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====================================== お菓子作り ======================================
買い物、料理
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【7,8日共に夏希に付き合っていた場合】
バレンタインデー前日。
正直、昨日まで忘れてた。
気合の入れどころを逃した感じだ。
前準備があれば、もっと良いものを作れる作戦が練れたものを。
過ぎたことは仕方がない。気持ちを切り替えて、今を見ないとっ。
今日は夏希ちゃんが付き合ってくれるので、やる気分的にも大いに助かる!
校門に行くと、夏希ちゃんがいた。
夏希「来たわね、未夢ちゃん」
未夢「そりゃー来ますよ」
夏希「そんなに西遠寺くんに尽くしたかったー?」
未夢「はぁ?なんで?」
夏希「そんなにチョコ作りたかったの?って意味よ」
未夢「えー、あー、まぁ」
なんと答えたものか。
未夢「ていうか、呼ばれたら来るよぉ〜」
夏希「そういう意味じゃなくて。別にイヤなら来なくても良かったのよ?」
夏希「私は一人で彷徨への愛を作るのを研究するんだから!ってね」
未夢「そんなこと言って、夏希ちゃんも英一くんに対してまんざらじゃないくせに」
夏希「え、あー、まー」
困ったように誤魔化そうとして、結局顔に出てた。正直な子だなぁ。
夏希「お互い様ね」
未夢「よし!じゃあ、行こう!」
夏希「おー!」
わたしが引っ張り回すみたいな空気になってしまった。
でもそれもやがてはお互い様になるのだろう。
【街へ】
夏希「あー、何から買おうかな」
未夢「遊びに来たんじゃないんだからね」
夏希「何よ、いいじゃん!ちょっとくらい」
未夢「夏希ちゃん、静かにしてたら可愛いのに…」
夏希「むっかー!なんで可愛くないみたいに言うかな!」
未夢「あわわ!ゴメンゴメン!プリプリしてても可愛いよ!」
夏希「バカにしてるでしょ?未夢ちゃんって結構毒舌ね」
未夢「そんなつもりでは…」
もっと可愛いよ的なことを言おうとしてたのに、あらぬ流れになってしまった。
夏希「まぁ、未夢ちゃんは可愛いからいいだろうけど!」
未夢「よくわかんないけど、そんなことないって」
夏希「ところで、去年とか一昨年はチョコあげなかったの?」
未夢「去年はあげたけど、一昨年は…」
夏希「どんなのあげたのっ?てか、一昨年はなんで?」
未夢「ちょ、そんないっぺんに聞かれてもっ…」
夏希「あーごめん、じゃあ一昨年の件からでっ」
未夢「一昨年は、受験が忙しくて…」
夏希「えー、もうその頃から西遠寺くんとは彼氏彼女だったんでしょ?言い訳くさくなーい?」
未夢「うっ」
結構図星だったのである。
夏希「じゃあ去年は?」
未夢「去年は…ゼロから作ろうとして、あれこれ失敗して、結局市販のもので…」
夏希「え、ゼロからって、できるわけないじゃん。やり方わかってたの?」
未夢「ううん。チョコの原料って何?ってレベルから」
夏希「え、カカオ…?」
未夢「栽培から始めなきゃいけなかったんだね」
夏希「未夢ちゃんの愛、ガチすぎるでしょ…!」
夏希「食べるのがもったいないくらいになっちゃうよ!」
未夢「あっはは… そんなこんなで、今に至るのです」
夏希「今日は私がいるから、ちゃんと作ろーね」
未夢「うん」
夏希「といっても、自分の好きな型に固め直すだけなんだけど」
未夢「そーなの?」
夏希「未夢ちゃん…どんだけ知らないのよ…機会なかったの?」
しょーじき、なかなか機会がなかったのである。
自分でも無意識に、あえてやってなかったのかもしれない。
やろうと思えば、そんな時間も作れたのである。
未夢「い、いーじゃないっ。これから覚えていけばっ」
夏希「ま、私も人のこと言えないんだけどね」
未夢「とりあえず、どこ向かってるの?」
夏希「型とか見るなら、おっきいスーパーかデパートかな」
未夢「ほうほう。夏希ちゃんは頼りになりますなぁ」
夏希「そんなでもないって」
未夢「どこのコーナーかな…多分キッチン系かな」
夏希「そうじゃない?」
未夢「いちおー、聞いて確認してみよっと」
文具や日用品の階に着いたところで、総合案内の受付カウンターが見えたので、そこで聞いてみた。
未夢「すみません、ちょっと聞きたいんですけど…」
受付「はい、いらっしゃいませ」
未夢「あの…バレンタインのチョコを作りたいんですけど・・・」
受付「あっ、はい、器ならここのコーナーを曲がってまっすぐ進んだところにございます」
未夢「あ、ありがとうございます」
夏希「感の良い受付さんだったね」
未夢「う、うん」
夏希「え〜と・・・あ、あった」
見るとそこには、様々な型のものがあった。
星型の箱の底をくりぬいた様なステンレス、それの大きなハート型など。
夏希「どれがいい?」
未夢「え〜と・・・カボチャ型・・・なんてあるかな?」
夏希「え、なんでカボチャ?」
未夢「彷徨、カボチャ好きだから」
夏希「でもカボチャ型だと、100均のミルクチョコとほぼ同じじゃないの」
夏希「原型にしたら大きすぎて食べられないし」
カボチャ原型の大きさのチョコを彷徨がかぶりついている姿を想像して笑えた。
夏希「カボチャかぁ〜それだとホント、ミルクチョコとほぼ変わらないからなぁ〜」
未夢「じゃ、じゃぁ、やっぱりカカオから作ってカボチャ型にするとか?」
夏希「それ手間過ぎ。イレギュラー。それに結局カボチャなの」
未夢「や、やっぱダメか・・・」
夏希「・・・まぁいつもと違うことやってみたくはあるけど、さすがに違いすぎね」
夏希「もっと普通でいいのよ」
夏希「未夢ちゃんがわざわざ作ってあげたんだからってことをアピールできれば、それで」
未夢「なんかそれ、3年前にも似たようなことを言われたような気が・・・」
夏希「うん?」
未夢「ううん、なんでもない」
未夢「ところで、夏希ちゃんはどんな型を選ぶの?」
夏希「う〜ん・・・あ、マジであった、これかな」
見ると、野球のバットとグローブの型だった。
未夢「え、そんなのあるの!」
夏希「ないと思ってたんだけど、意外とあるね」
夏希「でもこれ、クッキー用のやつみたいだけど、別にチョコでも使えるから、これでいっかな」
未夢「なるほど」
未夢「ってことはチョコの型以外のコーナーでカボチャ型を探して・・・」
夏希「・・・カボチャから離れんかい・・・」
結局、普通の星やハートの型などに納まった。
夏希「それでいいのよ、普通で」
未夢「うーん」
夏希「納得いかない感じね?」
未夢「ホントにこれでいーのかなぁって」
夏希「いいのよ、普通で。未夢ちゃんが作ったってことを渡せれば」
未夢「でもこれ作り直すだけなんだよね?カカオからの方が良いんじゃ・・・」
市販のミルクチョコをたくさん買ってきた。
ここから、買った型に固め直すだけなのだ。
夏希「その感覚、なんなの・・・」
夏希「あとはー、バットとか必要ね。ボウルも3つ用意して、パウダーとかも買っておいた方がいいかな」
未夢「バットとボール?」
ボールを落として、バットを振るそぶりを見せた。
夏希「あ〜、まぁ、えーと、そうね、私が言うとそうなっちゃうのね」
夏希「違うわよ、まぁ言い換えれば、アルミのトレイと、でっかいお碗よ」
未夢「夏希ちゃんちにあるんじゃないの?」
夏希「私んちっていうか部屋っていうか、料理部屋には置いてなかったかな・・・」
未夢「料理部屋?すごい!」
夏希「と言っても寮のだから家庭科室みたいなもんよ」
そう言いながら夏希ちゃんはパウダーのコーナーから適当なものを取っていった。
未夢「白い粉・・・麻薬!!」
夏希「違うわ!!はっきり言い過ぎ!上白糖とかよ!全く、いきなりなんなのよ」
未夢「いや、ついなんとなく」
夏希「なんとなくでそんな過激なボケ?ツッコミ?されたら堪んないわよ」
夏希「・・・そいや白ココアなんてあるのね」
未夢「え?」
夏希「いや、見たことなかったけど、そんなのがあるんだなって、ついでに見えた」
パウダーのコーナーには他にもココアなどが置いてあり、その中に白ココアなるものがあった。
未夢「ホントだ。めずらしーね」
夏希「ついでに買ってくか。ホワイトチョコレートとかも面白いかもね」
未夢「なんか想像できないなぁ・・・」
チョコと言ったら茶色。白だとチョコの味がするなんて想像できなかった。
夏希「白くても普通にチョコよ」
夏希「あとはオーブンシートとギフトボックスも、っと」
未夢「なんだかんだたくさん買い物しちゃったね」
トレイにボウル、チョコにパウダー、お砂糖、型や泡だて器など。材料は取り揃えた、と思う。
ミルクチョコをたくさん買った。夏希ちゃんはホワイトチョコレートを買ってた。
未夢「そういえば夏希ちゃんちでやると言っても、寮なんでしょ?部屋に台所ないよね?」
夏希「寮の台所を貸してもらうけど、女子寮の子なんてほとんどいないし、ほぼ貸しきり状態よ」
夏希「特待で入った子なんてそんなに居ないと思うしね」
未夢「そうだったんだ・・・」
ってことは期待の星じゃない。その人とわたし話してる!
