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====================================== 彷徨と遊園地 ======================================
朝に用事のない日だからか、スイッチがオフになっていたのか、いつもより一時間遅く起きた。
今日は彷徨とのデートの日。
天気は晴れている。朝は寒いけど、日中は暖かいだろう。
こんなに素直にわくわくするのはどれぐらいぶりかわからない。
あー、彷徨には、西遠寺に住んでいた時に私服ほとんどバレてるもんな。
どの服で行こう!?うぁー、迷う。
これか?それともこれか!?
自分を着せ替え人形みたいに色々着替えてみたが、なんかいつも通りすぎてしっくり来なかった。
迷っているうちに時間が過ぎていく。
とりあえず朝ごはんを済ます。
そしてシャワーを浴びた。眠気覚ましにもなるし、体が暖まる。
布団で暖まりすぎた体の寝汗を流し、体を清め、髪の先まで洗った。
髪を洗うと爪の中も綺麗になる。
部屋に戻り、再び服選定をする。
候補の服を並べてみた。うーむ、どうしよう。彷徨はどんな服が好きかな?
彷徨はあんまり好みとか言わないから、数年もいるのに何気にわかんない。
それとも、どんなわたしでもオッケーか?ねぇオッケーですか?
きゃー彷徨のエッチ!
・・・いかん、自惚れてる場合じゃない。まさかパジャマで行くわけじゃあるまいし。
それでもオッケー出たら逆に引くけど。ってゆーか周りの目が恥ずかしいわ!
あー、なんか彷徨のせいで、何もしてないのに疲れた。どうしてくれるのか。
でも、それがきっと、恋してるということなのだ。
信じ合える人のためにあくせくすること。それは幸せな気分になる。
もしかしたら周りから見たら、バカみたいかもしれないけど、けどこの気持ちは抑えられない。
だって、好きなんだから。
彷徨も、そう思ってくれていたら嬉しいな。
いや、むしろそうだ!きっとそうだ!
彷徨はわたしにメロメロだ!・・・といいな。
ループした。
いつも惠ちゃんや可菜ちゃんにからかわれていることを思い出した。
未夢「そうだ!」
思わず声に出てしまうほど閃いて、自分でも驚いた。
去年、惠ちゃんたちと成り行きで安売りデパートに突撃した時のことだ。
勢いで衝動買いさせられた服が一つだけあったことを思い出したのだ。
惠『可愛い可愛い。あいつきっとデレる』
可菜『西遠寺くんはあんまり顔に出さないけど、きっと喜んでくれるよ』
二人に後押しされて買ったのだ。着るタイミングがなくて、奥で眠ってた。
着てみると、確かに今日のような日にはしっくり来る気がする。
だけど、着慣れていないせいか、なんだか違和感がした。
未夢「彷徨喜ぶかな・・・」
フリフリのワンピースだ。
でも外にいる間は寒いから上着をつけているので見られない。
見られるとしたら食事する時に脱ぐ時くらいだ。加えて喜んでくれるという保証もない。
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食事で思い出した。先週のプリンの約束ほったらかしされてる!
あーもう、色々上手くいかないかもな予感、っていうか上手くいってなかった!
イラっとしてしまった。
はぁ、疲れた。一人で喜怒哀楽、思いが脱線しまくった。わたしこんなキャラだったっけ。
なんでこうなったんだっけ?
そうだ、とにかく服選びだ!
チェック009/////////////////////////////
とりあえず、これに決めよう!これでいくしかない!覚悟を決めた。何のかは自分でもよくわからない。
自分の考えと思いをまとめられずにいた。
もう11時半だ。朝ごはん食べてお風呂入って、服選んだだけで何もしてない。
普段は学校の制服だから選ばなくて楽だな。
次は髪の手入れをしなきゃ。
髪は中学時代から、ロングヘアーを保っている。
いつしか髪を切ろうとした時に、彷徨とこんな話をしていた。
彷徨『急にハゲられたら反応に困る。お前はそのままでいいよ』
未夢『そんなに切るわけないでしょっ』
未夢『彷徨こそ寺の息子なんだから、丸めちゃえばっ』
彷徨『俺はいーのっ。それとも、そうしてほしいか?』
未夢『・・・想像したら違和感過ぎた。そのままでいいよ・・・』
彷徨『だろ?』
あれは暗に、彷徨がロング好きって読んでいいのかな?
こういう肝心なところは、以心伝心しなかった。
もしくは、しないから面白いのかもしれない。
続いて、マニキュアとか塗ってみた。
中学時代は、やろうとか思えるほど落ち着かなかった。
やったのは、小学生のとき、ちょこっとくらいか。
薄く透明な色を少しだけ塗った。ピカピカ、ツヤが出た気がする。
ママの化粧品を少しだけ借りた。
まだ必要ないかもしれないけど、してみたいのでしょうがない。
少しだけ、今は大人の仲間入りをさせて下さい、そんな気持ちだ。
準備は万端だ!のはずだ!
朝ごはん食べた、シャワー浴びた、服選んだ!
お財布、ケータイ!充電おっけ!バッグその他備品諸々!
いつでもかかってこい!
12時15分。・・・今出ても微妙に早い。
まぁいっか。ゆっくり余裕もっていくかな。晴れてるし、いつもよりは多少暖かいだろう。
日向ぼっこしながら、周りの風景楽しんで行こう。
未夢「行ってきまーす!」
未来「はいはい。気をつけて行ってくるのよ」
バタン。
世界が違って見える。青い空がありがたい。
未夢(今から行くよー)
彷徨(おっけー)
一言メールを打っておいた。すぐ返事がきた。
彷徨もおっけーらしい。
今更すぎるけど、彷徨とデートらしいデートしただろうか?いや、ない。
中学3年の時は気恥ずかしさと高校受験だったし、高校に入って一年間は慣れずにどたばたしてた。
それに、中3と高1では別クラスだったし、彷徨は部活に精を出してた。
わたしも勉強に、彷徨に追いつくのが精一杯だったのだ。
落ち着いてみれば、もうすぐ大学受験。
わたしたちは、恋人らしいことを何一つできていなかった。
あれから3年。時間はあっという間に過ぎていった。
何かしていた方が過ぎるのが早いと感じる時もあるけど、後になると逆に思える。
語れるほどの濃い記憶と、空白の過去。
ただただ平和に、何不自由なく普通に過ごしてたあの日に、満足していた。
ダメだったのかもしれない。
貴重な、失敗してもいいチャンスを逃してしまったのかもしれない。
自分の心の準備をしきれなかったあまりに。
わたしたちは、もっとお互いを求めあうべきだったろうか?
