- prologue - どこまでも澄み渡る青い空。 見慣れぬ土地。 その中に、わたし・光月 未夢 は居た。 両親がNASAの仕事でアメリカへ旅立ってしまったあの時、 兄弟の居ない両親は当時中学2年生のわたしを ≪ママ≫の友人の家に預けることにしていた。 だが、≪ママ≫の友人は他界しているため、代わりにその夫の 西遠寺宝晶おじさんが世話をしてくれることになっていた。 ママは、その場所が高台で景色がよく、敷地が広く屋敷のよう と言っていたが・・・そこは西遠寺と言う寺だった。 宝晶おじさんは住職なのだと言う。 優しそうなおじさんで良かったと思う。 わたしは遠路はるばるここまで来たため、 お風呂で疲れを癒していた。 だが西遠寺にはおじさんの一人息子 西遠寺 彷徨 が居て、出会いが風呂と言う 最悪の初対面となってしまった。 「えっ・・・」 「きゃー!痴漢ー!」 わたしがお風呂に入ってていきなりドアが開いたと思ったら・・・ もうサイアクっ。 そしてこの3人で過ごしていくのかと思いきや、 電話がかかってきて、おじさんが急にインドに修行に行く とか言い出して「金は金庫に入っとる!」と残して飛び出して行ってしまった。 今まで女子中だったし、これからこの男の子と2人で過ごしていくのか と思うと不安でたまらなかった。 夕食のときも、些細なことで口喧嘩しちゃって、 わたしはこの家を出て行こうと思った。 そんなとき、目映い光が玄関の外から中へと 入り込んでいった。 男の子と2人してその光を追いかけてみると、 なんとその光の正体はUFOで、 さらにその中からファンタスティックな存在が・・・ 「きゃーぁっ」 空飛ぶ赤ん坊だった。 それからイヌとネコが混ざったような謎の生物 ワンニャーも出てきて、なんだか急に色々とびっくり。 彼(♂らしい)は、赤ちゃんを世話するシッターペットらしい。 空飛ぶ赤ん坊・ルゥとワンニャーは、地球から120億光年離れた オット星から時空の狭間に吸い込まれてやってきたのだと言う。 オット星からの救助が到着するまでの1年間、 わたしはこのルゥくんのお母さん代わりをすることにした。 だから、わたし・彷徨・ルゥくん・ワンニャーの4人で これから過ごしていくのだ。 それからの出来事は、わたしにとって忘れられない かけがえのないものとなった。 そして、ある日、それは突然やってきた。 「未夢さん、彷徨さん、お話があります」 いつもの柔らかでない真面目なワンニャーの顔が、そこにあった。 ルゥを助けに来た救助船が地球の近くまでやってきたのだと。 そして、ママが、宇宙に行く日が決まったと。 近いうちに戻ってくると。 宝晶おじさんも、近いうちに修行が終わって戻ってくる。 確かに、これはむしろ望んでいたことのはずだった。 それでも今までの、楽しくて、暖かかった思い出を想うと、 もう少しだけ、この幸せを味わいたいと思ってしまった。 その中で見た、彷徨の事の数々・・・ いつもは憎たらしいからかいが絶えないけど、 本当は凄く優しくて、暖かくて。 だから、今まで、見ず知らずの赤の他人だったのが、 ルゥくんの登場で、本当の家族以上の絆が芽生えたのに、 救助船がその赤い糸を切るような・・・そんな気がしたのだ。 でもそれは、本当はルゥくんのためにならなくて。 本当の故郷へ帰るのが本道だって。 理屈ではわかっているのに。 どうしても、腕の中の暖かさの喪失を、哀しまずに入られなかった。 「未夢さん、彷徨さん、今まで本当にありがとうございました。 どうか、いつまでもお元気で・・・ さようなら―――・・・」 大きなUFOのような救助船が、夜の空に現れ、光が地上に降り立った。 その光は、ルゥとペポを抱いたワンニャーを吸い込み、 やがてワンニャーは光の中へと消えていった。 わたしは、泣いた。 ルゥくんが居なくなって悲しい? ルゥくんが故郷に戻れて嬉しい? もう家族で居られなくなって寂しい? 色んな感情が頭の中を過ぎった。 でも・・・ 最後にルゥくんが残していってくれたものがあった。 それは、彷徨との新しい絆・・・ ルゥくんは≪最後の≫最後に、魔法でわたしたちの手を繋げてくれたのだ。 間違いなく、ルゥくんは、恋のキューピッドだっただろう。 そして、今までの喜び、苦労、哀しみ、楽しさを共にして 彷徨が本当に暖かいことを知って、 好きだって。 告白したら、無言で、キスしてくれて。 わたしは、また別の意味で、泣いて、泣き疲れたけど。 本当に嬉しかった。 その後、ママとパパと宝晶おじさんが帰ってきて、 わたしは実家と、元の女子中に戻ることになった。 彷徨と両想いになってからは、彷徨と同じ高校に進学しようと わたしは頑張った。彷徨は頭が良くてわたしは馬鹿だから大変だったけど。 からかわれながら、努力して・・・ ついに、同じ高校に受かった。 そして中学を卒業するとき。 クラスメートだった友達とかとも、中々会えなくなるだろうけど、 また会おうねって約束して。 女子高生になって、一年間は色々と緊張したけど、 ママが、パパが、彷徨が一緒だったから今まで頑張ってこれた。 そしてこれから2年生・・・何が起こるんだろう。 ルゥたちとの出会いから3年後のお話・・・ 【ここでオープニングムービー】 ========================================================================================= 【読み方解説】 改行一個は、ワンクリックでメッセージが次ページを表示する区切り。 改行3個は、背景の絵・シーンが変わる区切り 変更部分23、25行の『母』を『ママ』に