かれんだー0表示(即更新なし) 1秒待ち クロスフェード更新 カレンダー14日目表示 クロスフェード通常 CG消去 1秒ウェイト ====================================== 変化 ====================================== 『どうして僕はここにいるの?』 こころで誰かに聞いた。 それが、僕という存在の始まり。 小さな雪の夢 -small snowdream- それは、誰にも届くはずのない、伝わらない方法である。 テレパシーでもない限り、心の中の思いだけでは伝わらない。 だがもし、それでも伝えられたとしたら? そんな淡い願いを抱いたのが、雪の日のあの夢だった。 未夢「おーい彷徨ー、おはよう」 彷徨「ああ、おはよう」 なんか、いつも通りだ。 昨日、もっと緊張していたかと思うのに。 何か、抜け落ちた感じ。 彷徨「…なぁ、今日、何の日か知ってるか?」 未夢「さ、さぁ、何の日でしょーね、おほほほほ」 彷徨「…ったく、バレンタインだよ。バ、レ、ン、タ、イ、ン」 未夢「し、知ってるわよ、そんなこと」 彷徨「はぁ」 彷徨はため息をついたが、何も言わなかった。 女子「西遠寺くん、これ、食べてね。女の子からの約束だぞ〜」 学校の校門で、すれ違う女子から彷徨へ渡される包箱。 中学時代は多数の黄色い声と共に渡されていたけど、今減ったと言えどもあることには変わらなかった。 未夢「はぁ。わたし隣に居るのに、抑止力にもなってないのかなぁ・・・」 彷徨「気にするなよ。俺だって気にしないし」 未夢「少しはしなさいよ…」 彷徨「それより、こんなにもらっても食べられないから、未夢、食べないか?」 未夢「食べないわよ。彷徨食べたら?女の子からの約束なんでしょ?」 彷徨「返事する間もなく置いてったものを約束と言われてもだな…」 でもどうして彷徨がモテるのか分かった気がする。 わたしたちはこうして愚痴?を言い合える仲だけど、彼女らは、それがないんだ。 きっと、それがしたいのだ。 意識的にしたいと思うのではなく、無意識的に、そういう関係になりたいのだ。 もしわたしが、彷徨をこういう人だと知らなかったら、やっぱり、みんなみたいになっていただろうか? 西遠寺くんキャー、となっていただろうか? …うーん、彷徨を知ってしまっているから、その想像ができない…。 でも知らなかったのなら、どんな人なのかなって気になってはいたと思う。 一緒に住み始めた時でさえ、そう思っていたのだから。 もっと知りたいと。思っていただろう。 みんな、彷徨の事が知りたくて、仲良くなりたいのだ。 彷徨、基本的には誰にでもやさしーもんな。 誰か愚痴とか言ってきても、聞いてあげてたりするもんな。 下手に助言とかしてないもんな。 話聞いてくれたら、コロっと落ちちゃうのかもしれない。 …わたしにだけ何でかあんま優しくないけど。ぷんすこ! 実は嫌われてるのかな。 わたしには逆に愚痴ったりするもんな。 でもそうすると最初の定義と逆だけど。あれ? なんかよくわかんなくなってきたや。 彷徨「…どうした?」 未夢「なんでもないよ」 男子「お、西遠寺、今年も女子からチョコか。うらやましーな、あっはは」 あはは、と彷徨は苦笑いで見送る。 未夢「彷徨は男子にも女子にも人気があるんだね」 彷徨「別にいーよ、人気なんかなくたって…面倒臭いだけだし」 未夢「またそんなこと言う。嫌われちゃうよ」 彷徨「別にいーよ」 未夢「よくないでしょ〜」 未夢「彷徨、なんでそんな人気なの」 彷徨「さぁな。なんでと言われてもな…」 彷徨「うーんそうだな。勉強教えてとか、愚痴聞かされたりしてるけど、助言はあまりしてないな」 未夢「うっとうしいから?」 彷徨「そういうと悪いけど、まー、物事はそう簡単に片付かないからな」 彷徨「人が愚痴を言ってきたら、それをどうしたいか整理させる、と言うことは絶対にやめろ」 彷徨「そういう記事を読んだことがあった」 彷徨「もしお仕事なら、逆かも」 彷徨「ある問題に当たったら、それを整理し、放置しないけど」 彷徨「なんで人間が持つ物事なのに対処法が違うんだろうな」 彷徨「やっぱコレかな」 彷徨は指で丸の形を作った。 