でも、今からでも充分間に合う。
惠ちゃんや可菜ちゃんは面白おかしくわたしを急かすけど、背中を押してくれていたのかも。
それを、無下に無意識に払い落としてしまっていたのかも。
ごめんね。でも、ありがとう。
わたしは、わたしなりのスピードで歩んでいくよ。
未夢「あれっ、彷徨いない・・・」
いやっ、そうだった。待ち合わせは現地集合だ。自分で言ったのに。
学校に行くのではなかった。
いつもの記憶が当たり前のようにこびりついていた。付きすぎていた。
思わず声に出してしまっていたし。
一瞬、哀愁さえ感じた。
当たり前にいるものが、いないと気づいた瞬間。何らかの喪失感にさえ見舞われるのだ。
普段彷徨とは自然に接しているけれど、わたしはそんなに人見知りしないわけではない。
まぁ、中学時代に色々精神的に鍛えられはしただろうけど。
元々女子中だったわたしは、男子に免疫がなかった。
それが、無理やり男の子と住むことになった。
免疫がないといっても、別に恐怖症とかじゃない。
単に自分から進んで接しなかったし、知らないだけだ。
でもそこで知ったのは、家だからかぶっきらぼうな態度のやつで。
ありえないと思った。それが学校ではアイドル並の能力と人気。
ダメなとこから知ったわたしは、どこがいいの?と思っていた。
まぁ、黙っていればいい男に見えたかもしれない。
あや、普段から黙っているか。
一緒に住んでいたから、話さざるを得なかったけど。
だから、一緒に住んでいなかったら?
ぶっきらぼうな彷徨も、意地悪な彷徨も。
わたしが風邪を引いた時に優しくしてくれる彷徨を、知ることもなかった。
今こうして、一緒になろうとすることもなかった。
みんなと同じように、きっかけもなく遠目で眺めているしかなかったかもしれないのだ。
神様がわたしたちを会わせ、天使が、わたしたちを繋いでくれたのだ。離れないように。
あり得ない。有難い。
もう二度とこんな奇跡は訪れない。
だからわたしは、これを失う訳にはいかない。
わたしの未来を守らなければ。
モモンランドは、西遠寺から近い。歩いていけるぐらいだ。
未夢「えーと、彷徨は・・・」
まだいないようだ。
時刻は12時40分。さすがに早すぎたようだ。
約束時刻を過ぎて待つのはあまり良い気分じゃない。
けど、約束時刻前に好きな人を待つ時間というのは、何か表現しにくい特別な気分になる気がするのだ。
道ゆく人を見る。今か今かと待ち人を探す時は、ワクワクする。
あ、今の人は彷徨と似てたかも。
そんな風にして遊んでしまうのだ。
来た。
未夢「彷徨ーっ」
彷徨はすでにこっちに気付いていたらしい。
彷徨「珍しく早いな。こっちも早く来たのに。待ったか?」
未夢「珍しく、は余計っ。余裕持ってきたんだよ」
決して、楽しみが待ちきれなくて、とは言えない。
彷徨「まぁそりゃそうだよな。言い出しっぺに遅刻されたらたまんない」
またそういうことを。
彷徨「いくかっ」
彷徨も楽しみでいてくれたのかな。
未夢「うんっ!」
ゲートをくくった。
未夢「まず、何から乗ろうっ?」
彷徨「っていうか俺腹ペコ」
そうだった。お昼はここで食べるんだった。
彷徨「忘れてたか〜?」
未夢「そそそそそんなことないよっ」
彷徨「どもるなよ・・・」
未夢「うるさいっ。あー、お腹空いた!」
彷徨「仕方ないな」
未夢「あそこにしようっ」
モモンレストランと書いてある。
彷徨「名前がありきたりすぎてパス」
未夢「ええっ!彷徨の許可制?」
彷徨「じょーだんだよ。ほら、腹減ってるんだから、行くぞっ」
未夢「もう。あ、待ってよ」
未夢「あー、何にしようかな」
彷徨「とりあえず未夢のおごりな」
未夢「いきなり何の罰ゲームよっ」
彷徨「じょーだんだよ。お、あそこ空いてるぞっ」
もう。今日は彷徨のからかいが酷いな。
席についた。メニューもあるが、バイキング制でもあるようだ。
未夢「へー。珍しいね。これ、どうやって頼むのかな?」
彷徨「呼んで普通に頼めば、店員さんがメニューの組み合わせを持ってくるんじゃないか?」
未夢「店員さんじゃなくてもいいんだよね?」
彷徨「って、じゃあ誰がやるんだよ。まぁ、自分がメニュー見ながら選定すればいいけど・・・」
未夢「彷徨やってよ〜」
彷徨「なんで俺がっ。めんどくせーよ」
未夢「え〜?」
彷徨「くっ・・・仕方ないな。バイト代高いぞ」
未夢「うふふ。ありがと」
ここぞとばかりにいつもの仕返しをしてみた。
未夢「じゃあ、わたしが彷徨の分を取ってきてあげるよ」
彷徨「なんでだよっ。いいよ別に」
未夢「いいのっ。わたしがしたいんだから」
彷徨「はいはい。言うこと聞かないんだから。勝手にしなさい」
未夢「はーい」
彷徨「その前に、メニュー選んでくれよ」
未夢「え、あっ、そうだった」
彷徨を待ちぼうけさせるとこだった。
彷徨「お前これなんかお似合いじゃないか?」
彷徨が指差す先は、お子様ランチ。
彷徨「プリンの上に立ってる旗がポイントだ」
未夢「殴る。ピースで殴る」
彷徨「目はやめてくれっ」
未夢「あっはは」
彷徨「早く決めてくれ・・・」
未夢「ああ、はいはい、ごめんごめん。カルボナーラとサンドイッチのセットでいいよ」
彷徨「お飲物は如何致しますか、未夢お嬢様」
どきっ。
笑顔にやられた。
未夢「ふっ、ふざけないでっ。フリードリンクなんだから、ああ後で自分で取るわよっ」
彷徨「かしこまりました、未夢お嬢様」
全く、急にふざけだすんだから。彷徨は。
さて、わたしも彷徨のためにものを取ってきて上げなくては。
普通にお互いに自分の取ってくればいいのに。
未夢「えーと、何にしようかな」
彷徨は今、何が食べたいかな?
聞いたら、なんでもいいよ、といいそうだ。
色々選んであげるのが楽しい。
わたしも、彷徨に選んでもらったら良かったかな。
もうメニューを決めてしまったので、何が来るかわかってしまう。
食べたいものが期待通りに来るのもいいけど、何が来るかわからずに期待するのも良さそうだった。
未夢「あ、これなんかいいかも」
こんなの置いてあったんだ。
かちゃ。
空白の席に、彷徨の食べ物を置いてあげる。
未夢「・・・」
虚しい。彷徨早く戻ってきて〜。
メニューなんだからすぐ戻ってくるはず。待ち遠しい。
今か今かと待ちわびる。
彷徨「お待たせいたしました、未夢お嬢様」
どきっ。
ぼーっとしてたから、突然の声に驚いた。加えてわたしの名前を呼ばれたから。しかも変な風に。
彷徨「カルボナーラとサンドイッチのセットでございます」
未夢「うむ。苦しゅうないぞ。表を上げい」
彷徨「・・・未夢もノリノリじゃねーかよ」
あ、いつものに戻った。
未夢「なんだか、学芸会みたいで楽しくなっちゃって」
彷徨「全く」
未夢「ん?」
頼んだ二つ以外にもう一つ何か乗っている。
カスタードプリンだ!