夏希「ん?どうしたの?」
未夢「や、なんでもないよ」
夏希「さ、ついたわよ」
未夢「お、お邪魔しまぁす・・・」
玄関は学校の校舎に入るときの玄関とほぼ変わらなかった。
それの縮小版というか。
中の通路も、学校の廊下が多少狭くなった感じで、ほぼ変わらなかった。
夏希「何してるの?」
未夢「あ、いや」
キョロキョロしていたら怪しまれてしまった。
夏希「ほら、こっちよ」
夏希「さてーやるかいね!」
そこはやはり家庭科室みたいな場所だった。
未夢「へぇー、広いね!」
夏希「大体ご飯食べる時は簡単なものだけど、一人用のご飯を作るのにここまで広いと寧ろ空しいわ・・・」
未夢「あ、そういうものなんだ・・・」
未夢「えと、どうやっていくの?」
夏希「そだねー、さっとおさらいするか」
夏希「まず買ってきたチョコを適当にみじん切りにしてボウルに入れておく」
夏希「切った大きさはなるべく全部均等にするのがいいわね」
夏希「大きさに違いがあると、後で溶かす時に大きいのがダマになっちゃうから」
夏希「で、チョコと同じ重さ分の水を鍋に入れて、中火、50度くらいの湯にする」
夏希「ボウルにお湯を入れて、その上にチョコを入れたボウルを入れる」
夏希「固形物がなくなってどろどろの液体状になったら、メレンゲを入れて混ぜる」
夏希「あとはアルミ板、バットに、買ってきた型を乗せて、そこに流し込んで冷凍庫行き」
夏希「好きな型に固め直す基本はこれだけで終わり」
夏希「私はこんな感じで作ってるかな」
夏希「もっと丁寧で良い作り方があると思うけど、調べるのがめんどいからオリジナルアレンジってことで」
夏希「あと、ホントはメレンゲじゃなくて生クリームがいいかもだけどね」
夏希「ボウルに入れて混ぜた後は、薄茶色になるまでホイップして」
夏希「メレンゲは卵から黄身だけ抜いた白身と、上白糖であるお砂糖をホイップしまくって作るの」
夏希「クッキーにする場合は、冷凍庫行きの前にチョコチップ入れたりね」
夏希「その辺はさすがに調べてレシピ見ながらとか、完成形を前もって整理しとかないとね」
夏希「とりあえず味に関しては元が市販のだから、分量と火の強さとか間違わなければ保証済み」
未夢「なるほど・・・わからん!もっかい言ってもらって良かですか?」
夏希「ズコー!何なのよもう!まぁ、慣れてたら簡単だけど、そうじゃなかったらそんなもんか」
夏希「じゃぁ一緒にやっていくから、覚えてね」
未夢「う、うん」
未夢「前回までは結局市販のやつのままとかだったし・・・」
夏希「じゃ、とりあえず、自作をってことで」
未夢「カカオから」
夏希「あっはは。未夢ちゃんこだわるね」
夏希「それは、今日のが成功したら、試してみればいいよ」
夏希「順番順番」
未夢「冗談半分だったけど・・・そうだね」
何事も順番だ。
未夢「夏希ちゃん・・・チョコが・・・切れないよ・・・」
夏希「ああっと、未夢ちゃん何してんの!チョコを切る時は、ナイフを温めるんだよ」
未夢「どうやって?」
夏希「ほら、今鍋にお湯入れて火かけてるでしょ?そこにナイフの刃を浸すのよ」
夏希「そうすれば、溶かしながら切れるから」
未夢「なるほど」
夏希「全くもう・・・何やってるかと思えば・・・」
夏希「あんな小さいチョコに力入れてナイフなんか使ってたら怪我しちゃうでしょ」
未夢「あはは。ごめん」
夏希「でもしくったなー。もうちょっと板チョコとかにすれば良かったよ」
夏希「でも見てきた店はアーモンド入りのやつしかなかったし、他に店回れば良かったか」
未夢「作れれば何でもいいよ」
夏希「あんな危なっかしいことしてたお前さんが言うか」
未夢「もうそろそろナイフ、温まったんじゃないかな」
夏希「そうね、もうそろそろかな」
夏希「うん、これくらいでいいと思うや」
やってみたけど、木を糸鋸で削るような感じだった。
夏希「う〜ん、やっぱ板チョコの方が良かったかなぁ」
夏希ちゃんもやってみて違和感を覚えたようだ。
それにしてもチョコって固まってるとこげ茶色なのに、ナイフで削ったら薄茶色だった。
とりあえず、ゆっくり、ナイフで切るのがやりにくくなる大きさまで切っていった。
意外と面白いように切れるので、ちょっと夢中になっていた。
チョコはとりあえずにんじんのみじん切りくらいの大きさになるまで切ってた。
夏希「確かにみじん切りとは言ったけど、今思えば千切り程度で良かったかな・・・まぁでも同じか」
夏希「そういえば、どうする?未夢ちゃん。もっと凝ったのやるの?」
夏希「そっから先の状態に関しては、私は保証できないけどさ」
未夢「ううん、まずは基本でいいよ」
わたしは今まで凝ったものを作ろうとしすぎていた。
冗談半分なところはあったけど、ある程度マジで・・・。
それでも結局失敗して、市販ので妥協してしまっていた。
やり直すんだ。ここから。
今日は、わたしの想いを渡したい。
夏希「うん、それで良し」
夏希「工夫に挑戦するならまずは私ぐらい理解してないと」
未夢「夏希ちゃんは、何か工夫するの?」
夏希「うーん、そうだね〜、色違いのもので模様付けるぐらいかな?」
夏希「でもこれ言っちゃうと、未夢ちゃん途中で真似したがってくるような気がするんだよね〜」
未夢「し、しないよ〜」
夏希「ふ〜ん、どうだか?でも、余ったらうちらのお菓子用にやってもいいかな」
未夢「ホント?」
夏希「そこ!いきなり脱線したがらない!未夢ちゃんのそれができて、余ったら!だから!」
未夢「ひ〜ん。はーい・・・」
夏希「あんまり、期待しないでね。私も初挑戦なんだから」
未夢「そうなの?」
夏希「私は未夢ちゃんとは逆で、あんまり凝ったのを作ろうと思ってなかったからね」
夏希「でも未夢ちゃんの話聞いてたら、何となくやってみようかな〜って、ノリで?」
未夢「そうなの?」
夏希「だから、これはある意味未夢ちゃんのおかげかな?ありがとね」
未夢「いやそんな。わたし何もしてないし」
夏希「これからするのよ」
未夢「え?」
夏希「来年は、凝ったの作るんでしょう?」
夏希「それの、先人とさせてよ」
未夢「う、うん」
なんだか夏希ちゃんがやる気になったようだけど、良かった、のかな?