彷徨「お金もらって解決しろって言われたら違うかもしれないけど、今はそういうんでもないと思うし」 彷徨「寺の坊主だって言っても、俺そういうの心得てないしな」 彷徨「それにさ、愚痴とか勉強とか、本人の問題だしな。俺がどうこうしてやれることじゃない」 未夢「彷徨って、そんなに色々相談されてたの?」 彷徨「外からはわーキャーの声だけに聞こえるかもしれないけど、意外と多いんだよ…」 彷徨「廊下に引っ張り出されて聞かれたりしたこともあったんだぞ」 未夢「うっそ、いつの間に。それで彷徨、それ全部に応えてたの?」 彷徨「まぁ一応な…。ちなみにわーキャー関係なく、男子にも宿題でよく聞かれた」 未夢「彷徨、頭いいもんね」 同性にさえもモテる人は、異性にもモテるだろう。 一人の人間に信頼されるようであれば、誰と当たっても信頼されそうということだ。 彷徨「…愚痴なんて…信頼してる人にしかしないもんだ」 未夢「えっ?今なんて?」 彷徨「なんでもないよ」 未夢「あ、待ってよ」 烈「おっ、未夢さん、おはよう」 未夢「おはよう」 見たら、烈くんはやたらニコニコしていた。 未夢「えっ、なに?」 烈「いや〜、フフフ」 未夢「なになに」 烈「何でもないっすよ〜」 未夢「なんなの〜」 零「今日がバレンタインだからチョコが貰えるんじゃないかと期待してるんだよ」 烈「ちょっと!それ言っちゃダメでしょ!せっかくのワクワクが」 零「きっと本命はもらえないから安心しろ」 烈「寂しい事言うなよ!」 未夢「あはは…」 昼休み。 惠「おーい未夢、お昼一緒に食べよう」 未夢「いいよ。可菜ちゃんも誘う?また図書室?」 惠「いや、あたしの教室に呼んである。未夢こっち来るか?」 未夢「おっけー」 彷徨をちらっと見た。 彷徨もこっちを見てた。そのまま教室を出て行った。学食だろう。 惠「ジャマしちゃったかな?」 未夢「気にしないでいいよ。お昼食べよう」 惠「さて、チョコは無事渡せたかな?」 未夢「まだ授業終わってないからね。終わったら渡すつもり」 惠「そうなのか。なんかあっさりしてるな」 未夢「そう?ところで惠ちゃんたちは、誰かにあげたりしないの?」 惠「だから、いないって」 未夢「うーん」 可菜「未夢ちゃん、私たちのことより、自分の事よ」 惠「まぁでも、それって正にあたしたちのことだけどな」 可菜「私は惠ちゃんから貰うから大丈夫だわ」 惠「あたしの相手は可菜だったのかよ。じゃぁあたしも可菜から貰うわ」 可菜「両想い成立ね」 未夢「二人とも、仲良いね」 自分の事か…そうは言っても、なんだか釈然としない。 そうではあるんだろうけど。 放課後。 彷徨「じゃ、俺部活行ってくるけど」 未夢「あっ」 未夢「えっと…うん、じゃぁわたし補習受けて待ってるよ」 彷徨「そうか、行ってくる」 烈「…未夢さん、成績良くないの?」 未夢「えっ、うーん、良くはないかも」 真ん中ぐらいだ。 補習は、放課後に特定の教室で行われる。 特定の教室は、だいたいうちの教室が使われる。 自分の成績に不安がある人は自由に参加して良い事になっている。 曜日ごとに補習する科目は違っていて、決まっている。 理系なら数理、文系なら国社だ。 数学の中には数U、数B、理科の中には化学、物理、生物がある。 国語の中には現文、古文、漢文。社会の中には歴史、地理、公民。 今日は数Uだ。 みんな早く帰りたいのか、熱心に補習を受ける人は少ない。 各クラスの受けたい子全員合わせても教室一部屋の席が埋まらないほど。 補習では復習と予習が行われる。 未夢「烈くんも受けていくの?」 烈「うん。数学は好きだからね。でも100点は取れないんだ。完璧にしたい」 未夢「そうなんだ。偉いね。零くんは?」 烈「零は今日は先に帰っちゃったね。たまに気分屋なんだ」 未夢「そうなんだ」 烈「うーん、これムズイよ…」 三角関数の証明問題をやっている。 答えが書いてあるけど、そうなるのは何故か途中計算を書く問題だ。 彷徨を待つための補習とは言え、暇つぶしではなく普通にむつかしかった。 でもわたしは空を見ていた。 問題がつまらないとかじゃない。そりゃ、楽しいってほどでもないけど。 可菜『未夢ちゃん、私たちのことより、自分の事よ』 未夢「そんなこと言われても、今更どうしたらいいかわかんないよ…」 教師「今日はここまで」 烈「あ〜終わったぁ。未夢さん、下まで一緒に帰る?」 未夢「ううん、ここで彷徨を待ってるから」 烈「了解。また明日ね。