未夢「彷徨、これ・・・!」
彷徨「メニューの逆側にあったから時間かかったよ」
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彷徨「前に約束したしな」
あの時の約束を、まだ覚えていてくれたんだ。
わたし本人が忘れかかってたのに。
彷徨「忘れないよ」
ミニサプライズだった。
未夢「・・・うん。ありがとう」
チェック010////////////////////////////////////
彷徨「さて、俺のは・・・?お?グラタン?」
未夢「かぼちゃのグラタンとかぼちゃのコーンスープだよ」
彷徨「おー!かぼちゃづくしのコース!気が利くじゃん」
彷徨は異常にかぼちゃ好きだ。彷徨じゃなきゃこんなに喜ばない。
加えて、かぼちゃじゃなきゃ彷徨は喜ばないのである。
うっ。今かぼちゃに嫉妬した。
かぼちゃになりたい。
未夢「あとサラダ。野菜を食べなさいっ」
彷徨「かぼちゃは充分野菜だよ。いただきます」
未夢「どうぞ召し上がれ。わたしもいただきます」
かちゃ。彷徨がグラタンを食べるのを見届けた。
彷徨「うん、美味い」
続いてスープを飲む。
彷徨「うん、こっちも美味い」
未夢「もう、わたしが作ったんじゃないんだから」
カルボナーラを食す。
彷徨「未夢もこれくらい上手くなってくれ」
未夢「スイマセン・・・」
彷徨「あっはは。期待してるよ」
彷徨は優しそうに言った。
未夢「うんっ」
未夢「それにしても、ただのかぼちゃのはずなのに、そんなに美味しそうに食べられるとさ」
未夢「どんなに美味しいのかと思ってしまうよ。彷徨、CM出られるんじゃない?」
彷徨「出られないよ」
未夢「あー、わたしもそれ取ってくればよかったかな」
彷徨「じゃあ少し食うか?」
未夢「え?」
彷徨は、グラタンからスプーンで少量をすっくとすくった。
そしてわたしの口元に差し出す。
ええええっ!か、間接キスになっちゃうじゃんか!
彷徨「ん?ああ・・・昔一回直接してるんだからいいじゃないか」
ぽーっ!
頭の中の熱が機関車のように蒸発した。
未夢「は、恥ずかしいこと言わないでよっ!彷徨デリカシーなさすぎ!」
彷徨「早くしてくれー。手が疲れた」
ウソだっ。
しかし彷徨は手を引っ込めようとしなかった。
え、ええ〜い。ままよ!
ばくっ!
彷徨「お、おおいっ、そんなにがっつくなよ」
未夢「ん」
もぐもぐ・・・ああ、これが本場のかぼちゃ料理か、そんな勉強になるような感想が過ぎった。
彷徨「な、美味いだろ?」
笑顔で問われる。
未夢「まあ、そう聞かれると、そうね。美味しいわ」
あと、別の意味でもおいしかった気がした。
未夢「あー、お腹いっぱい!」
カルボナーラとサンドイッチ、考えてみれば、結構なカロリーだ。
加えて食後のデザートを今から食す。
彷徨「未夢、意外と食べるな・・・」
未夢「デザートは別腹よ!」
加えて、待ち望んだプリン!
別にその辺のコンビニでいつでも買えた。
でも、彷徨がくれたということが、大切なのである。
彷徨「プリンで笑顔が買えるとは、安いな・・・俺も甲斐性がないよ」
未夢「彷徨がくれるプリンなら何でもいいよ!」
彷徨「そ、そうか。プリンに限定されたら、なんでもと言われても幅はたかがしれてるだろ」
未夢「そんなこといったら、彷徨のかぼちゃ好きだって似たようなものじゃない」
彷徨「まあな・・・」
未夢「でしょ・・・あれ」
彷徨「どうした?」
未夢「なんか、いつものプリンじゃない気がする。どちらかというと・・・」
彷徨「気付いたか。そう、かぼちゃのカスタードプリンだよ」
未夢「やっぱり」
彷徨「ダメだったか?」
彷徨の少し不安そうな顔は珍しい。
いじめちゃえとも思ったけど、彷徨が選んだプリンが美味しかったのでその気が失せた。
それと、彷徨のかぼちゃ好きも悪くないなって思えたのだ。
未夢「ううん、そんなことないよっ」
色んな意味で美味しかった。
彷徨「俺にも一口くれよ」
未夢「えー。自分で取ってきなよ」
わたしのプリンの危機である!
彷徨「いや!未夢よ、そのプリンはもはやこの世の一つしかないのだよーっ」
未夢「何それっ」
なら尚更渡すわけにはいかない。守らなければ。
彷徨「ということで、寄越せっ」
未夢「きゃー、わたしのプリンがっ」
ぱくっ。
プリンの入れ物も天高く上げたが、スプーンの上のものを取られた。
未夢「っ」
彷徨「うん、かぼちゃだったらプリンも悪くないかもな」
未夢「わーっ!」
また間接キス!
未夢「彷徨のばかーっ!ヘンタイ!不潔!もう食べられないじゃないーっ」
彷徨「え、じゃあこっちのて食べればいいじゃないか」
スプーンを差し出された。
未夢「それさっき彷徨がグラタン食べてたやつでしょーがっ」
彷徨「ありゃ、やっぱダメか」
未夢「うう・・・」
もう、彷徨なんであんなことやるかな・・・
彷徨「わかった。ごめん。悪かったって。泣くなよ」
彷徨なんか知らないっ。
彷徨「わかったよ。それ俺が食べて、新しいの持ってくるから」
ぴくっ
ばっ!
未夢「持ってかれるぐらいなら食べる!」
がつがつ!