夏希「とりあえず、チョコ溶かす用のお湯作るか」
鍋に水を入れ、火をかけて沸騰する辺りまで温めて、もう一つのボウルにお湯を入れた。
さらにその上に、チョコを入れたボウルを、お湯の張ったボウルに入れた。
夏希「これでよし」
未夢「へぇ・・・」
夏希「さて、今からメレンゲ作る」
未夢「どれくらいかかるの?」
夏希「う〜ん、昔は手で混ぜてたから20分くらいかかってたけど、ミキサー使うなら比較的一瞬かな・・・」
未夢「い、一瞬って、どれくらい?」
夏希「5分もかかんないと思う」
未夢「そーなんだ」
夏希「未夢ちゃん・・・あんた・・・もー少し女子力高めなさい・・・」
夏希「じゃないと、西遠寺くんに嫌われちゃうわよ・・・」
未夢「あっはは・・・料理に関しては、彷徨の方が上手いから任せっきりで・・・」
夏希「へぇ、そうなんだ?料理男子とか最高の彼氏じゃん」
夏希「でもさすがに、お菓子作りとかまでは凝ってないでしょ?」
未夢「見たことはないけど、彷徨ならやりそうかも・・・」
夏希「それでも、お菓子作りくらいは、こっちのが上手くないとね」
未夢「・・・そうだね」
ちょっと闘志出た。
未夢「とりあえず、見て待ってるよ、そんな時間かからないなら」
夏希「オーケー、じゃ、ミキサー準備するわ」
夏希「別に何か混ぜたりするわけじゃないけど、回転が高速だからすぐ終わるしね」
未夢「ミキサー内で生クリーム状化するってことは・・・取る時どうするの?」
未夢「どろっどろになっちゃうよ」
夏希「そんなに大量に要らないから、少し取れればいいよ、それで」
夏希「洗う時、大変そうだけど」
未夢「わかった!」
夏希「なんでそんな満足そうなのよ・・・」
未夢「なんか、楽しいね!」
夏希「・・・そうね、一人で黙々とやるよりは、いいかもね」
未夢「あっはは」
夏希「うふふ」
夏希「さてさて、とりあえず卵の白身だけ取り出しますか」
未夢「そういえば、わたしたち卵なんか買ってきてなかったけど、どこから?」
夏希「冷蔵庫」
未夢「か、勝手に使っちゃっていいの?」
夏希「いーのいーの。どーせ勝手に補充されてるし」
未夢「えっ・・・そうなの?」
夏希「っていうかこの前、管理人に、冷蔵庫にあるものって使っていーんですかって聞いた」
夏希「今は住人少ないから別にいいって」
夏希「他のとこだったら知らないけど、ウチは今はいいみたい」
寛大すぎる。
夏希「まぁ、あんまりやたらめったら使ったら怒られるでしょうけど・・・少しならいいんじゃない?」
夏希「ということで、白身取るわよ」
未夢「あれ、何これ?」
見ると、プラスチックのスプーンのようで、底の横に隙間があった。
夏希「何って、卵黄身取り器よ・・・知らないの?って、正式名称は私も知らないけど」
未夢「どうやって使うの?」
夏希「真ん中の、底が深いところに向かって黄身を落とすようにするのよ」
夏希「お椀に置いてやってもいいけど・・・そうだ、未夢ちゃんこれ持ってて」
未夢「は、はい」
夏希「いくよー」
ぱかっ。
未夢「おぉー」
卵の黄身が真ん中に落ちると、白身の部分は隙間から溶け出すように落ちていった。
未夢「えと・・・これどうするの?」
夏希「そうねー、貸して」
夏希ちゃんは別のお椀に移したかと思うと、そのまま飲むようにして食べてしまった。
未夢「えっ・・・」
夏希「はに?」
未夢「夏希ちゃん、行儀悪いよ〜」
夏希「ごっくん・・・仕方ないでしょ、今回は他に使い様もなかったし、何するにしてもめんどいし」
未夢「ていうかそのまま黄身だけ食べておいしいの・・・?」
夏希「おいしいわよ。未夢ちゃんも食べてみる?」
未夢「わ、わたしはいいです・・・」
夏希「また今度機会があったらねー」
夏希「さて、白身と上白をミキサーに投入!」
白身がつるっとミキサー内に入った。
軟体動物が巣に返ったかのようだった。
未夢「じょうはくって?」
夏希「上白糖、砂糖よー」
未夢「なるほど」
夏希「スイッチ押すよー」
未夢「おー」
ギュイーン・・・
未夢「おおー」
あっという間に生クリーム状になっていった。
未夢「昔は20分ぐらいかき混ぜてて腕が疲れてたと言うのに・・・」
夏希「科学の進歩はすごいわねー。でもどちらかというとこれはアイデアかな?」
夏希「・・・でもさー、なんか思ったけどさー」
未夢「うん?」
夏希「もし混ぜるんじゃなくて生クリームで模様付けとかだったらさ」
夏希「箱とかで持って行かないと、袋とかだったらぐちゃってなるよね」
未夢「・・・」
夏希「・・・」
夏希「まぁいっけどね!」
未夢「そ、そだね!」
未夢「でもこれ、なんかまだ泡だらけじゃない?」
夏希「ああ、砂糖を分けて入れていくのよ」
それから何度か、砂糖を少し入れてはかき混ぜを繰り返して言ったら、泡が消えていった。
夏希「未夢ちゃん、舐めてみる?」
未夢「え?」
夏希ちゃんが、ミキサーの電源を抜き、中のメレンゲを掬い取り、人差し指を差しだしてきた。
未夢「え・・・っと・・・うん・・・」
何となく断る事もできず、そのまま人差し指を頬張った。
夏希「わぁっ」
夏希「ちょ、ちょーっと、何してんのよ!」
未夢「え、え?」
夏希「だーれがそのまま舐めろと言ったか!この部分取って味見してみる?って意味だったのに」
未夢「あ、ああ」
夏希「まったく・・・もう・・・」
未夢「えと・・・ごめん・・・なさい・・・」
夏希「・・・」
未夢「・・・」
夏希「もう、いいわよ・・・」
未夢「えと・・・うん」
夏希「き、気を取り直して!で、どうなの?味」
未夢「うん・・・これ、もう生クリームだよ」
夏希「あっはは。そだろね」
夏希「でも味と見た目はそっくりでも素材は違うから、今後、生クリームとしては使えないかな」
未夢「そうなの?」
夏希「劣化版だと思ってくれたらいいよ。壁にペンキ塗るのに、絵の具じゃ無理でしょ?」
未夢「うーん、なるほど」
わかったような、わからないような。
夏希「んーじゃ、チョコに入れるか。材料てか素材同じだから、未夢ちゃんのと一緒に入れちゃってもいい?」
未夢「いいよ」
夏希「んーじゃそれで」
暖かくなって溶け始めているチョコにメレンゲを乗せるように混ぜた。
夏希「未夢ちゃんホイップしていいよ」
未夢「う、うん」
泡だて器で混ぜた。
お湯で溶けていたチョコは物凄い柔らかくなっていて、すぐクリーム状になった。
チョコで最後の方に切ったのは固まりのものもあったけど、ほとんどがみじん切りだったからかすぐ溶け合った。
未夢「あれ?そっちは?」
夏希ちゃんはもう一つ別のボウルにメレンゲを入れていた。
夏希「ああ、こっちは白のチョコだから、別にしないとね」
未夢「な、なるほど」
夏希ちゃんは、トレイの上に買ったオーブンシートを敷いて、型をいくつか置いている。
それらにチョコを流し込んだ。
未夢「おぉ・・・」
夏希「ね?簡単でしょ?」
未夢「う、うん」
昔ある程度やったことあるはずなのに、久しぶりだからかドキドキする。
夏希「じゃ、私もやろっかなー」
鍋を夏希ちゃんに返すと、夏希ちゃんもまた自分の型に流し込んだ。
夏希「よいしょっと」
夏希「とりあえず固め直したい型に入れ直すのはできたかな」
夏希「じゃぁこれ、未夢ちゃん冷凍庫によろしく!」
未夢「え、わたし?」
夏希「せっかくだから、色々やってもらおうと思って」
未夢「人使い荒いなぁ」
バットを、備え付けの冷凍庫に入れた。
夏希「さって、しばらく待ってなきゃだし、なんかお話でもしよっか」
夏希「未夢ちゃんは、なんで西遠寺くん好きになったの?」
未夢「ええっ」
未夢「唐突すぎでしょっ」
夏希「いいじゃん。やっぱ恋バナっしょ。で、何でなの何でなの?」
未夢「もう〜・・・」
未夢「う〜ん、でも最初はサイテーなやつだと思ってたよ」
未夢「基本的にデリカシーないし、何考えてるかよくわかんないし・・・」
未夢「周りはクールだ〜とか、カッコイイ〜とかいうけど、よくわかんなかった」
未夢「でも、そだね、なんでかな。わたしにもはっきりとはわかんないけど」
未夢「近くにいてなお、何考えてるか良くわかんないから」
未夢「たまに優しくしてくれたりした時は、すっごい意外って言うか・・・」
未夢「よくよく考えてみれば、彷徨は基本的には他人にも優しいけど」
でも、相手がわたしの時ほどに、微笑みかけてたりはしなかったと思う。
未夢「意外にめんこいって言うか、苦笑いしながら去ってく感じ」
未夢「そんなところが面白いのもあるけど、大事な時には、頼りになるやつだよ」
夏希「・・・」
未夢「え、何、どうしたの」
夏希「え、何、やばい」
夏希「めっちゃのろけじゃん・・・」
未夢「話せって言ったの、どこの誰よ〜」
夏希「未夢ちゃんの、西遠寺くんへの愛が伝わったわ」
未夢「そんなでもないって〜」
夏希「い〜や、あれは愛だね。なんか未夢ちゃん、黄昏てた」
未夢「っそっ、そう?ほら!今度は夏希ちゃんの番!」
夏希「えっ、わ、私?」
未夢「そうだよ!わたしは話したんだから、はい!夏希ちゃん!」
夏希「そんなこと言っても、私、居ないわよ」
未夢「そんなことないでしょ!」
夏希「あるわよ!」
未夢「やっぱりあるんじゃん」
夏希「ないったらない・・・あれ?」
あれ?