バイバイ」 未夢「バイバイ」 烈くんの手を振る姿が何だか可愛かった。 未夢「…」 彷徨「お、待たせたか」 未夢「ううん、そんなことないよ」 周りを見ても、わたし一人だった。みんなもう帰ったらしい。 補習の始まる前は、補習の無い教室ではまだおしゃべりをしている子もいた。 けど補習後となると、時間も時間で外が暗い。 彷徨「じゃ、帰るか」 未夢「あ、ちょっと待って」 未夢「…えと」 彷徨「? なんだよ」 未夢「…はい、チョコ」 彷徨「ああ、部活に夢中だったし、すっかり忘れてたわ…サンキュな、未夢。今食べていいか?」 未夢「えっ、今?」 彷徨「腹ぺこだし、夕飯までにはちょうどいいエネルギーになりそうだ」 未夢「エネルギーって」 彷徨「おっ、未夢、これ手作りか?」 未夢「う、うん」 彷徨「未夢が手作りなんて珍しいな」 未夢「…う、うん」 彷徨「未夢、サンキュな」 未夢「わ、わたしのじゃなくても、今朝もらったの食べればいいじゃない」 彷徨「お前のが欲しかったんだよ」 未夢「…っ!」 彷徨「うん、美味い」 未夢「ま、まったく!彷徨ったらお子ちゃまなんだから」 彷徨「…はは。でも、さ。そういうの、もうやめにしようぜ」 未夢「…え?」 彷徨「俺たち、恋人なんだから、もっと恋人らしくしてもいいんじゃないか?」 未夢「―――」 恋人。 その言葉に、今更体が熱くなった。 空気は冷たい。なのに体だけが熱くなり、手汗を握った。 彷徨「俺たち、いつも素直じゃなかったよな」 彷徨「でもなんか俺は疲れたよ」 彷徨「未夢、俺はお前が好きだよ」 未夢「…っ!」 未夢「う、うん…」 彷徨「お前は、俺のこと好きか?」 上手く言葉が出せず、頷くことしかできなかった。 彷徨「ん?俺はお前の言葉が聞きたい」 未夢「…す、好き」 彷徨「じゃぁ、恋人らしいこと、しようぜ」 未夢「そ、そんなこと急に言われても…例えば?」 彷徨「うーんそうだなぁ」 彷徨「! じゃぁこうしよう」 彷徨はわたしが上げたチョコを口に頬張った。 そのままわたしの口に持ってきて、その唇が重なった。 未夢「〜〜〜!」 彷徨「未夢の味はチョコ味だったか」 未夢「彷徨のバカ〜!これじゃただ下品なだけじゃないのよ!」 彷徨「ありゃ、ダメか」 未夢「いつも通りでいいのよ!」 彷徨「それじゃダメじゃないか」 未夢「そんなこと急に言われても、わからないもの」 彷徨「今みたいな感じ」 未夢「バカっ!誰も居なかったから良かったけど、誰か居たらどーすんの!」 彷徨「誰も居なかったら良いのか」 未夢「! 言い直す!誰も居なくてもダメ!」 彷徨「二人きりでも…??」 未夢「優しい声で言ってもダメ!」 彷徨「どうしろってんだよ…」 彷徨「恋人っぽいことするのがいつも通りになるようにするか」 未夢「ギャー!」 彷徨「…お前は、俺とそういう雰囲気になるのは、嫌か?」 彷徨らしくなく真面目に言われた。 でもそうだ。心の中では、それを望んでいたはずなのだ。 彷徨「俺は別に、ふざけてるんじゃないんだけどな」 彷徨「俺は不安だよ…3年前告白して、そういう関係になったはずなのに」 彷徨「もちろん、健全な意味で、だけどな」 彷徨「だけど、それ以来、何も変わらなかった。変わらなくても良かったのかもしれない」 彷徨「でも、変わらないといけないと思ったんだ」 未夢「…うん、わたしも。ただ恥ずかしいだけだったんだよ」 未夢「それに、どうしたらいいかわからなかったんだ」 未夢「結局、いつもと同じだった」 彷徨「まぁそれは俺も同じだけどな」 彷徨「でも、少しずつでいいから、これからは、お互い素直になろう」 彷徨「言葉は要らなかったかもしれないけど、確かなものとして伝えたかった」 未夢「…うん」 彷徨「さぁ、一緒に帰ろう」 それから手を繋いで一緒に帰った。 時折寒くて彷徨の腕にしがみついた。 彷徨は空いた手でわたしの頭を撫でてくれた。 いつか、見るはずだった夢が、そこにあった。 ============================================================================================ 未夢「…はぁ」 ベッドの上にばふっと仰向けになって倒れた。 未夢「変わるって言っても、どうかわったらいいんだろう…」 人は変わる。