彷徨「結局食べるのかよ・・・」
でも、どこかほっとしたのだった。
彷徨はちゃんとわたしを求め・・・いざとなったら優しくしてくれるのだ。
未夢「彷徨だったら・・・わたしのプリン、少しだけ分けてあげるよ」
差し出すと、彷徨は少しびっくりした顔になったけど、すぐ笑顔になった。
彷徨「いただきます」
そして、しっかりわたしの手を取って、スプーンの上のプリンを食べた。
彷徨「あたっ。スプーンが歯に当たった」
未夢「あはは。落ち着いて」
彷徨「うん、美味い」
未夢「でしょ?」
彷徨「もう一杯」
未夢「ばかっ。調子に乗ってもダメっ」
彷徨「それは残念だ」
彷徨は残念そうに、しかしすぐ身を引いた。
未夢「もう勝手に取らないでね」
彷徨「はいはい」
彷徨が使ったスプーン・・・
それを使い、最後の一口を食した。
唇についたプリンのかけらを舌ですくい、完食した。
かぼちゃとプリン。相性は悪くない。
また彷徨と近づけたような、そんな気がした。
彷徨「プリン代は俺のおごりな」
未夢「え、悪いよ」
彷徨「いや、俺が勝手に取ってきたんだし」
分岐!U=0だったらチェック011に飛ぶ
彷徨「約束もあったしな」
チェック011////////////////////////////
そういうことなら。
未夢「ごちそうさまでしたっ」
ぺこっ。頭を大げさに下げた。
彷徨「あ、未夢」
未夢「ん、何?」
彷徨「顔に汚れが・・・」
未夢「え、どこどこ?」
彷徨「あ、元々か」
未夢「つまようじで首を刺してあげましょーか?」
彷徨「うーそだよ。おっかねえな。ほっぺに食べかすがついてるんだよ」
未夢「ほんと?」
彷徨「待て。俺が取る」
未夢「もう。わたしはそんな子供じゃ・・・」
ちゅっ。
暖かい湿っ気が頬に触れた。
彷徨「かぼちゃプリンの味。ほら綺麗になった」
未夢「ぎゃー!」
人前でっ!
彷徨「お、落ち着けって、未夢っ」
店員「あのーお客様、お早くお勘定の方を・・・」
彷徨「あ、詰まってた」
未夢「もー信じらんないっ!ばかたれ彷徨っ」
彷徨「悪かったって。もうしないっ」
もうしないと言われると寂しいけど、せめて人前では・・・恥ずかしいから。
未夢「・・・ほんとでしょーねっ」
彷徨「本当だってっ」
未夢「全くもう」
未夢「ほら、乗り物に乗ろうぜっ」
わたしの機嫌を乗り物で誤魔化す気ね。
そんな子供騙しには引っかからないんだから。
未夢「わーっ」
デレてた。
もう前のことなんかどうでもいい。
彷徨「自分で言っといてだが、現金だな・・・」
コーヒーカップに乗ってぐるぐる回るあれだ。
わたしたちは今、それに乗っている。
彷徨「ほらっ、回れ回れ〜っ」
未夢「わ〜頭が〜!」
彷徨「あっはは」
彷徨「あ、もう終わりみたいだぞ」
ああ・・・早く出口へ・・・。
未夢「ああああ!」
彷徨「おっと」
とさっ。
まっすぐ正確に歩けず、一回転したあげく彷徨に抱きかかえられた状態に。
未夢「もうっ。わたしを殺す気かーっ!ぐるじひ・・・吐きそう・・・」
っていうか、食べたばっかりにあんなん乗る彷徨の気がしれない。
彷徨「あっははっ。悪かったって。じゃあ次はあれ乗ろうぜ。立てるか?」
未夢「よっと。・・・ああああ!」
なぜか横に歩いていく!
どんっ
彷徨の肩にぶつかった。
未夢「あああ、ごめんっ」
彷徨「はいはい」
まっすぐ歩いてるつもりなのに、いやがらせで彷徨を押してるかのように歩いてた。
まるで、強い磁石で引っ付いてしまったかのような。
接着面の肩は、火傷しそうと思えるくらい熱かったけど、離れられなかった。
未夢「ああ、落ち着く・・・」
メリーゴーランド。このゆるやかな揺れとスピードが、さっきと比べて破格的に癒し系だ。
わたしは羊に抱きつくように乗っている。
さっきの余韻のせいで、微妙に体が傾いているような。平衡感覚がズレた?
未夢「ああ、彷徨える子羊よ・・・お主はどこへゆくのじゃ?」
当然の如く、返事はなかった。
壊れるまで繰り返し回るのだ、彼らは。
このメリーゴーランドで。
彷徨「おーい、捕まえてみろよー」
未夢「無理よー、おんなじスピードなんだからっ」
彷徨は馬に翼と角が生えた動物に乗っている。
ペガサスなのか、ユニコーンなのかわからない。
作った人は何を間違えたのだろう。
それとも、オーナーの遊び心だろうか。
あー。羊に倒れるように抱きつく。
がちっ!
ゴゴゴゴ・・・
羊のスピードが早くなった!
未夢「ひゃー!なにっ!?」
馬のお尻にぶつかるっ!
がちゃっ!
未夢「・・・」
彷徨「・・・何やってんだ?」
未夢「知らないわよっ」
彷徨「なんかホントに追いついたな。未夢、魔法使いだったのか?」
未夢「ちがっ、これは違うの!なんか羊のほっぺにスイッチがあって、間違って押したら・・・」
彷徨「自分で言っといてなんだが、連結されても困るんだけど・・・」
未夢「うん、わたしも・・・」
彷徨「・・・」
未夢「・・・」
かなりシュールだった。
未夢「あー、楽しかった!」
彷徨「あっはは。ある意味面白かったな。オーナーさんの粋ないたずらか?」
メリーさんは大地を行く。正にメリーゴーランドそのものだった。
彷徨「よしっ、落ち着いたところで次あれ乗ろうぜ!」
ジェットコースター。
未夢「むり、ムリ、無理!人間あんな高いところ行く必要ないから!」
彷徨「馬鹿者、あれが一番面白いんだぞっ、楽しみにしてたんだから」
彷徨が楽しみだったのは興味があるけど、あれは無理!意味不!
ずるずる。
未夢「ぎゃー、人さらいー!誰かたーすけて〜!」
彷徨「服汚れるぞ」
未夢「ああ・・・わたしが何したっていうのよ・・・神様・・・」
答えてくれない。なんと無慈悲な。
彷徨「ああ、どなたかこの迷える子羊をどうか御心で救いたまえ・・・」
未夢「誰のせいよっ。むしろあんたが助けなさいよっ」
もう、半泣きである。
彷徨「無理だ。俺も捕まえられた」
安全バーを肩にかけ、ベルトをし体を椅子に固定させた。
未夢「むしろ、自ら捕まりに行ってるでしょうがっ」
彷徨「あははっ。ばれた?」
未夢「バレバレよ!」
まったく、物好きにもほどがある。
ゴロゴロゴロ・・・
未夢「ああああ・・・!」
彷徨「ほらもう動きだした。大人しく観念しろって。しゃべってると舌噛むぞ」
一体全体わたしが何をした!
暴走列車はギロチンへの道を走り出した!もう止まらない!
未夢「ああ・・・パパ・・・ママ・・・産んでくれてありがとう・・・さようなら」
念を唱え始めた。
彷徨「そんな大袈裟な」
ああ・・・あれもしたかったこれもしたかった・・・昔の記憶が走馬灯のように流れてく。
なんで人はマッハで死にたがるのか、理解不能だ。
ゴゴゴ・・・
列車は頂点へ向かう。
未夢「ああ、わたし、彷徨に出会えて・・・すごく・・・」
彷徨「未夢・・・」
未夢「最悪だったよ・・・」
彷徨「傷付くわ!」
ゴ・・・
あ・・・もう・・・
未夢「かぁ〜なぁ〜たぁ〜の〜・・・」
ガァァァァーーーーッッ!!!