夏希「と、とにかく!私はないの!未夢ちゃんのが聞きたかっただけなんだから」
未夢「え〜、そんなのずるいよ。じゃぁ今のじゃなくて昔のでもいいよ」
多分、結局同じことだと思うし。
夏希「え、え〜と、そうね・・・」
夏希「私が小学生の頃、リトルエンジェルスってとこのエースだったの知ってる?」
夏希「その時、仲良くしてたやつがいてね」
夏希「好きだったんで告白したんだけど、振られちゃった」
夏希「野球やるやつは好きになれないって」
夏希「あれ、この話、前にしなかった?」
未夢「うん、聞いた気がする。やっぱり」
夏希「ちっ、違うの!あいつじゃないの!今は、あいつを利用したいだけなんだから!」
何がどう違うのか。
未夢「はいはい。また英一くんと結ばれるといいね」
夏希「英一じゃないったら!あと、またじゃなくて、結ばれてないっ」
未夢「あっはは。ますます結ばれるといいね。夏希ちゃん可愛いから大丈夫だよ」
夏希「違うったらー!うがるー!」
未夢「あっはは」
夏希「さっ、さて、もう固まったかしらねっ」
誤魔化すように、チョコの様子を見に行く。
夏希ちゃんが持ってきた、バットの中の様子を見た。
型の中のチョコは、スライムのようにぷにぷにしていた。
夏希「うーん、まだ早かったか」
未夢「夏希ちゃんが慌てて取り出しにいくから」
夏希「そっ、そんな慌ててない!」
夏希「・・・うーん、冬だし、常温で時間かけたほうがいいかもね」
未夢「そうなの?また恋バナ?」
夏希「も、もうそれはいいのっ」
夏希ちゃんが言い出したのに。でも今度はわたしのターン!
夏希「未夢ちゃんのなら聞いてもいいかなーと思ったけど・・・なんかやっぱパス」
未夢「えー?」
夏希「だって、惚気られるのは別にいいけど、その後が・・・」
未夢「後が?」
夏希「聞くのはいいけど話すのはイヤ」
未夢「いや、それ、恋バナしてないじゃないですか。ラジオですか」
夏希「そう!未夢ちゃんの恋バナラジオね」
未夢「そんなに面白い話出てこないよぉ〜」
実はたくさんある気もするんだけど、理解されないだろう。
例えされることができたとしても、あれは今わたしの心の中だけに押し留めておくものだと思った。
夏希「でも、なんか良いなぁ〜」
未夢「何が?」
夏希「好きあってるって言うか」
未夢「今の話の中に、彷徨がわたしを好きだっていう話はアリマセンでしたが・・・」
夏希「え、でも、好きでいてくれてるんじゃないの?」
未夢「よくわかんない」
夏希「ええー。キスとかはもうした?」
未夢「えと・・・」
こくり。
夏希「え、どっちから?向こう?未夢ちゃん?」
明後日の方向を指差した。
夏希「じゃぁ好かれてるんじゃん。何が心配なの?」
夏希「ヤリに来ただけとか?」
未夢「ええと、よくわかんないけど、そう言うんじゃないと思う。ただ・・・」
傍にいるからこそわからない。
彷徨は、本当にわたしのことが、好きなのかな?
夏希「まぁなんにしても、西遠寺くんは素敵そうな人ではあるわよね」
未夢「・・・」
夏希「何?私の彷徨は渡さないっ!とか?」
未夢「何も言ってませんっ」
夏希「あと、未夢ちゃんはやっぱ可愛いわねっ」
未夢「な、何がっ」
夏希「恋する乙女は輝いてるって言うか」
未夢「べ、別に何もしてないよ」
未夢「それを言うなら、夏希ちゃんもじゃない?」
夏希「わ、私は違うのっ」
可愛い。
なんで否定するのかよくわかんないけど。
未夢「はいはい」
夏希「何納得してんのよ〜」
未夢「まぁまぁ。チョコの様子見ようよ〜」
夏希「誤魔化そうとしてる」
チョコ、便利だ。
夏希「まぁでも、うん、もうこれくらいでいいかな」
未夢「うわ!何これ・・・!」
夏希「何、どうしたの」
見ると、型に入れたチョコが底から漏れて、バットの上に敷いたオーブンシートに広がっていた。
夏希「あっちゃー、やっぱいきなり慣れないことするもんじゃないわ」
夏希「てかごめんね、結局凝ったことにつき合わせちゃって」
夏希「よくよく考えてみたら、生チョコを型にって無理があるわ」
夏希「どっちかにすべきね」
未夢「夏希ちゃん、これどうやって取るの?」
星型の筒につめた生チョコは、確かに外側は固まっているように見えた。
ステンレスにしっかりくっついてしまい、押してもぐにゅっとなるだけだった。
夏希「仕方ない、そのまま押してみて」
ぐにゅっ。
外側は確かに固まっていたけど、中は全然だった。生クリーム状。
夏希「あっはっは!自分で指導しといてだけど、なんだろこれ」
未夢「え〜」
夏希「大失敗ね。まだ時間あるから、やり直しましょ」
未夢「う、うん・・・そっちは?」
夏希「っていうか、その前に、外側に漏れたやつで味見してみましょ・・・」
てきとーに買ったミルクココアを塗した。
見た目は生チョコだ。見た目は。
夏希「せっかくだから、未夢ちゃんも食べてみてよ」
未夢「え〜。なんか怖いな・・・」
ぱくっ。
夏希「うん、なんていうか」
未夢「うえっ・・・」
夏希「不味い!」
不味いというか、ミルクココアの食感がざらざら。
夏希「あっはっは!使い方間違ってるね」
未夢「笑い事じゃないよぉ〜」
もしコレで完成していたら、とんでもないものをあげるところだった。
夏希「テストしておいて正解だったわね」
夏希「ついでに他のパウダーも試してみよっと・・・」
夏希ちゃんは買ってきたクリームパウダーを白のチョコに塗してた。
夏希「うん。クリーム感が強すぎて、ないわー」
失敗だったようだ。
夏希「こっちの小麦粉みたいなシュガーパウダーは、砂糖をさらに砕いた感じね」
夏希「塗し過ぎると、甘すぎ。でも白の生チョコにするなら、こっちかな」
何かの判断がついたようだ。
夏希「まぁチョコはいくつか買いだめしておいたし、せっかくだから味見がてら私たちのお菓子ってことで」
夏希「いくつか色々作ってみますか!」
未夢「ねぇねぇ、お湯で温めて溶けさせるって言ってたけど、お湯を直接入れたらどうなるのかな?」
夏希「わー!止めなさいって!」
冷凍庫に固めた後の様子を見たが、しゃびしゃびだった・・・。
未夢「じゃ、じゃぁ、お湯の量を少なくすれば!」
夏希「ああ、もう、なんとでもなりなさい・・・」
シャーベットだった。
夏希「何気に美味しくて笑えるんですけど。チョコシャーベット」
未夢「と、とりあえず、チョコクリームの作り方はわかったって言っていいのかな・・・」
余計な知識を覚えた!