どのように変わるのか? ダメな方向に、人は変わりやすいということ。 登るのは難しいが、下るのは簡単。 物理的な話なら、地球に重力が働いているから、という理屈がある。 なら、人はどうして変わりやすいんだろう?? わたしはこの3年間、ダメな方に、下ってたんだろうか? 恋の先に何があるのだろう。 家庭、そう、子供だ。 今現在、人が増えたのは、性の違う人間同士が気を許し、愛し合い苦しんで人を生んできたから。 だけどそれは人を増やしたいと言う思いではない。 全く個人が、自分の分身が欲しい、もしくはその他の理由があって望んでそうしたこと。 …それとは逆に、人を殺すのは簡単だ。 爆弾のひとつでも投下されれば、一瞬にして取り返しのつかないほどの生命が吹き飛ぶ。 そこに苦労があってもなくても、それが無に帰す。 つまようじが人の首に刺さっても、容易にその苦労と存在はなくなるだろう。 人は、こうも簡単に生から死へと変わることができる…。 思いだってそうだ。 可哀想な人を見ると同情したりする。 だけど、良い人を見てもすぐ良いと思うわけではない。 それがとてつもない時間の間、良いのが続かないと、人はそれを良いとは思わない。 なぜなら、一瞬だけの"良い"は、期待の持てないものだから。 変わるのは簡単だ。 ずっと気を張っているのは難しい事。 それがどうしてもできないのであれば、良いを頻繁に起こす努力をするしかない。 努力も面倒くさい、素の自分を認めてくれるそんな存在を探すのは、もはや努力では不可能。 めぐり合わせときっかけの運次第だ。 それでもどうにか自分の力で、幸せをつかみたいのであれば、己を良い方向に変えるしかない。 己を捨ててそれをつかみたいのであれば…変えるしか。 鉄はもう冷えていく。 変えるのは、難しい。 無理かもしれない。 自然と変わるのは簡単だが、変えようと思って変えることは難しい。 人には簡単に変えられるものと、永遠に変わらないものがある。 それは思いや信頼と、拘りだ。 良いと思うものは、ダメと変わるくせに、悪いと思ったら変わらず、良いと思うことはない。 でも逆に、良いと思ったら二度とダメと思わない、拘りに似た思いや信頼もある。 長い時間をかけて得た信頼は変わらない。 また、二度と得られない良さを持った者に対しては、時間の短長関係なく、良いと思って変わらない。 これらが何故そうなのか…それは永遠の、疑問である。 人は変わりやすく、変えにくい。 人間は自然に逆らうことのできない…運命に逆らうことのできない、虚しい生き物だ。 彷徨。彷徨みたいな人に出会うことは二度とないだろう。 それに、その出会い方も…。 ブーッブーッ。 未夢「なんかメール来た。烈くんからだ」 『アドレス帳更新のお願い』 『ども。紅瀬烈です!』 『この度、私は2年を共にしたAUとお別れし、softbankのiphoneにケータイを変更しました♪』 『初アドレス変更の為、新しいアドレスの上書き更新/登録をお願いします!』 『なお、番号はそのままにしてあります〜』 『AUでしていたCメールはできなくなりましたのでご了承下さい』 『代わりに、ソフトバンクの方は、簡単メールの方を使っていただければ歓迎です☆』 『私とより親密になれる可能性がございます(^−^)/』 『以上です。それでは今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m』 『紅瀬 烈』 未夢「はは。烈くんは気楽だな」 アド変だって、変化の一部だ。面倒くさい。 でも、面倒くさい事でもやらなきゃいけないことがある。 変わらないと…。 未夢「あーっ、もー!」 気分転換に勉強でもやろう。そういえば数学の宿題出てたんだった。 補習中では数学の宿題の続きやっておしまいだった。今やらないと。 宿題なんか一瞬で終わるかなと思いきや、今回に限って難しい。 なんでこんな時にこんな問題出てくるの!もう。 イライラしてたら、シャーペンを床に落としてしまった。 未夢「あーっ、もー!」 つい叫んでしまった。さっきと同じ叫びだった。 ほんとだったらすぐ宿題終わってるはずが、時間かかってる。 化学の方はできたけど。 明日は別ので時間潰れるな…。 ホントはできた宿題をみんなでつつき合う予定だったのに。 金曜は小テストだからな〜…今度の月曜しかないよ。 誰か休んだら終わる。