未夢「タコぉぉぉぉぉーーーー!!!」
彷徨「大丈夫か?未夢」
未夢「はぁっ・・・はぁっ・・・」
あの腸が浮くような感じ。悪夢で見るような、ビルから落ちた時のような錯覚。おぞましい。
夢では、背が伸びている瞬間だとされるけど・・・
あれは違う!ただの罰ゲーム!
彷徨「わかったわかった。早く次のところへ逃げような」
未夢「・・・ざ、ざんねーん!わたしジェットコースター大好きだったのになー!」
見栄を張る。まいってばかりいたらカッコ悪い。
彷徨「マジで!?じゃあもう一回」
未夢「だー、もうツッコめー!ボケは二人もいらんわ!」
彷徨「またまたそんなに照れるなよ」
未夢「つまようじで全身ハチの巣にしてくれる!」
彷徨「そのネタ引っ張んな!」
彷徨「燃えてしまった心臓を冷やすにはここがうってつけです」
未夢「何よもう、ここは・・・」
おばけやしき。
未夢「彷徨、あんた、わたしに恨みでもあんのっ」
泣けるし怒れるし。
彷徨「ないない。大丈夫だって。何かあったら俺が守るから」
どきっ。
彷徨、卑怯よっ。
未夢「くすん」
彷徨「ほらほら、入るぞ〜」
中は真っ暗である。何の光もない。
普通に危ない。蹴躓く。
彷徨の袖をしっかり掴みながら、小股で進んで行く。
未夢「彷徨ぁ〜、何もないよね?」
彷徨「ああ、何もない」
逆に何もなさすぎて余計に怖いんですけど。
建物も半ば、冷蔵庫にでも入ったかのような冷気を感じる。
雰囲気に合わせて暖房つけてないのかな?待ってる人、寒そう。
彷徨「なんだこれ?」
未夢「なになにっ、何かあったのっ?」
わたしは後ろを気にしながら歩いてるから、前は彷徨に任せっきりだ。
未夢「ぶっ!」
何かが顔にぶつかった。
未夢「った〜。びっくりした。もう、なんなの、よ・・・」
気付いたら、ヘビ。
未夢「ぎぃやあぁーーー!?ヘビーーー!!」
彷徨「おおいおい」
がしっ。
逃げようとしたら、お腹を捕まえられ引き戻された。
反動で一回転し、彷徨と抱き合う形になった。
顔が近い。
どっくん。どっくん。
彷徨の鼓動が聞こえる。もしくは自分のか?
彷徨「大丈夫か?」
きゃー。そんなに顔近づけて話さないでっ!
彷徨「あっはは。そんなビビるなって。おもちゃだよ」
そっと見ると、箱からバネで飛び出している、妙にリアルなヘビのおもちゃがあった。
未夢「おばけじゃないでしょっ」
ばしっ。
ある意味本気とも取れないノリツッコミで、そいつを叩き落とした。
どさっ。
彷徨「おいおい、壊すなよ」
未夢「はぁっ、はぁっ」
半泣きである。心臓の鼓動が激しい。
寿命が3年縮まった。自分でいうのもなんだけど、具体的だ。
彷徨「本物のヘビなんて出るわけないだろ。冬だし」
未夢「そんな理屈はいいのっ!」
あんなの急に見せられたら、思考が停止するじゃないの!
未夢「彷徨は抱きついてくるしっ」
彷徨「って、お前あのまま放っておいたら勝手にどっか行ってたろ」
抱きついてって、否定せんのかい。
むしろ、その前に密着してて抱きついてたのは、わたしだ。
まぁ、彷徨はわたしの混乱を沈め、助けてくれた。
混乱させたのも彷徨だけど。
未夢「あーもー、彷徨、役に立たないっ!出てくっ!」
彷徨「おーい、そっち入り口だぞー・・・」
何か聞こえた気がしたけど無視した。
全くもう、彷徨はっ。わたしをからかって!
あだっ!
壁にぶつかった。
あれっ、こっちじゃないのかな?行き止まりだ。
こっち?
どんっ。
ぶっ。
真っ暗で何も見えない。
っていうかやばい。ハリボテ壊しそう。
がしっ。
未夢「うっ」
何か、手っぽいものに足を掴まれた!
ゾンビ「あ・・・あう・・・」
腐った人型が、こちらを見上げていた。
さぁーーーっっっ!!
それが何かを感じ取った瞬間、血の気が引いた。
何も考えられないけど、先に動いてた。
未夢「ミラクルシューっ!」
どかっ
蹴り上げた。
めきっ。
ゾンビ「ぐあっ」
そしてダッシュで奥へ引き返し?た。
やばっ、蹴った時、普通に人のアゴを蹴りあげちゃったことに気づいた。
めきっていってたし。イナバウアーぐらい反り返ってたし。
つか、なんで最初の方で出会わなかったの!?
彷徨が自然と、無意識に誘導してくれたんだろうか。
未夢「はぁっ、はぁっ」
冬に嫌な汗が流れる。加えて寒さによる体温低下で心臓への負担も大きい。体力が減る。
だけど体は、状況を読み取り緊急事態と感じているのか、体感は暑いままだ。
どかっ。
未夢「いたっ」
どさっ。
思わず声に出るほどびっくりした。
何か、しっかりした人型にぶつかったのだ。そいつは無言で、こけなかった。
わたしは完全に尻もちをついてしまい、恐る恐るそれを見上げた。
走って揺れていた視界が落ち着きを取り戻し、暗闇に眼が慣れ始める。
彷徨「いってて」
未夢「彷徨!」
彷徨が、ぼーっと突っ立っていた。
彷徨「お、やっぱり戻ってきたか。彷徨!じゃねーよ。体当たりで肋骨折る気か」
彷徨「ん?どした?真っ青な顔して」
青く見えるのは、ライトのせいでは。でも実際青白かったかもしれない。
落ち着いたらさっきのことを思い出してきたのだ。
未夢「ゾンビに足掴まれて、蹴って逃げてきた・・・」
彷徨「うわ、可愛そ・・・」
未夢「ゾンビじゃなくてわたしを心配なさいよっ!」
彷徨「悪い悪い。つかなんで入り口に逃げなかったんだ?」
未夢「そんなのわかんないよーっ」
無我夢中だったのである。
彷徨「まぁ、俺もあのまま置いてかれても困ったけど」
未夢「彷徨、こんなとこで待ってたの!?」
彷徨「なんだよその言い草は」
未夢「ご、ごめん・・・」
彷徨「ほら、もうすぐゴールはそこだ。一緒に行こうぜ」
がしっ。
未夢「わっ」
手を握られた。有無を言わさずって感じだ。
引っ張られてよろめいたけど、足をしっかり地面につけなおした。
彷徨「大丈夫か?」
未夢「う、うんっ」
彷徨の手は暖かかった。包まれたわたし自身の手で熱く感じたのもあったかもしれない。
恐竜「ギョワーッ!」
真ん中に恐竜の子供くらいの大きさのものが、激しく鳴いている。
未夢「うわぁ〜・・・」
彷徨「おっ、道が二つに分かれてる」
恐竜を境に、左右に道が分かれていた。
彷徨「よーし、別々に行って、落ち合い地点で何があったのか感想言い合おうぜ!」
未夢「ばかっ!離れたらはぐれるじゃないの!」
彷徨「大丈夫だって。どうせすぐ向こうで繋がって合流するって」
彷徨「それか、一緒に行った後に引き返してもう一つの道も行く」
未夢「どあほっ。なんで引き返すのよ!」
彷徨「どうせなんだから、堪能しようぜ!」
未夢「しなくていいのっ」
見栄を張って一人で行くか、二人で行くか。
彷徨「どうする?」
⇒一緒にいく チェック001へ
一人でがんばる チェック004へ
チェック 001 ////////////////////////////////////////
未夢「い、一緒に・・・」
彷徨「よし!じゃあ一緒に行くぞっ!」
すっ。
彷徨と自然に手をからめた。
彷徨が、守ってくれるはず。
彷徨「よし、これでもう逃がさない」
敵とグルだった!