4度目にしてやっと正規のやり方で作った。
夏希「急がば回れ、ね」
未夢「おかしな作り方しちゃってたね。お菓子なだけに」
夏希「・・・未夢ちゃん、それ、必要以上につまらないわ」
未夢「ええ〜!」
夏希「でもま、下らなかったけど、面白かったわ」
未夢「何よそれ〜」
夏希「あっはは!いいじゃん、楽しかったんだし」
未夢「良くないよ〜、一発目なんか、夏希ちゃんの言うとおりにして失敗したんだし・・・」
夏希「あっはは。ごめんごめんって」
結局二人とも型に固めなおしただけだった。
夏希「でも一つだけ白の生チョコを型に固めたのよ!」
夏希ちゃんは白のボール状のチョコにシュガーパウダーを軽く塗してた。
野球のボールにチョークをかけるってやつ?滑り止めの。
それみたいで、らしくなっていた。
あとはデコレーション用のチョコで、バットの黒チョコに何やら文字を作っていた。
夏希「さて、明日が楽しみね!」
未夢「う、うん」
なんだかんだ作った。後は渡すだけだ・・・。
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【7,8日共に夏希に付き合っていなかった場合】
チェック001/////////////////////////////
バレンタインデー前日。
正直、昨日まで忘れてた。
気合の入れどころを逃した感じだ。
前準備があれば、もっと良いものを作れる作戦が練れたものを。
過ぎたことは仕方がない。気持ちを切り替えて、今を見ないとっ。
今日は惠ちゃんが付き合ってくれるので、やる気分的にも大いに助かる!
校門に行くと、惠ちゃんがいた。
惠「来たわね、未夢」
未夢「そりゃー来ますよ」
惠「そんなに西遠寺に尽くしたかったー?」
未夢「はぁ?なんで?」
惠「そんなにチョコ作りたかったの?って意味よ」
未夢「えー、あー、まぁ」
なんと答えたものか。
未夢「ていうか、呼ばれたら来るよぉ〜」
惠「そういう意味じゃなくて。別にイヤなら来なくても良かったのよ?」
惠「あたしは一人で彷徨への愛を作るのを研究するんだから!ってね」
未夢「よし!じゃあ、行こう!」
惠「誤魔化すな!てかちょっと待って!」
未夢「え?」
惠「可菜も来るからさ」
しばらくしたら、可菜ちゃんが颯爽と現れた。
可菜「・・・お待たせ」
惠「ああ、待ったよ」
もはやツッコミ無し。
【街へ】
惠「あー、何から買おうかな」
未夢「遊びに来たんじゃないんだからね」
惠「何よ、いいじゃん!ちょっとくらい」
可菜「ところで、去年とか一昨年はチョコ作ったんだっけ?」
未夢「去年はあげたけど、一昨年は…」
惠「どんなのあげたんだっけっ?てか、一昨年はなんで?」
未夢「ちょ、そんないっぺんに聞かれてもっ…」
惠「あーごめん、じゃあ一昨年の件からでっ」
未夢「一昨年は、受験が忙しくて…」
惠「もうその頃から西遠寺とは彼氏彼女だったんでしょ?言い訳くさくないか?」
未夢「うっ」
結構図星だったのである。
可菜「じゃあ去年は?」
未夢「去年は…ゼロから作ろうとして、あれこれ失敗して、結局市販のもので…」
惠「え、ゼロからって、できるわけないじゃん。やり方わかってたの?」
未夢「ううん。チョコの原料って何?ってレベルから」
惠「え、カカオ…?」
未夢「栽培から始めなきゃいけなかったんだね」
惠「未夢の愛、ガチすぎるでしょ…!」
惠「食べるのがもったいないくらいになっちゃうわ!」
未夢「あっはは… そんなこんなで、今に至るのです」
可菜「今日は私たちがいるから、ちゃんと作ろーね」
未夢「うん」
惠「といっても、自分の好きな型に固め直すだけなんだけどな」
未夢「そーなの?」
惠「未夢…どんだけ知らないんだ…機会なかったの?」
しょーじき、なかなか機会がなかったのである。
自分でも無意識に、あえてやってなかったのかもしれない。
やろうと思えば、そんな時間も作れたのである。
未夢「い、いーじゃないっ。これから覚えていけばっ」
惠「ま、あたしも人のこと言えないんだけどね」
未夢「そういえば、惠ちゃんは誰に上げるの?」
惠「あたし?別に?」
未夢「え?誰かに上げるために作るんじゃ・・・」
惠「あたしはただの暇つぶし」
可菜「私は惠ちゃんのただの付き添いよ」
惠「こうでもしないと、未夢作らないんじゃないかと思って」
未夢「へ、へぇ〜、そうだったんだ・・・」
なんていうか、保護者?
