうことから離れなさいよ…」 彷徨「逆に、未夢は俺に何かしてほしいとかないのか?」 未夢「えっ」 ドキッとした。 未夢「う、うーん…」 考えたこともなかった。 彷徨「それと同じだよ。普段通りでいいんじゃないか?」 未夢「で、でも、彷徨のほーから、何か恋人っぽい事しようぜって言ったんじゃない」 彷徨「む、そうだったな」 未夢「…」 彷徨をじーっと見る。何か考えてるようだ。 彷徨「じゃぁ今未夢が思ってる素直なことをやってくれ」 未夢「えっ、う、うーん」 わたしのしたいことかー。 素直かー。うーん。そうだな…。 未夢「…」 ぽふっ。 頭を、彷徨の腕にもたれさせた。 彷徨、背大きくなったな。 中学の頃は、こんなに差なかった気がするな。 こうするとよくわかる。 そしたら、彷徨も無言で、肩に手を乗っけてくれた。 暖かいな。 この状態でしばらく二人きりで歩いてた。 駅までの道、みんなはもう帰ってしまって誰も居ない。 暗い夜道でも、彷徨が居るから、大丈夫。 そうだ。わたしは、彷徨に甘えたかったんだ。 今更気付いたかのように思った。 彷徨「…なんかこれじゃ、妹を守る兄だな」 未夢「なにおっ…」 なんていうか、突然、やってたことが恥ずかしくなって暑くなった。 未夢「それをいうなら、彷徨が弟でしょ!」 彷徨「姉が弟に甘えるのか…」 未夢「そういう時もあるでしょーよ!」 彷徨「結局それは変わらないのか…」 蹴りをかまそうとしたら、するっと避けられた。 未夢「ちょっと!弟なら大人しく蹴られなさいよ!」 彷徨「なんでだよっ。無茶苦茶だなっ」 駅に着くまで、追っかけっこしていた。 まるで小学生のように。