未夢「ぎゃー!」
彷徨「いてててっ、爪立てんなって」
彷徨「右と左、どっち行くんだ?」
右 チェック003へ
⇒左 チェック002へ
チェック 002 ////////////////////////////////////////
未夢「じゃあ、ひ、左から」
彷徨「よし、きた」
彷徨に引っ張られるようについて行った。
彷徨「お?」
いきなりここだけ少し広く、青い照明は少し明るかった。
彷徨「いかにも罠、って感じだな」
未夢「ちょっ、彷徨っ。ゆっくり行って!」
彷徨「飛んで火に入る夏の虫と行こうぜっ」
未夢「いいのっ!今は冬なんだから、大人しくしなさい!」
彷徨「ちぇっ」
何がそんなに楽しいんだか。
こっちは死の瀬戸際なんですけど。
彷徨「ああ、ただの鏡か」
わたしも同時にそう思った。
広い道の両側には全身が映るくらいの大きさのミラーがあった。
良かった。こっちは当たりなんだ!
何もなさそう・・・
だ・・・
未夢「だぁー!?」
彷徨「おおっ、びびった」
進むと、急にミラーではなく人がわたしと同じポーズをしていた。
しかも自分が腐ったような格好で。
彷徨の方も同じようだ。
両側にそれぞれ一人ずつ。はさみうちだ。
彷徨「あ、どうも、こんにちは」
彷徨、ゾンビと会話してる。
ぺこっ。
あ、挨拶した。なんかシュール。
ゾンビは飽くまで彷徨と同じ動きをしようとする。鏡の真似のつもりなのだ。
彷徨「早く動いたらどうなんのかな」
ボクシングの身交わしの要領で素早く動いてみる彷徨。
明らかに、鏡真似のゾンビの動きが遅れていた。というかもう当然のように違っていた。
彷徨が急に、気を付け!をすると、相手は驚いたように遅れて真似をした。
未夢「あっはは」
お腹をかかえて笑ったら、わたしの隣のゾンビさんもお腹をかかえて真似をした。
声は出してない。
無言で手を差し出してみた。
握手。
未夢「あ、どうも」
てか冷たっ!
思わず心の中で叫んでしまった。
ここだけクーラーがかかってるのか、その人が冷え性なのか。
彷徨「飽きた。行くぞ」
向こうのゾンビさんは、彷徨に飽きられてた。
未夢「う、うん・・・」
無視して通りすがった。
どたっ。
後ろで音がした。
未夢「ひゃっ!?」
びっくりして思わず彷徨の腕を握り締めてしまった。
彷徨「いたい、いたいから!」
振り返ると、わたし側にいたゾンビさんが道に躍り出てた。
彷徨「・・・金髪の貞子さん、何もしてこねえな」
しばらくすると、彷徨によりかかってきた。
さわさわ。
彷徨に襲いかかるように触れているが・・・何をしたいのかがわからない。
彷徨「・・・どうしろと?」
未夢「さぁ?」
多分、本人もわかんないと思う。
彷徨「行くぞっ」
ばっ。
あ、ゾンビさんが彷徨にフラれた。
ゾンビさんは寂しそうにだらんと腕を下げ、見つめていた。
長髪で表情わからないけど。
未夢「あのかつら、わざわざ用意してあるのかなっ」
彷徨「さあー」
未夢「それより、4人くらい同時に現れたら対応できなくない?」
彷徨「入り口で二人制限してたから大丈夫だよ」
未夢「そっか」
彷徨「楽しめたか?」
彷徨がいたから、怖くなかった。
未夢「うんっ」
チェック008に移動
----------------------------
⇒右
左
チェック003//////////////////////////////
未夢「じゃあ、み、右から」
彷徨「よし、きた」
彷徨に引っ張られるようについて行った。
どきどき・・・
何も出ませんようにっ!
彷徨「お金出して何もなかったら詐欺だな」
未夢「余計なことはいいのっ」
ん・・・?
何かが降ってきた。
未夢「雪・・・?」
彷徨「いや、これは・・・」
とさとさとさっ。
大量の虫が降ってきた!
未夢「ぎぃやあーーー!」
彷徨「おー、よくできてんなぁ」
彷徨が一匹拾いあげ、内側を見せてきた。
本物ではなく、ゴムでできたもので勝手に動くおもちゃだ。
しかし、妙にリアルで気持ち悪い。
未夢「ひっ!いやっ!そんなの早く捨ててよ!」
彷徨「えー」
彷徨は律儀にも丁寧に床に置き直した。
未夢「はぁ、はぁ」
今日ここに来たせいでどれだけ生命線が短くなっただろうか。
汗かいたりしたから、ダイエットにはなっただろうけど。
彷徨「まぁいいや、未夢の驚く顔が見れたから」
彷徨は楽しそうだったが、わたしは疲れたよ。
彷徨「ほら、もう何も来ないから。行くぞっ」
未夢「あっ、待ってよ彷徨っ」
先に行こうとする彷徨を、追いかけるように小走りした。
そしで、また手を繋ぐのだった。
もう出口だ。光が見える・・・!