未夢「とりあえず、どこ向かってるの?」
惠「型とか見るなら、おっきいスーパーかデパートかな」
未夢「ほうほう。惠ちゃんは頼りになりますなぁ」
惠「そんなでもないって」
未夢「どこのコーナーかな…多分キッチン系かな」
可菜「そうじゃない?」
未夢「いちおー、聞いて確認してみよっと」
文具や日用品の階に着いたところで、総合案内の受付カウンターが見えたので、そこで聞いてみた。
未夢「すみません、ちょっと聞きたいんですけど…」
受付「はい、いらっしゃいませ」
未夢「あの…バレンタインのチョコを作りたいんでけど・・・」
受付「あっ、はい、器ならここのコーナーを曲がってまっすぐ進んだところにございます」
未夢「あ、ありがとうございます」
可菜「感の良い受付さんだったね」
未夢「う、うん」
惠「え〜と・・・あ、あった」
見るとそこには、様々な型のものがあった。
星型の箱の底をくりぬいた様なステンレス、それの大きなハート型など。
惠「どれがいいんだ?」
未夢「え〜と・・・カボチャ型・・・なんてあるかな?」
惠「え、なんでカボチャ?」
未夢「彷徨、カボチャ好きだから」
惠「でもカボチャ型だと、100均のミルクチョコとほぼ同じじゃないか?」
惠「原型にしたら大きすぎて食べられないし」
カボチャ原型の大きさのチョコを彷徨がかぶりついている姿を想像して笑えた。
惠「カボチャかぁ〜それだとホント、ミルクチョコとほぼ変わらないからなぁ〜」
未夢「じゃ、じゃぁ、やっぱりカカオから作ってカボチャ型にするとか?」
惠「それ手間過ぎ。イレギュラー。それに結局カボチャなの」
未夢「や、やっぱダメか・・・」
惠「・・・まぁいつもと違うことやってみたくはあるけど、さすがに違いすぎだな」
可菜「もっと普通でいいんだよ」
可菜「未夢ちゃんがわざわざ作ってあげたんだからってことをアピールできれば、それで」
未夢「なんかそれ、3年前にも似たようなことを言われたような気が・・・」
惠「うん?」
未夢「ううん、なんでもない」
未夢「ところで、惠ちゃんはどんな型を選ぶの?」
惠「う〜んそうだな〜・・・あ、マジであった、これかな」
見ると、音符の型だった。
未夢「え、そんなのあるの!」
惠「ないと思ってたんだけど、意外とあるね」
惠「でもこれ、クッキー用のやつみたいだけど、別にチョコでも使えるから、これでいっかな」
未夢「なるほど」
可菜「ってことはチョコの型以外のコーナーでカボチャ型を探して・・・」
惠「・・・カボチャから離れんかい・・・って、なんで可菜がカボチャ型探すんだ」
結局、普通の星やハートの型などに納まった。
可菜「それでいいのよ、普通で」
未夢「うーん」
惠「納得いかない感じだな?」
未夢「ホントにこれでいーのかなぁって」
可菜「いいのよ、普通で。未夢ちゃんが作ったってことを渡せれば」
同じ台詞だった。
未夢「でもこれ作り直すだけなんだよね?カカオからの方が良いんじゃ・・・」
市販のミルクチョコをたくさん買ってきた。
ここから、買った型に固め直すだけなのだ。
惠「その感覚、なんなの・・・」
可菜「あとはー、バットとか必要だけど、惠ちゃんちってないんだっけ?」
惠「そだなーなかったな。ボウルもあと3つ用意して、パウダーとかも買っておいた方がいいかな」
未夢「バットとボール?」
ボールを落として、バットを振るそぶりを見せた。
惠「えーと、違いますね」
可菜「言い換えれば、アルミのトレイと、でっかいお碗だよ」
惠ちゃんはパウダーのコーナーから適当なものを取っていった。
可菜「白い粉・・・麻薬!!」
惠「違うわ!!はっきり言い過ぎ!上白糖とかだ!」
可菜「いや、ついなんとなく」
惠「なんとなくでそんな過激なボケ?ツッコミ?されたら堪んないわよ」
可菜「白ココアなんてあるのね」
未夢「え?」
惠「へぇー、見たことなかったけど、そんなのがあるんだな」
パウダーのコーナーには他にもココアなどが置いてあり、その中に白ココアなるものがあった。
未夢「ホントだ。めずらしーね」
可菜「私はこれ買おうかな。ホワイトチョコレートとかも面白いかもね」
未夢「なんか想像できないなぁ・・・」
チョコと言ったら茶色。白だとチョコの味がするなんて想像できなかった。
可菜「白くても普通にチョコよ」
惠「あとはオーブンシートとギフトボックスも、っと」
未夢「なんだかんだたくさん買い物しちゃったね」
トレイにボウル、チョコにパウダー、お砂糖、型や泡だて器など。材料は取り揃えた、と思う。
ミルクチョコをたくさん買った。可菜ちゃんはホワイトチョコレートを買ってた。
未夢「そういえば惠ちゃんちでやると言っても、そんな大きい台所?」
惠「うちの家の台所はそこそこ広いよー」
惠「さ、ついたぞ」
未夢「お、お邪魔しまぁす・・・」
そういえば、惠ちゃんちに入るの初めてだ。
惠「何してるの?」
未夢「あ、いや」
キョロキョロしていたら怪しまれてしまった。
惠「ほら、こっちよ」
惠「さてーやるかいね!」
そこは店のカウンターのように広かった。リビングが一望できる。
未夢「へぇー、広いね!」
惠「大体ご飯食べる時は簡単なものだけど、一人用のご飯を作るのにここまで広いと寧ろ空しいわ・・・」
未夢「あ、そういうものなんだ・・・」
未夢「えと、どうやっていくの?」
惠「そだねー、可菜よろしく」
未夢「そこは惠ちゃんじゃないんだ」
惠「可菜のほうが詳しいからな」
可菜「じゃぁ、さっとおさらいしましょう」
可菜「まず買ってきたチョコを適当にみじん切りにしてボウルに入れておく」
可菜「切った大きさはなるべく全部均等にするのがいいわね」
可菜「大きさに違いがあると、後で溶かす時に大きいのがダマになっちゃうから」
可菜「で、チョコと同じ重さ分の水を鍋に入れて、中火、50度くらいの湯にする」
可菜「ボウルにお湯を入れて、その上にチョコを入れたボウルを入れる」
可菜「固形物がなくなってどろどろの液体状になったら、メレンゲを入れて混ぜる」
可菜「あとはアルミ板、バットに、買ってきた型を乗せて、そこに流し込んで冷凍庫行き」
可菜「好きな型に固め直す基本はこれだけで終わり」
可菜「私はこんな感じで作ってるかな」
可菜「もっと丁寧で良い作り方があるとは思うけど」
可菜「あと、ホントはメレンゲじゃなくて、生チョコ作るなら生クリームがいいかもね」
可菜「ボウルに入れて混ぜた後は、薄茶色になるまでホイップして」
可菜「メレンゲは卵から黄身だけ抜いた白身と、上白糖であるお砂糖をホイップしまくって作る」
可菜「クッキーにする場合は、冷凍庫行きの前にチョコチップ入れたりね」
可菜「その辺はさすがに調べてレシピ見ながらとか、完成形を前もって整理しとかないとね」
可菜「とりあえず味に関しては元が市販のだから、分量と火の強さとか間違わなければ保証済み」
未夢「なるほど・・・わからん!もっかい言ってもらって良かですか?」
惠「ズコー!何なんだよ!まぁ、慣れてたら簡単だけど、そうじゃなかったらそんなもんか」
可菜「じゃぁ一緒にやっていくから、覚えてね」
未夢「う、うん」
未夢「前回までは結局市販のやつのままとかだったし・・・」
惠「じゃ、とりあえず、自作をってことで」
未夢「カカオから」
惠「あっはは。未夢こだわるね」
惠「それは、今日のが成功したら、試してみればいいよ」
惠「順番順番」
未夢「冗談半分だったけど・・・そうだね」
何事も順番だ。
未夢「惠ちゃん・・・チョコが・・・切れないよ・・・」
惠「ああっと、未夢何してんの!チョコを切る時は、ナイフを温めるんだよ」
未夢「どうやって?」
可菜「今鍋にお湯入れて火かけてるでしょ?そこにナイフの刃を浸すのよ」
可菜「そうすれば、溶かしながら切れるから」
未夢「なるほど」
惠「全くもう・・・何やってるかと思えば・・・」
可菜「あんな小さいチョコに力入れてナイフなんか使ってたら怪我しちゃうよ」
未夢「あはは。ごめん」
惠「でもしくったなー。もうちょっと板チョコとかにすれば良かったよ」