チェック008へ移動
-----------------------------------
一緒にいく
⇒一人でがんばる
チェック004///////////////////////
右へ行く チェック006へ
⇒左へ行く チェック005へ
チェック005///////////////////////
フラグLを1にする
チェック006///////////////////////
未夢「わたしこっち行くから!」
彷徨「おー。そーか。がんばれよ。達者でな」
ムカつくっ。何よあの言い方っ。彷徨なんかギャフンと言わせられればいいんだからっ。
彷徨と分かれ、一人になる。隣には何もない。空気しか。
一人になって初めて気付くことがある。当たり前のような存在。
もし空気がなかったら息ができず苦しいだろう。
空気に例えるのは気が引けるけど、でも結果は同じだった。
一人だからと泣き言は言ってられない。ここにはわたししかいないのだ。
そ〜…っと奥の様子を見る。
分岐!L=1の場合、チェック007へ飛ぶ
------------------------
・右を選んでいた場合
中は何もなさそうだ。早く行こう。
何も出ませんよーにっ!
早く行きたいのに、体が走ってくれない。
脳とは別の生き物のように、体が警戒しているのだ。
進むと何かが顔に触れた。
暗闇に慣れた目でそれを恐る恐る確認する。
どでかい蜘蛛だった。
未夢「ぎぃやあああーーー!?」
身体が勝手に走り出した。
ばさばさばさっ。子分のような小さい蜘蛛たちが次々と降りかかってくる!
未夢「ひっ!?」
払う。粘着性があるが、上から吊るされてるだけなのかすぐ離れる。
おもちゃだとわかっていても、感触が気持ち悪い。
誰だこんなものを作ったのは。訴えてやる!
一体全体わたしが何をした。
走って駆け抜けた先には彷徨がいた。
未夢「はぁっ、はぁっ」
今日は心臓発作で死んでしまうんじゃ。
彷徨「…すっげー超怖がってたろ」
未夢「な、何言ってんの!ただの気合よ!ほあちゃー!」
彷徨「こっちまで届いてたぞ、声が」
彷徨の声を聞いているうち、どんどん安心してきている自分がいた。
ひしっ。
未夢「彷徨ぁ〜。蜘蛛が、蜘蛛が〜」
腰が抜けた。もう歩けない。
彷徨「…よしよし。なんとなく想像できた」
彷徨がわたしの頭を撫でる。さっきまでのわたしの見栄張りもどこへやら。
未夢「彷徨の方は何があったの?何も聞こえなかったけど」
彷徨「そんなに叫ぶかよ。仮に叫んでたとしても未夢の声でかき消されてた」
未夢「もう。そんなのいいからっ」
彷徨「はいはい。別に何もなかったよ」
未夢「うそっ!?ずるい!」
彷徨「強いて言えば、鏡があったくらいか」
未夢「それでっ?」
彷徨「進んだら鏡じゃなくなって、人が俺の真似してた」
未夢「…それだけ?」
彷徨「それだけ」
未夢「…なんか、つまんなーい」
彷徨「そっちはお楽しみだったようで」
自然と手を繋いだ。分かれた二人は一つの道で一緒になる。
ゴールはすぐそこだ。
わたしたちは一緒に、光の見える出口へ向かった。
移動 チェック008へ移動
------------------------
・左を選んでいた場合
チェック007////////////////////////////////////////
中には抜けた広さがあった。
空間は青白く薄明るい感じだ。
うっ。なんとなく、逃げられない感じ。
吸い込まれるように奥へ進む。
両側に鏡があった。
未夢「…な、なぁ〜んだ。脅かさないでよ」
苦笑いした自分に声をかける。
そのまま進むと、急に鏡がなくなり、代わりに人がわたしの真似をしていた。
ゾンビになって。
未夢「うわっ!」
驚くと、向こうも驚くフリをした。
逆側を見ると、こちらも鏡ではなく人になっていた。
気付いた瞬間、身体が震えたが、向こうも震える真似をした。
さすがに、ホントにびっくりした感じには見えなかった。
それを見てわたしは落ち着いた。
そのまま進むが、特に何もして来ない。
飽くまで来場者の物真似をしているだけだ。
やがて、空間が終わる。
未夢「先に行きますよ〜…」
一応、断わっておいた。
しばらく進む。
どたっ。
びくっ。
振り返ると、さっきの人が空間に踊り出ていた。
未夢「なっ、なにっ?」
ゾンビ「…」
返事がない。
不気味だ。
そのまま行かせてもらった。
道行く先には、彷徨が待ってた。
未夢「彷徨!」
彷徨「無事だったか」
未夢「そっちは何かあったのっ?」
彷徨「いや、そっちから何も聞こえてこなかったから、逆に心配になって」
未夢「むぅ。わたしだってそんなに何回も叫ばないわよ」
彷徨「どうだか。まっ、今回はそうみたいだけど」
未夢「彷徨の方は何もなかったのっ?」
彷徨「大量の蜘蛛が落ちてきて驚かされた」
未夢「ひっ!?」
想像して怖くなる。
彷徨「それで心配したんだよ。まさか同じじゃないだろうけど」
彷徨「これ以上酷いのだったらお前、失神してたかもしれないだろ」
未夢「た、確かに…」
わたしは何をされたら失神に至るだろうか。
彷徨「それより、そっちはなんだった?」
未夢「鏡があったんだけど、進んだらそうじゃなくなって代わりに人がわたしの真似してた」
彷徨「それだけ?」
未夢「それだけ」
彷徨「良かったな」
頭を撫でられた。
未夢「わたしだって子供じゃないやいっ」
彷徨「じゃあ交代して往復しようぜ!」
未夢「遠慮します」
光の速さで断った。
彷徨「子供じゃないか」
未夢「そんなことしてわたしが何の得するのよっ」
彷徨「堪能できる」
未夢「しなくていいのっ」
彷徨「主に俺が」
未夢「彷徨もっ」
言い合いしながら出口へ。喧騒に紛れ、いつの間にか不安はどこかへ消えていた。
チェック008///////////////////////////////////////////////
彷徨「あ〜、楽しかった!」
出口を迎えると、辺りは夕焼けになっていた。
彷徨「最後はあれに乗るか」
観覧車。
彷徨も粋な案出すじゃん。
未夢「いいよ」
未夢「うわ、きれーっ」
眩しいけど、それよりも綺麗だという感想が上回った。
夕焼けが今日の終わりを告げる。
彷徨は、わたしが何かしゃべらないと基本的に無口だ。
彷徨「そういや、お前その服新しーな」
未夢「どこのタイミングで気づいてるのよ、この大ボケっ」
彷徨「いや、綺麗だよ」
未夢「き、急にそんなこと言われたって全然嬉しくないんだから」
彷徨「隣に座ってもいいか?」
未夢「べ、別にいいけど」