惠「でも見てきた店はアーモンド入りのやつしかなかったし、他に店回れば良かったか」
未夢「作れれば何でもいいよ」
惠「あんな危なっかしいことしてたお前さんが言うか」
未夢「もうそろそろナイフ、温まったんじゃないかな」
可菜「そうね、もうそろそろかな」
可菜「うん、これくらいでいいかな」
やってみたけど、木を糸鋸で削るような感じだった。
惠「う〜ん、やっぱ板チョコの方が良かったかなぁ」
惠ちゃんもやってみて違和感を覚えたようだ。
それにしてもチョコって固まってるとこげ茶色なのに、ナイフで削ったら薄茶色だった。
とりあえず、ゆっくり、ナイフで切るのがやりにくくなる大きさまで切っていった。
意外と面白いように切れるので、ちょっと夢中になっていた。
チョコはとりあえずにんじんのみじん切りくらいの大きさになるまで切ってた。
惠「確かにみじん切りとは言ってたけど、今思えば千切り程度で良かったかな・・・まぁでも同じか」
可菜「そういえば、どうする?未夢ちゃん。もっと凝ったのやるの?」
可菜「そっから先の状態に関しては、私は保証できないけど」
未夢「ううん、まずは基本でいいよ」
わたしは今まで凝ったものを作ろうとしすぎていた。
冗談半分なところはあったけど、ある程度マジで・・・。
それでも結局失敗して、市販ので妥協してしまっていた。
やり直すんだ。ここから。
今日は、わたしの想いを渡したい。
可菜「それで良し」
惠「工夫に挑戦するならまずはあたしぐらい理解してないと」
未夢「惠ちゃんは、何か工夫するの?」
惠「うーん、そうだね〜、色違いのもので模様付けるぐらいかな?」
惠「でもこれ言っちゃうと、未夢途中で真似したがってくるような気がするんだよな〜」
未夢「し、しないよ〜」
惠「ふ〜ん、どうだか?でも、余ったらうちらのお菓子用にやってもいいかな」
未夢「ホント?」
惠「そこ!いきなり脱線したがらない!未夢のそれができて、余ったら!だから!」
未夢「ひ〜ん。はーい・・・」
惠「あんまり、期待するなよ、あたしも初挑戦なんだから」
未夢「そうなの?」
惠「あたしは未夢とは逆で、あんまり凝ったのを作ろうと思ってなかったからね」
惠「でも未夢の話聞いてたら、何となくやってみようかな〜って、ノリで?」
未夢「そうなの?」
惠「だから、これはある意味未夢のおかげかな?」
未夢「いやそんな。わたし何もしてないし」
惠「確かに」
未夢「そこはフォローしてよ」
惠「あはは」
惠「とりあえず、チョコ溶かす用のお湯作るか」
鍋に水を入れ、火をかけて沸騰する辺りまで温めて、もう一つのボウルにお湯を入れた。
さらにその上に、チョコを入れたボウルを、お湯の張ったボウルに入れた。
可菜「これでよしね」
未夢「へぇ・・・」
可菜「さて、今からメレンゲを作るわ」
未夢「どれくらいかかるの?」
可菜「昔は手で混ぜてたから20分くらいかかってたけど、ミキサー使うなら比較的一瞬かな」
未夢「い、一瞬って、どれくらい?」
可菜「5分もかかんないと思う」
未夢「そーなんだ」
惠「未夢・・・あーた・・・もー少し女子力高めなさい・・・」
惠「じゃないと、西遠寺に嫌われちゃうわよ・・・」
未夢「あっはは・・・料理に関しては、彷徨の方が上手いから任せっきりで・・・」
惠「へぇ、そうなんだ?料理男子とか最高の彼氏じゃん」
惠「でもさすがに、お菓子作りとかまでは凝ってないでしょ?」
未夢「見たことはないけど、彷徨ならやりそうかも・・・」
可菜「それでも、お菓子作りくらいは、こっちのが上手くないとね」
未夢「・・・そうだね」
ちょっと闘志出た。
未夢「とりあえず、見て待ってるよ、そんな時間かからないなら」
惠「オーケー、じゃ、ミキサー準備するわ」
可菜「別に何か混ぜたりするわけじゃないけど、回転が高速だからすぐ終わるしね」
未夢「ミキサー内で生クリーム状化するってことは・・・取る時どうするの?」
未夢「どろっどろになっちゃうよ」
可菜「そんなに大量に要らないから、少し取れればいいよ、それで」
惠「洗う時、大変そうだけどな・・・」
未夢「わかった!」
惠「なんでそんな満足そうなんだ・・・」
未夢「なんか、楽しいね!」
惠「・・・そうだな、一人で黙々とやるよりは、いいかもね」
未夢「あっはは」
可菜ちゃんも、にっこりしてた。
惠「さてさて、とりあえず卵の白身だけ取り出しますか」
未夢「そういえば、わたしたち卵なんか買ってきてなかったけど、どこから?」
惠「冷蔵庫」
あ、そーか。
惠「ということで、白身取るわよ」
未夢「あれ、何これ?」
見ると、プラスチックのスプーンのようで、底の横に隙間があった。
惠「何って、卵黄身取り器よ・・・知らないの?って、正式名称はあたしも知らないけど」
未夢「どうやって使うの?」
可菜「真ん中の、底が深いところに向かって黄身を落とすようにするのよ」
惠「お椀に置いてやってもいいけど・・・そうだ、未夢これ持ってて」
未夢「は、はい」
惠「いくよー」
ぱかっ。
未夢「おぉー」
卵の黄身が真ん中に落ちると、白身の部分は隙間から溶け出すように落ちていった。
未夢「えと・・・これどうするの?」
惠「そうねー、貸して」
惠ちゃんは別のお椀に移したかと思うと、そのまま飲むようにして食べてしまった。
未夢「えっ・・・」
惠「はに?」
未夢「惠ちゃん、行儀悪いよ〜」
惠「ごっくん・・・仕方ないでしょ、今回は他に使い様もなかったし、何するにしてもめんどいし」
未夢「ていうかそのまま黄身だけ食べておいしいの・・・?」
惠「おいしいわよ。未夢も食べてみる?」
未夢「わ、わたしはいいです・・・」
惠「また今度機会があったらねー」
可菜「さて、白身と上白をミキサーに投入」
白身がつるっとミキサー内に入った。
軟体動物が巣に返ったかのようだった。
未夢「じょうはくって?」
可菜「上白糖、お砂糖よ」
未夢「なるほど」
惠「スイッチ押すよー」
未夢「おー」
ギュイーン・・・
未夢「おおー」
あっという間に生クリーム状になっていった。
未夢「昔は20分ぐらいかき混ぜてて腕が疲れてたと言うのに・・・」
可菜「科学の進歩はすごいわね。でもどちらかというとこれはアイデアかな?」
惠「・・・でもさー、なんか思ったけどさー」
未夢「うん?」
惠「もし混ぜるんじゃなくて生クリームで模様付けとかだったらさ」
惠「箱とかで持って行かないと、袋とかだったらぐちゃってなるよね」
未夢「・・・」
惠「・・・」
可菜「・・・」
惠「まぁいっけどね!」
未夢「そ、そだね!」
未夢「でもこれ、なんかまだ泡だらけじゃない?」
可菜「砂糖を分けて入れていくのよ」
それから何度か、砂糖を少し入れてはかき混ぜを繰り返して言ったら、泡が消えていった。
惠「未夢、舐めてみる?」
未夢「え?」
惠ちゃんが、ミキサーの電源を抜き、中のメレンゲを掬い取り、人差し指を差しだしてきた。
未夢「え・・・っと・・・うん・・・」
何となく断る事もできず、そのまま人差し指を頬張った。
惠「わぁっ」
惠「ちょ、ちょーっと、何してんのよ!」
未夢「え、え?」
惠「だーれがそのまま舐めろと言ったか!この部分取って味見してみる?って意味だったのに」
未夢「あ、ああ」
惠「まったく・・・もう・・・」
未夢「えと・・・ごめん・・・なさい・・・」
可菜「いえ、ありがとうござぁっす・・・!」
惠「・・・」
未夢「・・・」
1人、別の意味で腐っていた。
惠「もう、いいわよ・・・」
未夢「えと・・・うん」
惠「き、気を取り直して!で、どうなの?味」
未夢「うん・・・これ、もう生クリームだよ」
惠「あっはは。そだろね」
可菜「でも味と見た目はそっくりでも素材は違うから、今後、生クリームとしては使えないかな」
未夢「そうなの?」
可菜「劣化版だと思ってくれたらいいよ。壁にペンキ塗るのに、絵の具じゃ無理でしょ?」
未夢「うーん、なるほど」
わかったような、わからないような。
惠「んーじゃ、チョコに入れるか」