何よもう。急に色々と反則よ。イエローカード。
未夢「…」
彷徨「…」
近いっ。
何か言い出してくると思ったけど特になくっ。
彷徨「未夢」
未夢「な、なにっ」
彷徨「今日は未夢と楽しめて良かったよ」
未夢「う、うん…その…わたしも」
彷徨「すまなかったな」
未夢「え?」
彷徨「いや、普段部活とかであんまり構ってやれなかったから…」
わたしのこと、気にかけててくれたんだ。もう。別にいいのに。
未夢「う、うん。てゆーかっ、そんなこと言っちゃって、彷徨の方が寂しかったんじゃないのっ?」
歯切れ悪くなって、からかってみる。
彷徨「ああ、そうかもな」
どきっ。
なんでそうくるのよ。
彷徨「俺たち、あんまり二人で遊びに行けてないだろ?」
彷徨「俺は未夢と遊びに行きたかったよ」
彷徨「他の誰でもない、未夢と二人だけで」
わたしと。他の誰でもない、わたしと。
彷徨が言ったことを、自分の中で反芻した。
自分が必要とされてるんだ。
心が暖かくなった気がした。
彷徨「お前といると、楽しいんだ」
彷徨「世界が、明るいんだ」
彷徨「これからも、俺の側にいてくれ」
未夢「うん…わたしも、彷徨といると安心できるから」
彷徨「…未夢、好きだ」
未夢「…わたしも」
そう言って、キスをした。
観覧車の扉が開かれる。
案内人「ありがとうございました」
彷徨が先に、観覧車から降りた。
彷徨「ほら」
彷徨が手を差し出してくれた。
未夢「うん」
彷徨の手を取った。
いつもなら気軽に、ありがとう、とでも口から出るのに。
いや、言葉は要らなかったかもしれない。
彷徨「…」
未夢「…」
無言だ。
ぐぅ〜。
彷徨「…」
未夢「…」
お腹が鳴った。
わたしの。
彷徨「あ〜、腹減ったな」
未夢「そ、そうね、おほほほっ」
わたしのばかっ。泣けてくる。
彷徨「お前…」
未夢「し、仕方ないでしょっ」
彷徨「まぁ腹鳴るのも眠たくなるのと一緒で生理現象みたいなもんだし」
未夢「もうっ、彷徨デリカシーなさすぎっ」
彷徨「誰がだよっ」
彷徨「まぁいいや。実際、俺も腹減った。あそこで食っていこう」
お昼を食べたレストラン。
未夢「またかい!」
彷徨「いいだろ、そんな普段からしょっちゅう来るわけでもなし」
未夢「まぁいいけど」
彷徨「いいんじゃんか。じゃあ、行くぞっ」
未夢「わっ、ちょっと、引っ張らないでよ」
彷徨「早く行くぞっ」
未夢「もう。そんなに急がなくても、レストランは逃げないよ」
彷徨「早く行きたいんだ」
未夢「まったく」
急に子供みたいになるんだから。
彷徨「はぁー、食った食った」
結局、お昼に行ったレストランと同じレストランで食事を摂った。
もちろん、違うメニューで。
ステーキだった。
今日はお小遣い使いすぎたな。
明日から節約しなくちゃ。
彷徨「今日はうちに泊まってけよ」
時刻は6時半。辺りはすっかり暗くなっていた。
未夢「ダーメっ。ママが心配するからっ」
未夢「あっ、そういえば、ママに、ご飯要らないって電話するの忘れてた」
急いで電話をかける。
未夢「あっ、ママ?今日、もう夕ご飯食べちゃったから要らない…連絡遅れてごめんっ」
未夢「えっ…うん。そっか、ありがとう。ううん、帰るよ、うん。ありがとう。はーい。はーい…」
ぴっ。
彷徨「おばさん、なんだって?」
未夢「うん。わかったって。早く帰ってらっしゃいよって」
彷徨「そっか」
未夢「うん」
それからちょっと話題がなくなった。
いくらなんでも、四六時中お話してたら喉が疲れる。
でも、話題がないと寂しくも感じた。
別に、雰囲気が悪いわけじゃない。
彷徨「駅についたぞ」
未夢「えっ。あ、うん」
気が付かなかった。
未夢「それじゃぁね、彷徨。送ってくれてありがとう」
彷徨「ああ。気にするな」
未夢「また今度」
彷徨「ああ。おやすみ。未夢」
さっき、雰囲気は悪くないと思った。
それが勘違いだったのかもしれない。
言葉があとをついて出なかったのだ。
言い争いをしていたわけでもないのに、喧嘩したみたいな気持ちになった。
彷徨の誘いを断ってしまったな。
でも、わたしたちはもう中学生じゃない。
西遠寺には、彷徨以外もう誰もいない。
それが意味することの先を…想像できてしまい、怖かったのだ。
わたしはいつ、それを怖がらずに、心許せるようになるだろうか。
喧嘩したわけでもないのに、この喧嘩したかのような複雑感。
なんか、謝りたい気分だ。
そうだ。明後日はバレンタインデーじゃない。すっかり忘れてた。
お詫びにチョコを作ろうかな。
未夢「ただいまー」
未来「おかえりなさい。遅かったわね。充分いちゃついた?」
未夢「あーもう、ママッ!」
未来「冗談よ」
未夢「いや…うん」
未来「良かったわね。シャワー浴びてらっしゃいな」
未夢「うんっ」
未夢「あー、さっぱりした」
したところで、ケータイにメールが着てることに気付いた。
分岐!フラグN < 4 だった場合チェック012に飛ぶ
【7、8日ともに夏希に付き合っている場合】
送信者:五十嵐 夏希
夏希ちゃんだ。なんだろう?
夏希(明日、私んちでチョコ作らない?)
未夢「…」
はっきりしすぎてて、わかりやすいなぁ〜。
でも、望むところ!
未夢(いいよ〜。何時にどこ行けばいい?)
送信。
髪を拭きながらしばらく待つ。
ブーっ、ブーっ。
返信きたっ。
夏希(昼1時に学校の正門でー)
未夢(わかった〜)
ぴっ。
チェック013へ移動
【7、8日ともに夏希に付き合っていない場合】
チェック012//////////////////////////////////////
送信者:武乃邑 惠
惠ちゃんだ。なんだろう?
惠(明日、あたしンちでチョコ作ろうぜ!どうせ作るんでしょ?)
未夢「…」
余計なお世話!でも、気遣いがありがたい。
むしろ、望むところ!
未夢(いいよ〜。何時にどこ行けばいい?)
送信。
髪を拭きながらしばらく待つ。
ブーっ、ブーっ。
返信きたっ。
惠(じゃぁ昼1時に学校の正門でー)
未夢(わかった〜)
ぴっ。
----------------------------------------
チェック013//////////////////////////////////////////
あー、今日は色々楽しんだな。
遊園地を謳歌した感じ。
最後に観覧車で、キスしちゃったし。
だーっ!思い出してきちゃったーっ!
彷徨のエッチー!
…いや、違うか。
彷徨、好きだよ。
これからも、彼と共に楽しみ、苦しみ、助け合い、分かち合いたい。
今日は、断っちゃってごめんね。
明後日、チョコあげるからね。