惠「ってか、未夢は結局何作るん?生チョコ?固め直すだけ?」
未夢「えーと、じゃぁ、生チョコ・・・?」
惠「じゃー入れるよー」
惠「てか作ってから聞いてたけど、未夢が生チョコって言わなかったらメレンゲ作り損だったな」
暖かくなって溶け始めているチョコにメレンゲを乗せるように混ぜた。
惠「未夢ホイップしていいよ」
未夢「う、うん」
泡だて器で混ぜた。
お湯で溶けていたチョコは物凄い柔らかくなっていて、すぐクリーム状になった。
チョコで最後の方に切ったのは固まりのものもあったけど、ほとんどがみじん切りだったからかすぐ溶け合った。
惠ちゃんは、トレイの上に買ったオーブンシートを敷いて、型をいくつか置いている。
それらにチョコを流し込んでみた。
未夢「おぉ・・・」
惠「ね?簡単でしょ?」
未夢「う、うん」
昔ある程度やったことあるはずなのに、久しぶりだからかドキドキする。
惠「じゃ、あたしもやろっかなー」
惠ちゃんも、それぞれのボウルに入れた溶けかかったチョコをホイップし始めた。
可菜ちゃんはメレンゲを入れていた。可菜ちゃんは生チョコを作るようだ。
惠「よいしょっと」
可菜「とりあえず固め直したい型に入れ直すのはできたね。私はやらないけど」
惠「じゃぁこれ、未夢冷凍庫によろしく!」
未夢「え、わたし?」
惠「せっかくだから、色々やってもらおうと思って」
未夢「人使い荒いなぁ」
バットを、備え付けの冷凍庫に入れた。
惠「さって、しばらく待ってなきゃだし、なんかお話でもしよっか」
惠「未夢は、なんで西遠寺好きになったの?」
未夢「ええっ」
可菜「いいですね」
未夢「唐突すぎでしょっ」
惠「いいじゃん。やっぱ恋バナっしょ。で、何でなの何でなの?」
未夢「もう〜・・・」
未夢「う〜ん、でも最初はサイテーなやつだと思ってたよ」
未夢「基本的にデリカシーないし、何考えてるかよくわかんないし・・・」
未夢「周りはクールだ〜とか、カッコイイ〜とかいうけど、よくわかんなかった」
未夢「でも、そだね、なんでかな。わたしにもはっきりとはわかんないけど」
未夢「近くにいてなお、何考えてるか良くわかんないから」
未夢「たまに優しくしてくれたりした時は、すっごい意外って言うか・・・」
未夢「よくよく考えてみれば、彷徨は基本的には他人にも優しいけど」
でも、相手がわたしの時ほどに、微笑みかけてたりはしなかったと思う。
未夢「意外にめんこいって言うか、苦笑いしながら去ってく感じ」
未夢「そんなところが面白いのもあるけど、大事な時には、頼りになるやつだよ」
惠「・・・」
可菜「・・・」
未夢「え、何、どうしたの」
惠「え、何、やばい」
可菜「めっちゃのろけね・・・」
未夢「話せって言ったの、どこの誰よ〜」
惠「未夢の、西遠寺への愛が伝わったわ」
可菜「うん、そうだね」
未夢「そんなでもないって〜」
惠「い〜や、あれは愛だね。なんか未夢、黄昏てた」
未夢「っそっ、そう?ほら!今度は惠ちゃんの番!」
惠「えっ、あ、あたし?」
未夢「そうだよ!わたしは話したんだから、はい!惠ちゃん!」
惠「そんなこと言っても、あたし、居ないわよ」
未夢「そんなことないでしょ!」
惠「あるわよ!」
未夢「やっぱりあるんじゃん」
惠「ないったらない・・・あれ?」
あれ?
惠「と、とにかく!あたしはないの!未夢のが聞きたかっただけなんだから」
未夢「え〜、そんなのずるいよ。じゃぁ今のじゃなくて昔のでもいいよ」
惠「いや、あたしはマジでないけど?」
未夢「え〜。じゃ、同じ女の子の先輩や後輩でもいいから」
可菜「いいから!」
惠「なんじゃそりゃ。って、可菜は何故か知らんが熱くなるな!」
可菜「ちぇっ」
惠「可菜も、なんかないのかよ」
可菜「私は、本があればそれでいいわ」
惠「なんだそれ」
可菜「将来は、部屋をパラダイスルームにしたいわ」
惠「なんだそれ」
同じ台詞が繰り返された。
可菜「好きな本を棚に敷き詰めるの。図書館のように」
惠「漫喫みたいな感じ?」
未夢「図書館のようにって言ってるのに」
惠「今もそうなんじゃないのか?」
可菜「意外とそうでもね。お金は使うし場所は取っちゃうし」
惠「お金は将来貯めればいいけど、場所はどうしても取っちゃうじゃんか」
可菜「大きい家に引っ越すとか」
惠「意外と夢がでかかった・・・」
惠「さて、もう固まったかな」
チョコの様子を見に行く。
惠ちゃんが持ってきた、バットの中の様子を見た。
型の中のチョコは、スライムのようにぷにぷにしていた。
惠「うーん、まだ早かったか」
可菜「・・・うーん、冬だし、常温で時間かけたほうがいいかもね」
惠「そうか?また恋バナするか?」
未夢「も、もうそれはいいのっ」
惠「未夢のなら聞いてもいいかなーと思ったけど・・・なんかやっぱパス」
未夢「えー?」
惠「だって、惚気られるのは別にいいけど、その後が・・・」
未夢「後が?」
可菜「・・・!」
可菜ちゃんが息を切らしながら目を輝かせていた。
未夢「っていうか、それ、恋バナしてないじゃないですか」
未夢「わたしが一方的に話してるだけじゃないですかラジオですか」
惠「そう!未夢の恋バナラジオね」
未夢「そんなに面白い話出てこないよぉ〜」
実はたくさんある気もするんだけど、理解されないだろう。
例えされることができたとしても、あれは今わたしの心の中だけに押し留めておくものだと思った。
惠「でも、なんか良いなぁ〜」
未夢「何が?」
惠「好きあってるって言うか」
未夢「今の話の中に、彷徨がわたしを好きだっていう話はアリマセンでしたが・・・」
可菜「え、でも、好きでいてくれてるんじゃないの?」
未夢「よくわかんない」
可菜「キスとかはもうした?」
未夢「えと・・・」
こくり。
可菜「何!どっちから?向こう?未夢?」
こ、怖いよ可菜ちゃん。
明後日の方向を指差した。
惠「じゃぁ好かれてるんじゃん。何が心配なの?」
惠「ヤリに来ただけとか?」
未夢「ええと、よくわかんないけど、そう言うんじゃないと思う。ただ・・・」
傍にいるからこそわからない。
彷徨は、本当にわたしのことが、好きなのかな?
惠「まぁなんにしても、西遠寺は素敵そうな人ではあるよな」
未夢「・・・」
可菜「何?あたしの彷徨は渡さないっ!とか?」
未夢「何も言ってませんっ」
可菜「やっぱ未夢ちゃんは可愛いわね」
未夢「な、何がっ」
惠「まぁな。恋する乙女は輝いてるって言うか」
未夢「べ、別に何もしてないよ」
未夢「惠ちゃんや可菜ちゃんも可愛いよ」
惠「はいはい」
未夢「何よ〜」
可菜「まぁまぁ。チョコの様子を見ましょう」
惠「うん、もうこれくらいでいいかなぁ」
バットから取り出して、四角に切る。ココアパウダーをまぶして終わり。
惠ちゃんのは大きな音符型一つに決まっていたから、取り出してそのままデコレーションしていた。
可菜ちゃんは、普通にハート。と、後何故か髑髏型を買っていた・・・。
未夢「え、可菜ちゃん、何それ・・・」
可菜「髑髏型」
それは見ればわかるけど。
惠「一つ味見。うん、こんなもんでしょ。未夢も味見したら?」
未夢「わ、わたしはいいよ・・・」
なんか怖い。
惠「相手に毒味させる気ね?それもいいかもね」
未夢「そ、そんなでもないけど・・・」
可菜「明日が楽しみだね、未夢ちゃん」
未夢「う、うん」
なんだかんだ作った。後は渡すだけだ・・・。
分岐!R=4だったらチェック002に飛ぶ
次の日へ
チェック002/////////////////////////////
未夢「そうだ!普段お世話になってる、烈くんの分も作ろう」
惠「おやおや、これは律儀なことで。普段世話してるの間違いでは?」
可菜「未夢ちゃんは優しいね」
未夢「そんなことないよ」
オーバーに喜ぶ烈くんの顔が目に浮かんだ。それだけで面白おかしかった。
未夢「きっと喜ぶよ」
惠「そらぁなぁ。しかし、勘違いしてしまうかもな」
未夢「何が?」
惠「・・・未夢よ、その鈍感さは、ある意味可愛さでもあり、そして罪だ」
可菜「うふふ。そうだね」
未夢「?」